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トランプ大逆転を生む「10月サプライズ」 せいぜい1ドル90円台、過度な円高はない もしトランプが大統領になったら…
http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/698.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 10 月 21 日 00:21:58: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

トランプ大逆転を生む「10月サプライズ」

アメリカ現代政治研究所

第3回討論会はノックアウト寸前だったが…
2016年10月21日(金)
高濱 賛

最後の討論会は、両候補が握手することもなく始まった(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
米民主党のヒラリー・クリントン候補と米共和党のドナルド・トランプ候補による3回目、かつ最後のテレビ討論会が行われた。過去の女性蔑視発言が明らかになったり、“セクハラ被害者”たちが名乗りを上げるなど、トランプ氏にとっては大統領としての品格が問われる最後の舞台でした。結果をどう見ますか。

高濱:最終戦は、どちらに投票するかまだ決めていない有権者の心を最大限つかみ取る、が両者にとって最大の狙いでした。有権者はすでに両候補の政策を知っていますから。

 ボクシングで例えると、トランプ氏は、クリントン氏の強烈なパンチを防ぐのにやっと。最終ラウンドではフラフラで頭に血が上ったのか、モデレーターが「選挙結果を受け入れるか」と質問したのに対し、「結果を見てからだ」と明言を避けました。

 「どんな結果だろうと受け入れる」という模範回答をすべきところです。この発言には、私も一瞬絶句しました。トランプ氏は自分のグローブで自分の顔面をぶん殴ったようなものです。大統領候補がこんな発言をするのは前代未聞、米民主主義の否定につながります。米メディアはここをとらえて大々的に報じています。

品格を欠いたトランプ氏の言動

 最後の討論会では大統領然としたマナーを守ることが大切です。相手が話している時に口をはさんで邪魔をしないとか、相手が喋っている時に傲慢な態度や自信ありげな表情は極力見せないとか。

 今回、トランプ氏はこのルールを徹底的に破りました。劣勢からくる焦りでしょうか。トランプ氏は何度となく、クリントン氏の発言中に口を挟みました。さらに「嫌な女だ」とか「嘘つき」と口汚く罵ったのです。

 もう一つ、90分の間にトランプ氏が水を飲んだのは4回。クリントン氏は1回も水を口にしませんでした。両候補の健康問題に関心のある有権者には気になるところです。クリントン氏はそれを意識してコップの水には手をつけなかったのか、どうか。

 もっとも、「クリントン氏が嫌い」「どうしてもトランプ氏に票を入れる」と決めている一部の白人保守派にはトランプ氏の今回の言動は一切気にならなかったかもしれませんけど。

共和党主流派は議会選に専念

最終テレビ討論会を終えて、投票日まで20日を切りました。両候補はこれからどんな手を打つのでしょう。とくに気になるのはトランプ氏です。

高濱:共和党議会のトップ、ポール・ライアン下院議長は大統領選と同時に行われる上下両院選に集中する意向を示しています。共和党が分裂している状態で、トランプ氏に秘策はあるのか。

 トランプ氏に三行半を突きつけたライアン氏に対し、トランプ氏は激しく反発しています。共和党内はまさに“内戦状態”のまま、大統領選、そして上下両院選、州知事選に突入します。

 ライアン氏には、党のトップである自分がこのままトランプ氏を応援すれば、トランプ氏への反発が強い州で立候補している共和党の上下両院議員候補が落選してしまうかもしれないという危機感があります。

ここまできて、劣勢とされるトランプ氏に「オクトーバー・サプライズ」*はあり得るでしょうか。

*:大統領選投票日11月8日を臨む直前1か月の間に起る不測の出来事を指す。国際テロ組織アルカイダの首謀者、オサマ・ビンラディンが2004年、米同時テロの犯行を認める声明を出したのは典型例。2012年10月下旬には、強力なハリケーンが米東部を襲った。接戦だった大統領選の様相がこれらを機に大きく変わった。

高濱:「奇跡」が起こる可能性は常にあります。日本でも「政界一寸先は闇」とよく言われます。自民党副総裁だった川島正次郎氏の名言です。英語では「Anything can happen」ということになりますね。

 考えられる「オクトーバー・サプライズ」は3つです。

アサンジが放つ「極秘文書」内容

 一つは、ジュリアン・アサンジ氏が運営するウィキリークスがクリントン氏が国務長官(当時)だった時の極秘文書を公にすることです。アサンジ氏は反クリントンを明言しています。同氏を、ロシアの回し者だと指摘する米情報機関関係者もいます。

