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米大統領に続き、EU議会や独首相も自分たちの情報操作を困難にする情報の統制を求める動き
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201611240000/
2016.11.24 13:31:33 櫻井ジャーナル
EU議会は11月23日、「ロシアやイスラム系テロリスト・グループからの反EUプロパガンダ」に警鐘を鳴らす決議を採択した。同じ日にドイツのアンゲラ・メルケル首相はインターネット上で流れている「偽情報」によって人びとの意見が操作されていると発言、そうした情報を規制する必要性を訴えたと伝えられている。
EU議会の議員やメルケルは自分たち、あるいはアメリカの支配層が認める情報だけが「正しい」のであり、それに反する情報は「偽物」だという前提で議論を展開している。すでにアメリカではバラク・オバマ大統領が「偽報道」を問題にし、有力メディアも大統領に同調して言論統制を強化しようとしている。こうしたアメリカ支配層の意向を受けてEU議会は決議を採択したのだろう。
アメリカやEUの支配層がこうした動きを見せている原因は自分たちの情報操作が機能しなくなってきたことにあると言える。本ブログでは何度も指摘しているように、アメリカ支配層は第2次世界大戦の前から有力メディアをプロパガンダ機関として利用、大戦後は操作をシステム化、ベトナム戦争後は統制を強め、21世紀に入ると有力メディアの流す「報道」の中から事実を探すことが難しい状況になってしまった。未だにアメリカあたりの有力メディアを信頼しているような人は信頼できないということでもある。
大戦後、アメリカの支配層が始めた情報操作プロジェクトは「モッキンバード」と呼ばれている。その中心にいたのはウォール街の大物弁護士で秘密工作の黒幕とも言うべきアレン・ダレス、その側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)
ウィズナーはダレスと同じようにウォール街の弁護士で、同時に破壊工作機関のOPCの責任者になり、ヘルムズは後にCIA長官に就任する。フィリップ・グラハムの妻で後に社主となるキャサリンは世界銀行の初代総裁だったユージン・メイアーの娘である。
ワシントン・ポスト紙はウォーターゲート事件を追及してリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込むが、その取材で中心になった若手記者がボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン。そのバーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、その直後に「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。
それによると、400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。その背景にはモッキンバードがあったということだ。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
しかし、アメリカで報道統制が強化されるのはその後。ベトナム戦争でアメリカが敗北したのは国内で反戦運動のためだと好戦派は考え、運動を激しくした責任は戦場の実態を伝えるメディアにあると評価した。1970年代にはCIAの内部告発などで支配層にとって都合の悪い情報が漏れ、議会で追及されたということも報道統制に動いた一因。
日本のマスコミがアメリカ支配層に操作されていることは昔から囁かれているが、メルケルの国、ドイツも同じようだ。例えば、ドイツの有力紙とされるフランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元編集者、ウド・ウルフコテによると、多くの国のジャーナリストがCIAに買収されているとしている。
彼がジャーナリストとして過ごした25年の間に教わったことは、嘘をつき、人びとに真実を知らせないこと。その結果、ヨーロッパの人びとはロシアとの戦争へと導かれ、引き返すことのできない地点にさしかかっているとしていた。そして2014年2月、この問題に関する本を出している。
ウルフコテの告発もあり、ドイツでは有力メディアに対する信頼度が大きく低下、それに比例してプロパガンダ機関としての力も低下してしまった。必然的に、人びとの目はインターネットへ向かい、21世紀に入ってからの報道内容からロシアのメディアに対する信頼度が上がっている。これは西側全域で言えることだ。そうした状況がメルケルの発言につながる。
勿論、EU議会がロシアと同列に扱ったイスラム系テロリスト、つまりアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を作り出したのはアメリカ、サウジアラビア、イスラエルを中心とする国々。EU加盟国も参加している。
アメリカやその「同盟国」がそうした「テロリスト」を作り出したという話は、本ブログでも繰り返し書いてきたが、ロシアだけでなくアメリカの軍人を含む西側支配層の中からも出ている。そうした軍人のひとりがドナルド・トランプ次期米大統領の安全保障担当補佐官に内定しているマイケル・フリン元DIA局長だ。
イスラエル政府はシリアのバシャール・アル・アサド政権よりアル・カイダ系武装集団の方がましだと公言してきたが、そうした武装集団と敵対関係にあるかのように装ってきたアメリカやEUの支配層にとってフリンの存在は恐ろしいだろう。トランプは2001年9月11日の攻撃についてもメスを入れかねない。そうした展開を好戦派は命がけで防ごうとするだろうが、必然的にトランプも命がけになる。トランプが本気なら、好戦派も本気になるしかない。
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