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米ミズーリ州セントルイスのワシントン大学で、第2回大統領選討論会に臨むヒラリー・クリントン氏(左)とドナルド・トランプ氏(2016年10月9日撮影)。(c)AFP/Paul J. Richards 〔AFPBB News〕
米大統領選、出血を止めたトランプ氏だが・・・ ファンを喜ばせ、中道派の嫌悪を買う言語道断の脅し
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48108
2016.10.13 Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年10月11日付)
期待値のバロメーターでは、共和党の大統領指名候補、ドナルド・トランプ氏が2回目のテレビ討論に「勝った」。同氏は自滅すると見られていたが、しなかった。恥ずかしそうなそぶりを見せる代わりに――討論会の前の48時間に暴露されたことを考えれば、大半の人間なら決まりが悪かったろう――、自分のモットーを貫いた。「絶対に説明するな。絶対に謝るな」がそれだ。トランプ氏はこのモットーにしがみつき、討論を前人未踏のどぶへ投げ込んだ。
最も甚だしい例を挙げると、トランプ氏は、自分が大統領だったら、ヒラリー・クリントン氏は刑務所にいるだろう、クリントン家の犯罪容疑を捜査する特別検察を設置すると述べ、クリントン氏が夫による女性の性的虐待を可能にしたと言い放った。ポーラ・ジョーンズさんをはじめ、被害に遭った女性4人が会場内に座っていた。
どんな歴史的基準に照らしても、自分が選出されたら対抗馬を投獄すると脅すことは、大統領指名候補の終わりを告げたはずだ。「彼女は心に憎しみを抱いている」と言うことも、多分にそうだったろう。ところが、2016年の米国の歪んだ流れにおいては、それがトランプ氏のカムバックの役割を果たした。
こうしたやり取りを近代史で判断することは無意味だ。「トランプvsクリントン」の争いでは、米国の大統領制民主主義は19世紀に最後に見られたような侮辱のバザーと化した。激しく二極化した有権者を受け継いだ揚げ句、その亀裂は深まる一方だった。今年の堕落した基準と照らしても、ハードルはすでに下がっている。トランプ氏の脅しは言語道断で、最低記録をさらに更新した。
だが、トランプ氏は事前に、ビル・クリントン元大統領の性的な過去を持ち出し、かつて元大統領の犠牲になった人たちを招待すると明言していたことから、それが世間にショックを与えることはなかった。
メディアの観測筋――その大半は、トランプ氏の平均的な批判派と同じくらい同氏の人格に憤慨している――は、トランプ氏の支持者が聞いていることを同じように聞いてない。彼らの目に映るのは、女性の競争相手を威嚇しようとしている恥知らずな男のいじめっ子かもしれない。トランプ氏のファンは、完全なインサイダーに対して、誰もあえて口にしない真実を突きつけるアウトサイダーを見て取る。
各候補の言葉の真実性を評価する別のバロメーターでは、トランプ氏は明白な敗者だった。政策に関する事実上すべての答えに、とてつもないウソが含まれていた。トランプ氏いわく、何万人ものシリア人が米国に押し寄せている。いわく、トランプ氏が大統領だったら、イラクで亡くなったイスラム系米国人のフマユーン・カーン陸軍大尉は、まだ生きていた。「私以上に女性を尊重している人は誰もいない」――といった具合だ。
だが、もし事実を理解していることが重要だったとしたら、トランプ氏はそもそも討論会のステージに立っていなかったろう。真実が意味を持つのは、証拠について合意された規則があるときだけだ。米国の二極化を最も見事に測るのは、そうした共通の基盤の欠如だ。
2回目の討論会でのトランプ氏のパフォーマンスは、支持率回復につながるのだろうか。それは疑わしい。同氏は恐らく、最初の悲惨な討論会以来苦しんできた出血を止めた――少なくとも一時的には。だが、6〜8ポイントにのぼる世論調査でのクリントン氏のリードを覆すのは非常に難しいだろう。
さらに、クリントン氏を刑務所に送るというトランプ氏の脅しを受け、一段と多くの共和党幹部が同氏の旗印の下から大量脱出する可能性が高い。民主的なゲームでこれほど基本的なルールを破っておいて、ルールを理解する人たちの反感を買わずに済むわけがないのだ。トランプ氏の発言は独裁者の話し方だ。
トランプ氏の支持者の多くは、まさにそのような強権的指導者を求めている。同氏の2度目の討論の後、支持者らは勢いづくだろう。だが、トランプ氏が勝ち取る必要がある中道派は、以前にも増して強い嫌悪感を抱くだろう。これは本当に、なかなかあり得ないことだ。
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