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情報操作に失敗したと考えたのか、オバマ米大統領は言論統制の強化を主張、大手メディアも同調
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201611210000/
2016.11.21 11:23:31 櫻井ジャーナル
バラク・オバマ大統領が「偽報道」を問題視、有力メディアもインターネットで伝えられている情報を攻撃している。勿論、インターネット上には怪しげな情報も少なくないのだが、オバマや有力メディアが意識しているのは自分たちの「報道」の効果をなくした情報、つまり事実だ。言論統制の強化を主張したと言える。
フランクリン・ルーズベルトが大統領に就任した直後にウォール街の大物たちが目論んだクーデター計画を議会で明らかにしたスメドリー・バトラー少将によると、クーデター派は新聞を自分たちのプロパガンダ機関だと認識、ルーズベルト攻撃に使うつもりだと話していたという。
第2次世界大戦が終わると情報操作は組織的になり、ウォール街の大物弁護士で秘密工作の黒幕とも言うべきアレン・ダレス、その側近でフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムを中心にモッキンバードと呼ばれているプロジェクトがスタートする。ウィズナーはダレスと同じようにウォール街の弁護士で、同時に破壊工作機関のOPCの責任者になり、ヘルムズは後にCIA長官に就任する。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)
ヘルムズがCIA長官だった時期にウォーターゲート事件が起こり、ワシントン・ポスト紙が「大統領の犯罪」を追及する。その時の社主はキャサリン・グラハム。フィリップの妻で、世界銀行の初代総裁だったユージン・メイアーの娘だ。
同紙でこのスキャンダルを追いかけたのは若手記者のボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン。ウッドワードは「ディープスロート」という情報源を持っていたが、直前まで海軍の情報将校で記者としては素人に近い。実際の取材と執筆はバーンスタインが担当したようだ。
そのバーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、その直後に「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。こうした記事を書くためには同紙を辞めねばならなかったのだろうが、それによると400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
しかし、アメリカで報道統制が強化されるのはその後。ベトナム戦争でアメリカが敗北したのは国内で反戦運動のためだと好戦派は考え、運動を盛り上げた責任は戦場の実態を伝えるメディアにあると評価した。1970年代にはCIAの内部告発などで支配層にとって都合の悪い情報が漏れ、議会で追及されたということも報道統制に動いた一因。
そこで内部告発が難しいルールを作り、気骨ある記者を排除、規制緩和でメディアを少数の巨大資本が支配できるようにした。こうした動きは日本にも及び、1987年5月3日に朝日新聞阪神支局が襲撃されたことも影響してプロパガンダ機関化は進んだ。1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭、「ジャーナリズムはとうにくたばった」と、むのたけじは発言したという(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)が、その通りだ。つまり、今のマスコミはゾンビのようなもの。
報道統制はアメリカや日本以外の国々でも問題になっている。例えば、ドイツの有力紙とされるフランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元編集者、ウド・ウルフコテによると、ジャーナリストとして過ごした25年の間に教わったことは、嘘をつき、裏切り、人びとに真実を知らせないこと。多くの国のジャーナリストがCIAに買収されているとしている。その結果、ヨーロッパの人びとはロシアとの戦争へと導かれ、引き返すことのできない地点にさしかかっているとしていた。そして2014年2月、この問題に関する本を出している。この危機感が日本では希薄だ。
このように西側の支配層はメディアを支配、自分たちにとって都合の良い情報、自分たちの計画に人びとを賛成させる情報を流す仕組みを作りあげた。本当に信じているのか、信じた振りをしているだけなのかは不明だが、日本に住む多くの人は支配層の思惑通りに発言し、動いている。「左翼」や「リベラル派」を自称している人びとも例外ではない。
ただ、日本以外の国々ではメディアに対する信頼度は急速に低下、有力メディアはソ連時代のプラウダやイズベスチヤのようになってしまった。そこで、オバマ大統領は言論統制の必要性を主張したわけだ。そこまでアメリカ帝国の腐食は進んでいるとも言える。
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