 暴露する文書の中にクリントン氏の政治生命を危うくする内容のものが入っていれば、状況が一変するのは必至です。例えば、私設サーバーを使ってやりとりしていたメールの中に国家機密扱いのものがあり、それが第三国に傍受されていたら、大統領選どころではなくなってしまいます。

 2つ目は、クリントン氏の健康問題です。9月11日に脳震盪で倒れました。以前から脳血栓症という持病を持っています。クリントン氏が選挙日前に倒れれば、有権者が「健康に不安を抱える候補」を大統領に選ぶとは思えません。

 投票日前にクリントン氏が倒れると、副大統領候補のティム・ケーン氏が民主党大統領候補に昇格し、トランプ氏と対決することになります。この場合、トランプ氏の芽が出る可能性も十分出てくるでしょう(参考記事:「討論されなかったヒラリー健康問題の深刻度」)

 第3は、国内外の情勢です。万一、米国内で過激派組織「イスラム国」(IS)による大規模なテロ攻撃が起ったらどうなるか。米有権者はどう反応するでしょう。トランプ氏は、ISに対して強硬に対応するよう主張してきました。米国の国民感情からいって、強硬論者のトランプ氏に投票する有権者が急増する可能性があります。

LAタイムズ世論調査は「トランプ優勢」

多くの世論調査が「クリントン優勢」を打ち出しています。世論調査はどれほど信用できるのでしょう。EU(欧州連合)離脱をめぐって英国で6月に行われた国民投票では、世論調査は最後の最後まで「残留派」優勢としていました。しかし実際には外れることに。米大統領選で同様のことは起こらないでしょうか。

高濱:英国の世論調査がなぜ間違っていたか。サンプル数が少かったり、サンプルが偏っていたことが原因のようですね。

 では、米大統領選ではどうなのか。

 各種世論調査の平均値を見ると10月19日現在、クリントン支持48.6%、トランプ支持45.3%です。
("Polling Data," Real Clear Politics, 10/19/2016)

 この中で、「トランプ氏44.1%、クリントン氏43.9%」と「トランプ氏優勢」と打ち出している世論調査が一つあります。米ロサンゼルス・タイムズが南カリフォルニア大学政治研究所と共同で行った「Los Angeles Times/USC Tracking Poll」です。
("Who's Winning? Daily Track of Clinton and Trump's Support," USC Dornsife/LA Times Presidential Election Daybreak Poll," 10/19/2016)

 なぜ、この調査は他と異なる結果が出ているのか。

 担当者は次のように説明しています。「3000人(今回の調査の回答者は1907人)の有権者を対象にクリントン、トランプ両候補への支持を集計すると同時に、「未定」「無回答者」の支持傾向を識別し、両候補の支持率に加算する方法をとっている」
("Why the USC/L.A.Times tracking poll differs from other surveys," David lauter, Los Angeles Times, 8/9/2016)

不正投票が行われる可能性は?

ロサンゼルス・タイムズの世論調査結果が外れていれば、トランプ氏にとっては万事休すということになりますね。

高濱:ところがトランプ氏には「ウルトラC」があるんですよ。

 過去の大統領選において、「何者か」によって二重投票や、投票された票の削除・破棄が行われた事例があるからです。

 信じられない話なのですが、その新事実を明らかにした本が最近、出版されています。調査報道では一目も二目を置かれているグレッグ・パラスト氏が著書「The Best Democracy Money Can Buy:A Tale of Billionaires & Ballot Bandits」(カネで買えるベストな民主主義:億万長者と選挙ドロボーの物語)で取り上げています。
("The Best Democracy Money Can Buy: A Tale of Billionaires & Ballot Bandits," Greg Palast, Seven Stories press, 2016)

 パラスト氏は米連邦政府下の独立機関「選挙支援委員会」(ESC)が保管する全米有権者登録リストを独自に入手し、過去の大統領選で同姓同名の有権者が2つの州で投票していた事実を突き止めました。

 ある保守系億万長者がカネを出し、保守系の息のかかった州務長官(選挙を実施する責任者)に二重投票の操作をさせていたのです。

 トランプ氏は今年1月5日、ニューハンプシャー州での集会でこう述べています。「投票システムは今や制御不能に陥っている。何回も何回も投票している有権者がいるんだ」。トランプ不利とみた保守系勢力が不正を働くかどうか。

