http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/897.html
Tweet |
緊迫するベネズエラ危機:手足を縛る鎖との戦い
2016.11.2(水) The Economist
(英エコノミスト誌 2016年10月29日号)
ベネズエラ、大統領の退陣求め大規模全国デモ
ベネズエラの首都カラカスで、ニコラス・マドゥロ大統領の退陣を要求する全国デモに参加する大学生たち(2016年10月26日撮影)。(c)AFP/Juan BARRETO 〔AFPBB News〕
独裁に傾く大統領を辞めさせようと大規模なデモが起こるが、政権交代の兆しは見えない。
今回の抗議行動はベネズエラ全土で行われた。西はマラカイボから東はシウダード・グアヤナに至るまで、何十万人もの市民が街頭を埋め尽くし、ニコラス・マドゥロ氏率いる権威主義的な左派政権に退陣を求めた。逮捕者は100人を超え、ミランダ州では警官1人が命を落とした。
「この政権は絶対に、選挙を経て退陣したりしませんよ」。首都カラカスのデモに参加していたマッサージ師のマリア・ジルさんはそう語った。露天商のダビド・ムジカさんも「もう抗議するよりほかに手がない」、投票では「何も変わらない」と同意した。
どちらのデモ参加者も、マドゥロ氏を「独裁者」呼ばわりした。ベネズエラでは、ここ2週間の一連の出来事を経て、この言葉がこれまでよりも大っぴらに口にされるようになっている。
まず、1週間ほど前の出来事から見ていこう。10月21日、有権者は投票所での署名を数日後に控えていた。大統領罷免の是非を問う国民投票を行うことに賛成の意思表示をするためだ。ところが、その署名手続きが突然中止になった。5つの州の刑事裁判所が、有権者数の少なくとも1%の署名を集めて提出するという国民投票手続きの初期段階で不正があったと断じたからだ。
この指摘はばかげている。野党側は今年4月、最低限集めなければならない筆数の10倍に当たる200万人分の署名を提出しており、名目上は独立の機関だが実際は政権にこびへつらっている選挙評議会でさえ、そのうちの140万人分の署名は有効だと述べていたからだ。これら5つの裁判所は、判断の根拠を説明しなかった。
ベネズエラ史上最悪の景気後退と、食料や医薬品の深刻な不足の責任を取るべき立場にある現政権は、自らの支配下にない機関とも協力して任に当たるという建前すら放棄した。まず、野党が多数派を占める議会を無視した。議会は今でも、閣僚が議場に来て今後の計画を説明するか情報を提供するよう求めているが、閣僚が姿を見せることはない。
次へ
[あわせてお読みください]
原油価格競争の勝者と敗者 (2016.11.1 Financial Times)
ロシアがもたらす脅威:プーチニズム (2016.10.26 The Economist)
「減産協議バブル」にとどめを刺すのは中国か (2016.10.21 藤 和彦)
まひ状態に陥るナイジェリア (2016.10.20 Financial Times)
シェール企業は果たして勝者なのか? (2016.10.14 藤 和彦)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48278
政府と野党、対話継続で合意=大きな進展なし−ベネズエラ
10月30日、カラカスで、ベネズエラ政府と野党連合との協議を前に、野党連合の出席者と握手するマドゥロ大統領(右)(AFP=時事)
【サンパウロ時事】政権の存続をめぐって対立するベネズエラ政府と野党連合は10月30日、緊張緩和に向け、首都カラカスで協議した。今後も対話を続けることで合意したが、混乱収束につながる大きな進展はなかった。31日、地元メディアが報じた。
協議はフランシスコ・ローマ法王の仲介で実現し、南米諸国の代表も参加。マドゥロ大統領が出席し、野党連合の代表と握手を交わした。ただ、強硬姿勢を貫く野党の一部は参加を拒否するなど、温度差も目立った。(2016/11/01-09:22)
【国際記事一覧へ】 【アクセスランキング】
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016110100147&g=int
ベネズエラで大規模デモ 大統領退陣求め
2016/10/27 9:23
【ブラジリア=宮本英威】南米ベネズエラで26日、反米左派のマドゥロ大統領の退陣を求めるデモが全国規模で行われた。深刻な物不足や治安悪化を批判し、首都カラカス中心部には数十万人規模の住民が集結した。デモ参加者と警官隊が衝突し、死傷者が出た。
