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©Igor Russak / Sputnik
EUの 'ロシア・プロパガンダ' 決議はマスコミの自由に対する攻撃で偽善の匂い
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/eu-4421.html
2016年11月26日 マスコミに載らない海外記事
ダニエル・ライアン
公開日時: 11月24日 2016年 15:38
編集日時: 11月24日 2016年 18:51
ニュースというものがある。偽ニュースというものがある。欧米言説を支持せず、世界の出来事を、完全な親EU的な視点で提示するのを無視する、あらゆるロシア・メディアを包囲する欧州議会によれば、更に“疑似”ニュースもある。
今週、全く狂った動きで、EU議会は“ロシア・プロパガンダ”とEUへの“ロシア・メディアの侵入”に対抗する決議を採択した。決議は、304人の議員が賛成投票し、179人の議員が反対投票し、208人が棄権して採択された。 しかしながら最も奇想天外なのは、決議が、ロシア・メディアを、いわゆる「イスラム国」のようなテロ集団が流布する類のイスラム主義プロパガンダと一把ひとからげにしていることだ。かくして、ロシア・メディアは、ISISによる斬首や大量虐殺扇動ビデオと同じレベル扱いされる。
決議によれば、ロシア・メディアは“客観的情報、倫理的ジャーナリズムという考え方を損なう”ために存在しており、手法の一つは、他の全ての情報を“偏っている、あるいは、政治権力の道具”として描くことだ。
ここでの、本当の偽善は、この最後の部分が、ブリュッセルが、自らの行動に批判的なあらゆるマスコミを、一体どのように見なしているかをほぼ正確に描写していることだ。決議は、RTのような局は、他のニュース源は、偏っているやら、政治権力の手段として描き出すと批判しているが、ロシア・メディアと関連している誰でも、ウラジーミル・プーチンの金で雇われているクレムリンの傀儡と中傷しているのに、この皮肉に彼らが全く気がつかないようだ。
私が行動する通りにではなく、私が言っている通りに行動せよ
全くばかばかしい決議はには、モスクワが、EUの相手側との会談を、ブリュッセルとの“本当の対話”を確立するのではなく、もっぱらプロパガンダ目的で利用しているという“残念ながらの注記”もあった。ブリュッセルが、わずか数週間前に、ロシア政府の代表を誰も招待せずに、ロシアとEUの間の“相互理解”を促進するのが目的のEU-ロシア・サミットを主催したことを考えれば、もう一つの声明は皮肉に満ちている。その代わりに、彼らは、影響力皆無、あるいはロシア国内での影響力が皆無の、知られていない事実上無名の反政府派連中を呼んだのだ。RTコラムニストのブライアン・マクドナルドが指摘している通り、これはまるで、ブリュッセルが、アメリカ合州国の将来を論じるサミットを主催して、緑の党のジル・スタインを招待しながら、実際に権力を握っている二大政党を無視するようなものだ。ブリュッセル自身の定義では、モスクワが、ヨーロッパでしていると非難しているのと全く同様に、EUが、ロシアの“政治的一体性を傷つけ”ようとしていると簡単に主張することができる。
更に読む
'EUはロシアとの協力が必要。我々はアメリカ植民地ではない'
https://www.rt.com/op-edge/368052-eu-russia-american-colony/
不幸にして、このばかばかしい記事は、これ一回限りではない。あらゆる角度からのロシア・マスコミに対する全面攻撃の一環であるように見える。最も驚くべき進展の一つは、世界中のジャーナリストと報道の自由を擁護することを誇りにしているはずの国境なき記者団(RSF)によるものだ。国境なき記者団は、もはや、RTと、スプートニク通信社を含む、ロシア・セヴォードニャ・グループのどの記者のインタビューを受けないと宣言したのだ。
同じように、数週間前、アメリカ国務省のジョン・カービー報道官は、RT記者が、記者会見室にいる他のジャーナリストと平等な立場にあることを認めるのを拒否した。カービーは、ガイーヌ・チチャキャンを、彼女が“国営”メディアを代表しているという理由で“同じレベル”で扱うことをそっけなく拒絶した - AP記者のマット・リーが割り込んで彼女を擁護したにもかかわらず。
