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プーチン大統領のバルダイ演説: オバマの遺産は改めることが可能だ
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2016年11月 5日 マスコミに載らない海外記事
Andrei AKULOV
2016年10月30日
Strategic Culture Foundation
バルダイ国際会議の会合で、ウラジーミル・プーチン大統領は、ワシントンで新大統領が就任した後に、ロシア-アメリカ関係が改善するのを願っていると述べた。
大統領によれば、ロシアとアメリカ合州国は、“この悪循環から抜け出し”新段階の関係に進むべきなのだ。彼はアメリカに、国益を擁護するため、積極的姿勢をとらせるよう、ロシアを挑発するのを控えるよう要求した。プーチン大統領は、様々な共通する関心事の問題で、アメリカと合意にいたるのを歓迎するつもりだ。ロシア大統領は、シリアを含め世界でおきる、ありとあらゆるまずいことを、ロシアのせいにするのはアメリカ人政治家の'不適切な'振る舞いだと片づけた。
実際、バラク・オバマの二期目の大統領任期は終わろうとしているが、ロシアに、うまく対応できないのが、彼の遺産を台無しにしてしまう、外交政策の失敗の一つだ。モスクワと協力してのシリア危機解決というワシントンの取り組みは全く大失敗だった。ロシアから見れば、アメリカは信頼性に欠けるパートナーだ。
10月27日、ロシア外務省は、シリアに関する“ロシア-アメリカ合意実施の比較分析”と題する文書を発表した。
文書は国連文書として流布される予定だ。文書は、シリアに関し、ロシアと同意した合意に対する、アメリカのあらゆる違反を列記している。
そもそもの始めから、停戦に関するロシアとの合意を巡り、政権は分裂していた。アメリカ国務省と国防省の姿勢には大きな隔たりがある。アメリカ軍は、ロシア側の交渉相手との協力をいやがっている。アメリカは、軍事的選択肢を選択して、あらゆる合意を放棄することを検討している。
アメリカ政府は、シリアでの民間人攻撃に対して、再三ロシアを非難してきた。アメリカが率いる連合軍が開始したモスル攻勢の最初の三日間で、民間人60人以上が死亡し、少なくとも200人が負傷した。誰も謝罪はしていない。マスコミの脚光も浴びずにいる!
他にも、二国間関係がほとんど行き詰まっている様々な分野がある。
ビクトリア・ヌーランド国務次官補の活動にもかかわらず、ウクライナは何の進展もないまま、対立を生む問題であり続けている。
軍縮の崩壊は続いている。オバマの任期中、この流れを変えるような取り組みは一切行われなかった。
2010年の新戦略兵器削減条約(プラハ条約)は、2020年に満了するが、新たな条約が発効する見込みはない。1987年の中距離核戦力全廃条約(INF)の未来は疑わしい。
条約は、長距離巡航ミサイルが発射可能な、Mk-41ミサイル発射機を利用した弾道ミサイル防衛(BMD)システム配備によって脅かされている。これは協定違反である。アメリカは二国間の余剰核兵器解体プルトニウム管理処分協定(PDMA)に露骨に違反した。
現政権は、B61-12核弾頭を、ヨーロッパのNATO加盟諸国の戦術的航空機に搭載する計画を立ち上げた。
搭載は、NWS(核兵器保有国)から、他の国への核兵器移転を禁じる核拡散防止条約(NPT)違反だ。
これは、アメリカが、地球規模で、軍縮の崩壊を引き起こす企みの一環にすぎない。オバマ大統領は、1996年に国連総会で採択されてから20年たつ包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准するためには何もしていない。2016年のワシントン核サミットは、何の具体的結果ももたらすことなく終わった。核不拡散体制は浸食されつつあるが、流れを変えるための何も行われていない。現政権の下では、1982年の国連海洋法条約を批准するための努力は一切行われなかった。
世界におけるアメリカの政治的影響力は衰えつつある。