 これだけ相手候補を激しく中傷しあい、わいせつ話から露骨な人種差別発言、不倫話まで飛び出した米大統領選挙ですから、何が起こるか、最後の最後までわかりませんよ。(笑い)


このコラムについて

アメリカ現代政治研究所
米国の力が相対的に低下している。
2013年9月には、化学兵器を使用したシリアに対する軍事介入の方針を転換。
オバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と自ら語るようになった 。
2013年10月には、APECへの出席を見送らざるを得なくなった 。
こうした事態を招いた背景には、財政赤字の拡大、財政赤字を巡る与野党間の攻防がある。

米国のこうした変化は、日本にとって重要な影響を及ぼす。
尖閣諸島や歴史認識を巡って対中関係が悪化している。
日本にとって、米国の後ろ盾は欠かせない。

現在は、これまでに増して米国政治の動向を注視する必要がある。
米国に拠点を置いて20年のベテラン・ジャーナリスト、高濱賛氏が米国政治の最新の動きを追う。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/261004/102000028/?

 

せいぜい1ドル90円台、過度な円高はない

もしトランプが大統領になったら…

ソニーフィナンシャルHD尾河氏「急なドル高、議会が牽制」
2016年10月21日(金)
武田 健太郎

 「為替操作で円安に導いている」「米国の自動車メーカーを叩きのめしている」と日本に対して声を上げるドナルド・トランプ氏。選挙戦ではドル安を通じた自国産業の保護を訴えかける。「偉大な米国の復活」に向けた政策は、為替市場に混乱をもたらすと共に、日本など関係諸国の経済に犠牲を強いる内容だ。

 トランプ大統領が誕生したら、日本経済への逆風はどれ程強いものになるのか。外国為替の専門家でソニーフィナンシャルホールディングス執行役員兼金融市場調査部長の尾河眞樹氏に影響を聞いた。

日経ビジネスオンラインは「もしトランプが大統領になったら…」を特集しています。
本記事以外の特集記事もぜひお読みください。
仮にトランプ大統領が誕生した場合、金融市場にどのような影響が出ますか。

尾河:反射的にリスクオフの流れが起きるはずです。米国の経済・政治方針に強い不透明感が出てくる。金融市場では先行きが見通せないことが一番悪いことですので、株価が一旦下落するでしょう。


尾河眞樹 (おがわ・まき)氏
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社 執行役員兼金融市場調査部長
チーフアナリスト。ファースト・シカゴ銀行、JPモルガンなどの為替ディーラーを経て、ソニーの財務部(SGTS)にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。8月から現職。
 トランプ氏は選挙戦でドル安(円高)政策を強調しています。短期的に1ドル=100円を試す展開も予想できますし、今後1年で95円や90円を付ける可能性も十分ありますね

ドル売り協調介入は可能性低い

トランプ氏はかなり強烈にドル安を訴えています。1ドル=80円などの大幅な円高になる可能性はないのでしょうか。

尾河:トレンドとして円高が続くことは避けられませんが、そこまで大幅な円高は予想していません。仮にトランプ氏が大統領に就任しても、極端なドル安誘導など、同氏が訴える経済政策が党内でどれだけ支持を得られるかは未知数だからです。

 トランプ氏は小さな政府を掲げる伝統的な共和党の候補ではありません。その上、最近では過去の女性蔑視発言が出てきて女性の支持が急速に落ちています。共和党の議員たちは、自分たちの支持まで低下するのではと不安視し、トランプ離れが加速しています。身内の共和党議員のサポートが得られないとなると、大胆なドル安誘導政策の実現は難しく、金融市場が大混乱に陥る可能性も少ないと見ています。

プラザ合意の時のように、ドル売りの協調介入を各国に要請するシナリオはありませんか。

尾河:要請しても各国が応じないでしょう。そこまでのリスクを織り込む必要はないと思います。

低金利政策は長期化する可能性


環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)に反対し、中国からの輸入には一律45%の関税をかけるとも言っています。

尾河:ドルを急に安くして輸入関税も上げると、海外からの商品の価格が米国内で高くなり、インフレになっちゃいますよね。ドル安効果が企業業績に波及して賃金が上がってくる前にインフレが起こると、景気にマイナスになります。そんなことは議会が許しません。

 トランプ氏が掲げる色々と無茶な公約は、実際に政策に落とし込む局面では修正されて、そこまで無茶な内容ではなくなる可能性があります。議会からの牽制が効くならば、心配しすぎる必要はないと思います。