ロイター通信によると、レベロル内務・法務相は同日、デモ参加者と警官隊の衝突で、警官1人が発砲により死亡、2人が負傷したと発表した。一方、野党の主要指導者エンリケ・カプリレス氏は市民側に120人の負傷者が発生したとしている。
中道右派の野党連合、民主統一会議(MUD)がデモを主導した。28日には全国規模でストライキを実施するように呼びかけている。
MUDは、マドゥロ氏の罷免を問う国民投票の実施を求めてきた。ただ同氏の影響力が強い選挙管理当局は20日、今週予定されていた、国民投票の実施に必要な署名集めの中止を決めた。
野党側は憲法違反と厳しく批判しており、野党が多数を占める議会では25日に大統領の弾劾手続き開始を求める決議を行った。ただ裁判所などは与党に近い人物が占めており、実際に罷免につながる可能性は低いとみられている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H1J_X21C16A0EAF000/
「国家崩壊」寸前、ベネズエラ国民を苦しめる社会主義の失敗
Venezuelan apocalypse: Some Updates on the Epic Failure of Socialism in Oil-Rich Venezuela
2016年5月19日(木)19時06分
マーク・ペリー(米ミシガン大学教授)
隣国コロンビアから卵を密輸してきた男(手前)。モノ不足で高く売れる Girish Gupta- REUTERS
原油の確認埋蔵量で世界一を誇るベネズエラの経済が、長年の社会主義政権のつけで崩壊寸前の危機にある。「経済的崩壊」が現実味を帯びてきたと言っていい。以下に、ベネズエラの状況を伝えた各メディアのレポートを紹介する。
1. ベネズエラ経済は、風が吹かれるクレーンのようなものだ。いつ倒れてもおかしくない。原因はただ一つ、同国の徹底した社会主義体制だ。米大統領選の自称社会主義者、バーニー・サンダースと彼の支持者が、なぜ身近にある社会主義の末路を気にも留めていないのか不可解だ。
[参考記事]南米の石油大国ベネズエラから国民が大脱走
信じられないことだが、原油の埋蔵量で世界一のベネズエラが、今や原油を輸入している。ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマンはかつて「もし社会主義政権にサハラ砂漠を管理させたら、すぐに砂が足りなくなる」と語ったが、ベネズエラの状況はその説明にぴったり当てはまる。
社会主義政権の下、食料やトイレットペーパー、紙おむつ、薬などのあらゆる必需品の不足も深刻を極めている。すべて政府による計画経済や通貨統制、物価急騰が原因だ。
IMF(国際通貨基金)によると、社会主義体制下の18年間に政府が浪費を続けたおかげで、ベネズエラのインフレ率は720%に達する。凶悪犯罪の発生率も世界最悪で、メキシコのNGOが発表した「世界で最も危険な都市ランキング」では首都カラカスがワースト1位になった。(2016年2月5日付「インベスターズ・ビジネス・デイリー」)
『肩をすくめるアトラス』の世界
2. 「飢えをしのぐために犬や猫、鳩狩りをする国民:ベネズエラでは経済危機と食料不足で略奪や動物狩りが横行」。(2016年5月4日付「パンナム・ポスト」見出し)
3. ニコラス・マドゥロ大統領が、操業を停止した工場の差し押さえや経営者の逮捕など、政府による取締りの強化を表明。(計画経済に移行したアメリカが衰退していく模様を描いた)アイン・ランドの小説『肩をすくめるアトラス』が現実に。(2016年5月15日付BBCニュース)
[参考記事]政府が商品を差し押さえて勝手に安売りの強引経済政策
4. 「瀕死の乳児にも投与する薬なし:機能不全に陥ったベネズエラの病院」
ベネズエラでは経済危機の影響で命を落とす人が後を絶たない。とりわけ医療が危機的状況にある。ニコラス・マドゥロ大統領はついに経済緊急事態を発令し、国家崩壊の懸念もささやかれ始めた。
医療現場は経済危機の影響をもろに受けている。治療に必要な手袋や石鹸がなくなる病院も出てきた。がん治療薬は闇市場でしか手に入らなくなってきている。電力不足も深刻で、政府は節電目的で公務員の出勤を週2日に制限した。(5月15日付「ニューヨークタイムズ」日曜版)
次のページ 社会主義とは血だまりで治療を待つこと