ヨーロッパでは、ヨーロッパ人が、環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に反抗して、アメリカは深刻な挫折に直面している。
既にドイツとフランスは、意見の相違から合意がまとまる可能性は潰れたと言っている。
アメリカ合州国のアジア基軸政策は前向きな結果を産み出し損ねている。環太平洋連携協定(TPP)批准の見込みは薄い。
この抜本的協定を批准し損ねれば、地域におけるアメリカの威信を傷つける重大な挫折となろう。
アメリカの中東政策は低迷している。
イラクは、宗派間抗争や、「イスラム国」(IS)過激派運動、難民危機と経済苦悩の蔓延に見舞われている。
リビア介入は荒廃、苦難と混乱という結果をもたらし、ロシアが支援要請されている。
政権は、イエメンにおけるフーシ派反政府派の出現で不意打ちをくらった。人権侵害に関する多くの疑問が持ち上がり、アメリカが紛争に介入するという知恵が問われている。
カイロが他のパートナーを探すことになり、アメリカ合州国とエジプトとの関係は悪化した。
イスラエルとパレスチナとの間で和平を実現するというオバマ大統領の取り組みは、新たなイスラエル入植地が建設されて失敗に終わり、穏健なパレスチナ人は信用を落とし、ハマースが益々強くなりつつある。
中東の状況は、アメリカ大統領が政権を握った頃よりもひどいことになっている。オバマ大統領の監督下、ISは中東の核心で大いに領土を広げた。彼らと戦うためのアメリカ戦略は存在していない。この地域に対する大統領の政策は更なる混乱をもたらし、アメリカの同盟国を遠ざけ、敵を倍増している。その結果、中東は何十年もの間で最悪の混乱に直面している。
アメリカは、アフガニスタンで、任務を遂行しそこねた.
現在、タリバン戦士は、2001年以来のどの時期より広大な領土を支配している。戦闘は継続しており、終わるめどはない。
アフリカでも、アメリカは何の成功もおさめていない。テロリスト運動は上昇傾向にあり、大陸は不安定化に脅かされている。リビアにおける政権転覆政策の結果、北アフリカや、サハラやサハラ以南の地域でも、テロが増大している。状況は悪化しており、アメリカは戦争の準備を開始するに至っている。
大失敗が次から次へと続いている。これは大統領と彼のチームだけの責任ではない。オバマ大統領は、民主党大統領候補者ヒラリー・クリントンがつながっている同じ連中であり、共和党大統領候補者ドナルド・トランプを、特に、ロシアとの関係正常化を進んで行う姿勢で批判している外交政策エリートに導かれていたのだ。
モスクワとの関係における外交的な地雷原を含め、これが、オバマ大統領が、後継者に引き継ぐ遺産なのだ。イラン核協定の例が示している通り、ロシアとの関係正常化によって、オバマ政権がまとめ損ねていることを達成可能になるかも知れない。もし新政権が、軍に影響を及ぼし、締結した協定の条項を守るよう態度を変えれば、シリアの危機管理もその一つになり得よう。
イラクとリビアで、アメリカとロシアが協力していれば良かったのだ。そうせざるを得なくなるように見える。アメリカが近年行ったあらゆる悪事にもかかわらず、ロシア大統領は、バルダイ演説で手を差し伸べた。更なる対決の方が、実りの多い協力より良いかどうかを決めるのはアメリカ次第だ。一つ明らかなことがある。威信が世界中で打ち砕かれてしまった状況を改めるためには、新政権は本当に必死に働く必要があるだろう。ロシアとの関係の正常化は非常に目に見えやすい成果となりうる。物事はつながっているので、モスクワと協力すれば、他の外交政策でも成功をもたらす可能性もある。これは無理難題かも知れないが不可能ではない。新アメリカ大統領にはチャンスがあろう。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/10/30/president-putin-valdai-speech-obama-legacy-can-be-rectified.html
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