米国は現在、利上げへと向かっています。金融政策に変化はあるのでしょうか。

尾河:トランプ氏は利上げに否定的で、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長を交代させるとまで言っている。後任は利上げに対して慎重なハト派の人物を充てることになるでしょう。

 利上げが見送りとなると、短期的には米国の株価を押し上げる可能性がありますが、緩和政策の出口が見えなくなり、先々への不透明感がぬぐいきれなくなる。中長期的には景気にマイナスに働くでしょう。

 そもそも、金融政策はFRBが独立して決めるはずなのですが、変な話になっていますね。

超大規模な公共投資、ドルの信認失う

不動産ビジネスを手がけるトランプ氏ですから、やはり金利は安い方が良いという発想が強いのですかね。

尾河:直接的にどこまで関係しているかは分かりませんが、それもあるかもしれないですね。

財政政策では、クリントン氏が計画する5年間2750億ドル(約28兆円)の2倍以上の公共投資をすると打ち出しています。

尾河:本当にそんなことしたらドルへの信認が失われてしまいます。大型インフラ投資に加えて減税もやると言っている。でも財源をどうするのかという話が全然出てこない。クリントン氏が高所得者への課税強化を財源として示しているのとは対照的です。

 ドルへの不安感が高まり、米国企業が設備投資を手控えて、景気を下押しする流れになる可能性も否定できません。

クリントン氏もドル安誘導を同様に主張しています。順当に彼女が当選した場合の為替はどのように動きますか。

尾河:市場の反応としては、トランプ氏が当選しなかった安心感からドルが買われ、多少は円安に向かうと見ています。年内に1ドル=107円を付けると予想します。公共投資に関しても財源を示していますのでドルの信認への影響も限定的です。クリントン氏もドル安の重要性を唱えていますが、全体的に見るとドル円相場に与えるインパクトはニュートラルだと考えます。

 一方、トランプ氏の落選でドル買いが急速に進み、円安傾向に振れすぎるというシナリオにも警戒が必要です。主要通貨に対するドル相場の総合的な動きを示すドルインデックスが、足下で98まで上昇するなど、節目とされる100に近いドル高水準となっています。この水準までドル高が進むと、為替相場を牽制する発言が米当局から出る可能性は極めて高くなります。さらに、TPPを巡って、自国通貨安を誘導する加盟国に対して対抗措置を取れるよう定める「為替条項」を追加するよう米議会が強く主張する展開も予想されます。そうなると、日本経済にとってはむしろマイナスです。1ドル=110円の手前くらいで行ったり来たりしてくれる為替水準が当面は心地よいでしょう。

選挙前の為替取引は賭け事と同じ

日本国内で為替取引をしている個人に向けて、どのようにアドバイスされますか。

尾河:無理にリスクを取ることはしないでくださいと伝えたいです。丁か半かという2択の時に、わざわざどちらかにベットするのは危険です。かなりの余裕資金があって、損しても生活に問題ありませんという場合は構いませんが、先々必要となる資金でリスクを取るのはいけません。賭け事と一緒なので、避けた方が良いと思います。

 今はクリントン氏優勢と伝わって、短期的には円安進行が予想されますが、テールリスクが存在します。英国のEU離脱が良い例です。どれだけ皆が「離脱反対」と予想をしていても、当日になって風向きが変わることもあります。プロの機関投資家は大きなイベントの前には決して動きません。


このコラムについて

もしトランプが大統領になったら…
米大統領選の投票日、11月8日まで、レースは秒読みの段階に入った。
共和党の候補、ドナルド・トランプ氏には女性蔑視発言という新たな“逆風”が加わった。
共和党の重鎮たちの間で、同氏を見切る発言が相次いでいる。
だが、トランプ氏はこれまで、いくつもの“試練”を乗り切ってきた。
米兵遺族を中傷する発言をした時にも、「タブーを破った」として評価を下げたが、いつの間にか、民主党のヒラリー・クリントン候補の背中が見える位置に戻ってきた。
クリントン氏が再び体調を崩すことがあれば、支持率が逆転する可能性も否定できない。
「もしトランプが大統領になったら…」。
この仮定は開票が済む、その瞬間まで生き続けそうだ。
日経ビジネスの編集部では、「もしトランプが大統領になったら…」いったい何が起こるのか。
企業の経営者や専門家の方に意見を聞いた。
楽観論あり。悲観論あり。
「トランプ氏の就任が米国の『今』を変える」との意見も。
百家争鳴の議論をお楽しみください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/101200023/101900014/
 

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