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北朝鮮の西海発射場で、静止衛星の打ち上げロケットに搭載される新型エンジンの試験を視察する金正恩朝鮮労働党委員。北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)配信(資料写真、撮影日不明、2016年9月20日配信)。(c)AFP/KCNA〔AFPBB News〕
北朝鮮による米国民拉致疑惑、米国政府が本格調査へ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48047
2016.10.5 古森 義久 JBpress
米国人青年が中国で北朝鮮に拉致された疑いが濃厚であることを、本コラムでも伝えてきた(「自国民が拉致された!北朝鮮に米国の鉄槌は下るか」「失踪の米国人青年、『北朝鮮が拉致』と世界が報道」など) 。その事件について公式調査を行うよう議会が政府に求める決議案が、9月末に下院本会議で正式に採択された。
この結果、米国政府が「北朝鮮による米国人拉致」について本格的な調査を始めるとなると、日本人の拉致事件の解決にも前向きな影響を及ぼすことが期待される。
■家族の調査と日本からの要請が米国議会を動かした
米国人のデービッド・スネドン氏は韓国に2年ほど留学した後、帰国する途中、中国を旅行し、2004年8月に雲南省の虎跳渓付近で行方不明となった(当時24歳)。家族などからの問い合わせに対し、中国当局は当初、同氏が通過していた名勝の虎跳渓で川に落ち、溺死したようだと伝えていた。
国務省をはじめ米国政府は、スネドン氏の失踪に対してきわめて消極的な姿勢をとってきた。中国側の公式説明をそのまま受け入れ、「北朝鮮政府による拉致を証明する決定的な証拠がない」として事実上放置してきた。
だがその後、家族の現地調査で、スネドン氏は渓谷を渡り終えていたことが確認された。同時に、日本の拉致問題の「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)は、「当時、雲南省の同地域では北朝鮮工作員が脱北者などの拘束のために暗躍しており、米国人青年も拉致した」という情報を中国側から入手してスネドン氏の家族に伝えた。この情報により、スネドン氏は実は北朝鮮工作員に拉致され、北朝鮮に連行されたままになっている可能性が高いことが明らかとなった。
また、元拉致問題担当大臣の古屋圭司衆議院議員は、米側上下両院に米国としての本格的な調査に向けた決議案の提出と採択を一貫して訴えてきた。
古屋氏は、米国の政府や議会が疑惑解明に向けて動くことは、日本人拉致事件の解決にもつながるとして、ワシントンを頻繁に訪問し、米国議会上下両院の議員たちに直接働きかけてきた。古屋氏の働きかけは功を奏し、同決議案への米側賛同議員の数は増えていった。日本の議員の訴えで米国議会の決議案が前進したケースは珍しい。
こうしたスネドン氏の家族の必死の調査と日本側からの強い要請で米国議会が動き、2016年2月、上下両院にスネドン氏の行方調査を米政府に求める決議案が提出された。
決議案は、スネドン氏が北朝鮮に拉致されたらしい理由として以下の事柄を列挙した。
(1)同氏は渓谷を越えた地点の朝鮮料理店で目撃されており、「転落した」は根拠がない。
(2)当時、この地域は脱北者やその支援者の通り道とされ、北朝鮮工作員が活動し、拉致も行っていた。
(3)日本の民間組織から「米国人大学生が雲南省で北に拉致された」という情報があった。
(4)北で軍の要員に英語を教えてきた米国人チャールズ・ジェンキンス氏が前月に出国し、後任が必要だった、など。
それらを踏まえ、決議案は米国務省や情報機関に対し、日本や中国と協力して調査を進めることを求めていた。
■前向きに調査に乗り出す米国政府
そして、ついに9月28日、米国議会下院本会議は「デービッド・スネドン氏の失踪への懸念表明」と題する決議案を全会一致で採択した。
同日の下院本会議では同決議案の提案者のクリス・スチュワート議員(共和党・ユタ州選出)が発言し、同決議案の趣旨として、(1)米政府機関が本格的な調査を開始する、(2)日本や韓国、中国の各当局にも協力を求める、(3)調査の状況を米議会に報告する──ことなどを指摘した。その後、決議案は本会議にかけられ、全会一致で可決された。
米議会のこうした動きの背景には、9月はじめにスネドン氏拉致疑惑が国際的なニュースとして報道されたという経緯もあった。「スネドン氏は平壌で現地女性と結婚して2児の父となり、北朝鮮の金正恩委員長を含む要人らに英語を教えている」という証言が韓国から発せられ、欧米メディアもスネドン氏拉致説を一斉に報道していた。
米国務省報道官もこの下院決議案採択を受けて「拉致の決定的な証拠はまだないものの、北朝鮮との関連を中心に調査を続けていきたい」と述べ、従来よりも前向きな対応を示した。米国が本格的な調査を始めれば、日米連帯によって日本側への好影響も当然期待される。
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