確かにRTは国営だろうが、カービーが、例えば、委員全員、イギリス政府閣僚の助言をもとに、女王が任命する、猛烈に反ロシアのBBCの記者を叱責するだろうとは考えがたい。彼はおそらく、もっぱら、ロシア政府を傷つけ、親米情報を流布する目的で活動している、CIAが資金提供しているRFE/RLのようなアメリカ政府が資金提供しているメディアについては、さほど懸念をしていないのだ。カービー発言とほぼ同じ頃、この機関は“ロシア・プロパガンダの場”だという理由で、RTのビデオ部門Ruptlyが、ペンタゴンのメディア・イベントへの参加を禁止された 。
もしRTが偽情報を流布しているのであれば、こうした懸念を持ったシンクタンク、政府機関、政治家全員、当を得ている。しかし、今どき、わざわざ、RTを見て、アンカーが真っ赤なウソをつくのを聞く人などいないだろう。CNNで聞くであろうこととは違う観点のものを聞くことになるだろうが、欧米商業マスコミに支配されている世界では、それらと違う視点は必要で、新鮮でおもしろいからなのだ。
グローバル化するマッカーシズム
一方、イギリス議会は、ロシアやロシア・マスコミとつながりがあるとされる有名人を糾弾する別の記事について聴聞予定だ。新マッカーシズムが、実際、世界規模で広がっているのだ。慎重かつ体裁良く‘プーチン’の便利な白痴’という題名がつけられたイギリスの記事は悪名高いネオコン・シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティーのアンドリュー・フォクスホールが書いたものだ。記事は、ロシアに好意的に見える政治家や有名人の信頼性に異議を唱え、そうした人々の取り締まりを提案している。
更に読む
‘戦争への妄想的な呼びかけ’: ユーロ議会議員、反ロシア‘プロパガンダ’決議を非難
https://www.rt.com/op-edge/367992-eu-delusional-resolution-russian-propaganda/
イギリスの記事は、マスコミへの出演を全て報告するよう、政治家に強いることができ、おそらく、RTの類に出演する人々は、クレムリンの手先で、プーチンの傀儡だとして、中傷されるであろう、新たな法律まで示唆している。
これは途方もないことで、実に気がかりだ。ここで起きていることは、民主主義やジャーナリズムの威信擁護の類と混同されるべきではない。実際、EUが行っているのは、非友好的な政府が、支配的言説に合わない情報の流布を取り締まるのを、連中が非難するのとほとんど同様な、ジャーナリズムに対する全面攻撃だ。だが危険なのは、連中は、民主的原則と価値観に対する懸念という口実で、これを行っていることだ。
この連中は、政府が許可した、許容される統一見解と反対の意見を持つことは、まさに反逆罪に他ならない。世界の他のどこであれ、これは、マスコミの自由に対する重大な違反としてブリュッセルとロンドンが批判する類の考え方や行動であり、まさに国家による弾圧に他ならない。
もしヨーロッパ・プロジェクトが岩のように堅固であれば、確かに、ブリュッセルは何も心配することなどないのだ。しかし、もし二、三のロシア・マスコミが、その存在にとって、それほど重大な脅威であるならば、基盤には、何か深刻な割れ目があるに違いない。究極的に、“状況が困難になっている時に、早々と窓から価値観”を投げ捨てるEUという同盟の脆弱さを物語っている。
ダニエル・ライアンは、アイルランド人フリーランス作家、ジャーナリスト、マスコミ評論家。彼女は、アメリカ、ドイツ、ロシアとハンガリーに暮らし、広く旅している。彼女の署名入り記事は、RT、Nation、Rethinking Russia、BRICS Post、New Eastern Outlook、Global Independent Analyticsなどに掲載されている。彼女は広告文作成、編集プロジェクトでも働いている。TwitterやFacebookやウェブwww.danielleryan.netで彼女をフォローする。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/368077-eu-parliament-rt-resolution/
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