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もしクリントンが大統領になったらトルコはNATOを脱退する可能性が高い
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2016年10月17日 マスコミに載らない海外記事
Eric ZUESSE
2016年10月14日
Strategic Culture Foundation
今や、トルコの二大指導者のいずれもが、もしアメリカ大統領候補ヒラリー・クリントンが、11月8日に、アメリカ大統領として選出されたら、NATO唯一のイスラム教徒が多数派加盟国であるトルコは、アメリカが対ロシア戦争に向かって動く中、NATOから脱退し、ロシアと同盟する以外の選択肢はほとんどないことを示唆している。
トルコのアナドル通信は、10月12日、“クリントンのPYD/PKKへの武器供与発言は遺憾とエルドアン”という見出し記事で、“レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が、アメリカ大統領候補ヒラリー・クリントンによる、シリア・クルド人への武器供給発言は‘遺憾'だと批判 し、クリントンは、'我々はPYDとYPG支持を継続する。’と述べたと報じた。 [この二つは、クルド人政治組織で、YPGは、トルコからのみならず、シリアからも、更にイラクからも、貴重な土地と資源を奪うことになるクルド国家設立のために公然と戦っている。] 'これは実に遺憾な発言だ'とエルドアンは述べた。”エルドアンによるこの主張には、前日のトルコ首相による、下記の一層強い発言に続くものだ。
AP通信は、10月11日火曜日“火曜日、トルコのビナリ・ユルドゥルム首相は、シリアで、クルド戦士を支援するために、彼女は兵器提供を検討するつもりであることを示唆する発言のかどで、ヒラリー・クリントン・アメリカ大統領候補を批判した。” CBSニュースは、このAPニュース報道を“トルコ、クリントンのシリア提案を激しく批判: 'アメリカは我々の同盟ではないか?’”という見出しで報じた。ミリタリー・タイムズは、これを“トルコ、シリアのクルド人支援を示唆したかどで、クリントンを酷評”という見出し記事にした。APは、記事で、クリントンがアメリカ大統領になった場合、トルコ政府が抱くであろう深刻な懸念について書いている。
煎じつめて言えばこうだ。その独立がトルコにとって深刻な脅威となる、クルド人の分離と、彼らが独立国家を形成するのを認めるという、クリントンによる再三の支持に、トルコ指導部は心底から反対なのだ。
2016年7月15日、民主的に選ばれたトルコ指導部を、アメリカ-CIAがスポンサーになって支援し、アメリカに亡命しているフェトフッラー・ギュレンを奉じる指導部に置き換えることを狙った軍事クーデター未遂を、トルコ政府が壊滅させて以来、ワシントンとアンカラ政府の関係は極端に緊張しているが、トルコの視点からすれば、ヒラリー・クリントンは、アメリカ大統領バラク・オバマより、もっとひどいことになる。
別のアナドル通信報道は、10月12日“演説の中で、首相は、主要野党の共和人民党(CHP)は、不当に扱われているというフェトフッラー・テロ組織(FETO)の主張”に 'だまされている' と述べたと報じている。トルコ指導者たちは、最近のクーデター未遂を、CIA主導の作戦と見なしていることを明らかにしている。2016年8月18日“トルコ・クーデター未遂の背後に何かあったのか?”という見出し記事で、私が報じた通り、エルドアンとユルドゥルムは、この疑問に対する答えを知ってるだけでなく - アメリカ政府が黒幕で - もしロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、エルドアンに、クーデターが起きそうだと、直前に知らせていなかったら、二人とも今頃ほぼ確実に死んでいたはずなのだ。
そこで、7月15日以来、トルコは、アメリカ合州国に対する防衛を大幅に強化した。またトルコ指導者たちは、一体なぜクルディスタン創設が、トルコにとっても、イラクとシリアにとっても、とんでもないことになるかを理解している。しかも、CIAは、少なくとも1949年以来、それを狙ってきたのだ。7月16日には“合意に達し、最新のアメリカの約束は、直接の軍事支援と、4億1500万ドルの財政支援で”これは“クルド人の重要性の更なる証拠”で、7月18日“アメリカは、イラクのクルディスタン地域に、5個所の軍事基地を開設予定”だ。これはアメリカ支配層が、クルド人を愛していたり、あるいは、トルコ国民を愛していたり、イラク人を愛しているためでなく、アメリカ支配層が既存のトルコ政府を打倒したがっているためだ。もっぱら石油とガス事業でアメリカの億万長者が、パイプライン建設や石油とガスのヨーロッパへの販売など、美味しい部分にありつけるのだ。