5. 「社会主義」とは、ベネズエラの惨状を伝える報道写真が象徴するように、衛生状態が最悪な手術室や壊れた保育器、血だまりの中で横たわって治療を待つ患者、抗生物質が手に入らないために命を落とす犠牲者など、国民を悲惨な結果へ導く精神的な毒を指す。
これに対し「民主社会主義」とは、社会の一握りが富を独占していると不公平を訴えることにより、富を富裕層から合法的に盗むことを指す。社会全体の貧困化させることによって格差是正が達成される。政府に権力を集中させ、民間企業や個人の権限を抑え込む。(5月16日付「ウォール・ストリート・ジャーナル」、ブレット・ステファンズのコラム)
6. 過去数十年間でベネズエラから国外へ逃れた医師の数は1万3000人に上ると推計される。医師不足解消の助け舟としてキューバ政府がベネズエラに医師を派遣したが、派遣されたキューバ人の医師たちは、ベネズエラからコロンビア経由でアメリカを目指す始末だ。だがそうなるのも無理はない。ベネズエラでは医師も診療報酬を減らされ、料理に使う油や食料品を購入するのもままならない状況なのだ。(4月26日付「リーズン」)
7. ベネズエラでは急激な物価上昇に対応するため貨幣を増刷しようにも、そのための紙代を支払う資金すらない。(4月27日付「ブルームバーグ」)
[参考記事]ベネズエラの新聞に紙不足の危機迫る
8. 食料不足で苦しむベネズエラでは、食料品店を狙った略奪が日常茶飯事だ。(ロイター/ビデオ)
9. ベネズエラは原油埋蔵量が世界一であるにも関わらず、政府が国民の生存に必要な食料や医薬品すら供給できない事態に陥っている。(CNN)
稼いだ外貨を使いきった指導者
10. ベネズエラの経済危機は、1990年代末から続くウゴ・チャベス前大統領とニコラス・マドゥロ現大統領による社会主義政権が掲げた約束がイリュージョンだったことを露呈している。
外貨収入の96%を原油に依存しているベネズエラでは、原油価格が高かった時代には、住宅環境や食料供給の改善、賃金上昇や福祉の充実によって国民も恩恵を感じることができた。
だがベネズエラ政府は持続可能な経済への構造転換に失敗した。せめて石油で潤った外貨収入を蓄えておけば2014年に始まった不況による影響を多少なりとも抑えられたであろうに、政権はそれすらばらまき政治に利用した。(5月17日付「ニューヨークタイムズ」社説、ベネズエラの経済危機の元凶は社会主義体制だと批判して)
──ニューヨークタイムズはさらに、ベネズエラの殺人発生率は一日当たり52.2人、約28分ごとに一人が殺害される計算だと指摘している。
次のページ 左派の論客は何を考えていたのか
チャベスとマドゥロによる社会主義政権の終焉が近いことはしばらく前から明らかだった。それにも関わらず、左派の論客のなかにはつい数年前まで、チャベスとベネズエラの経済政策を全面的に支持する意見があった。以下に興味深い例を2つ紹介する。
11. デービッド・シロタは「ウゴ・チャベスによる経済の奇跡」とした記事の中で、チャベスの経済政策を絶賛した。(2013年3月6日付「サロン」)
12. 左派寄りの経済学者マーク・ウェイスブロットは、ベネズエラの経済政策に対する批判に反論して「ベネズエラ経済はラテンアメリカ版の(財政破綻の危機にある)ギリシャではない。ベネズエラの経済的崩壊はあり得ない」と主張した。(2013年11月7日付「ガーディアン」)
Mark J. Perry is concurrently a scholar at AEI and a professor of economics and finance at the University of Michigan's Flint campus.
Reprinted with permission from the American Enterprise Institute.
7兆ドルをどぶに捨てた中国に明日はあるか (ビジネス)
財政赤字を本気で削減するとこうなる、弱者切り捨ての凄まじさ (ワールド)
反日による日本人欠場でゲーム大会中止に (ビジネス)
「イタリア化」する日本 (コラム&ブログ)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/05/post-5123_3.php
- 混乱を極めるベネズエラ 正式に独裁政権 近隣住民武装の新たな常識 医療も崩壊 買い物も命がけ 軽毛 2016/11/02 08:16:18
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。