アメリカ国民は、こうしたことを知らないかも知れないが、トルコ指導部は知っており、アメリカ指導部は知っており、ロシア指導部も知っている。そしてオバマ大統領が選んだ後継者、ヒラリー・クリントンも知っている。結局、彼女は、アメリカの現大統領が、その後継者として望んでいる人物なのだ。もし彼女が後継者になれなければ、彼の歴史的遺産(巨大な政治力を有するアメリカのひと握りの集団に対する彼の奉仕)まるごと台無しにされるが、ロシアと中国の孤立化や、その目的のためと、多国籍企業に支配力を与えるTPPとTTIP‘貿易’協定を含めた、彼の外交政策に、特にこれは当てはまる。彼女も、ロシアを征服し、彼がそうしているように、彼女の財政援助者連中に奉仕すると固く決意している。
このロシア征服の取り組みからトルコを失うのは、アメリカ支配層にとって大打撃だ。
アメリカのAP通信は、10月10日、“関係改善する中、トルコとロシア、ガス・パイプライン協定調印”という見出し記事で、この二国は“関係正常化の取り組み”を進めており、そこで“ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が、両国のエネルギー相が、ガスを、ロシアからトルコにもたらすトルコ・ストリーム・プロジェクトの政府間協定を調印するのを見つめていた。ガスは更に欧州連合諸国に配給される予定だ。”と書き出している。アメリカのクーデターの企みに関することや、これが、サウド王家の石油と、サーニー家(カタールの)ガスを、シリア経由で、ヨーロッパへとパイプラインで送り、ロシアの石油とガスを置き換えることを可能にすべく、原理主義-スンナ派、親サウジアラビア(シャリア法)政権をシリアにしつらえる為、世俗的なシリア政府を打倒する、1949年以来のCIAの取り組みにおけるオバマ段階の終わりの始まりであるというような、これを理解するための他の密接に関係する背景は一切報じられてはいない。
もしトルコがNATOを離脱すれば、第二次世界大戦後世界秩序丸ごとが再編されることになり、アメリカ政府は、もはや他の国々を締め付けることができなくなるだろう。これは、これは直接、国連(FDRのたまもの)には影響しないだろうが、事実上、あらゆるものに直接影響する(ウィンストン・チャーチルが産み出し、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュと、彼以降のアメリカ大統領全員が現在に至るまで継続している冷戦というものを終わらせる - )。なぜこれが現在起きているかについて言えば、アメリカ支配層が、これ以上にロシア征服を進める唯一の方法は、アメリカの冷戦を第三次世界大戦に変えることなのだが、一部同盟諸国の支配層は、そこまでするのを拒否している。トルコは、そうした拒否の一例に過ぎないが、7月15日に、プーチンがエルドアンの命を救うまで、トルコは、アメリカ政府計画の一環であって、その計画に反対するもう一つの敵ではなかった。
現在のアメリカ大統領選挙は、何よりも、冷戦(1990年以降は、一方的なアメリカによる対ロシア戦争で、もはや、両方向によるイデオロギー戦争ではない)を継続するのか、核戦争かだ。アメリカ‘選挙’‘討論’の大半を占めている小さな問題や、取るに足らない問題に関するものを除いて、アメリカ国民は、まだそうと知らされてはいないが、つまるところ、これにつきる。
本当の諸問題に関しては、ほとんど何の報道もされていないが、本当の問題というのは、もし将来、振り返ってみる機会があれば、振り返ってみた際に重要な問題なのだ。だからといって、他の諸問題は重要ではないと言いたいわけではなく、そうした諸問題はこの質問より遥かに重要度が落ちるというだけのことだ。つまり、第三次世界大戦 - イエスかノー。しかも、重要さの低い問題に関して公開されている論議は、実に欺瞞的なので、国民はいずれにせよ、多分にウソを基に投票することになっている。
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