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(回答先: OPEC 事実上の減産で合意〜原油価格が上昇に転じるのか注目/nhk 投稿者 仁王像 日時 2016 年 9 月 30 日 05:49:21)
「OPEC減産合意 どうなる原油価格」(時論公論)
関口 博之 解説委員 2016年09月29日 (木)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/253651.html
▽原油価格の引き上げを狙って、OPEC・石油輸出国機構が動きました。
OPECは28日、アルジェリアで開いた会合で、生産量に上限を設ける、事実上の減産で合意しました。
ただし、今後、加盟国毎の生産量まで決めて、減産が実現するのかは、まだ不透明です。
ここ数年の原油安の流れが変わるのか、を考えます。
▽解説のポイントは三つです。
内部対立が続いていたOPECがなぜ急転直下、減産でまとまったのか、今回の合意の背景を探ります。
今後のカギは、11月に開かれる次のOPEC総会までに、加盟国の国別の生産割当量が決められるのかどうか、です。
それが具体化すれば、原油価格も本格的に上がることになりそうです。
その場合、日本経済にはどんな影響があるのでしょうか。
これにはプラスマイナス両面があると見ておく必要がありそうです。
▽今回の合意の中身は、加盟国全体の生産量の上限を1日あたり3250万バレルから3300万バレルにするというものです。
8月のOPECの生産実績は3324万バレルですから、最大で70万バレル程度の減産を目指すということになります。
OPECが減産で合意したのは、リーマンショック直後の2008年以来で、7年9カ月ぶりになります。
▽その間の原油価格を代表的な指標であるアメリカのWTI原油で見ますと、一昨年2014年半ばまでは1バレル100ドル前後で推移していましたが、その年の夏以降、中国経済の減速など、世界経済の先行き不透明感の中で急激に値下がりし、今年1月には一時30ドルを割り込みました。
その後、やや戻したものの40ドル台で一進一退の値動きになっていました。
石油の消費国にはプラスでも、産油国には厳しい状況が続いていたのです。
▽背景にあるのが、OPECの中でのサウジアラビアとイランの対立です。
イランの核開発に対する、国際的な経済制裁が今年、解除されたことで、イランは輸出拡大を目指し、増産意欲を高めます。
このためOPEC全体の生産量は、歴史的に見ても最高の水準にあります。
一方、サウジアラビアは、価格の引き上げより、シェアを維持することを重視するという姿勢でした。
サウジアラビアは、減産で自国だけが割を食うことを嫌って、イランも含めてOPECの主要産油国全ての合意が必要だ、として譲らず、対立が続いてきたのです。
▽生産調整への模索もなかったわけではありません。
今年2月にはサウジなどOPEC3カ国にロシアを加えた4カ国で「まず増産凍結を」という暫定合意がなされましたが、イランが同調せず、結局、失敗しました。
非OPECの産油国も交えて開かれた4月の18カ国会合や6月のOPEC総会でも合意には至りませんでした。
▽それが今回なぜ合意したのか、実のところはまだはっきりしません。
先進国の景気回復が鈍く、石油の在庫も積み上がっていて、世界的に需要と供給のバランスの回復には、なお時間がかかるという予測が強まり、OPECが危機感を持った可能性もあります。
またOPECの盟主のサウジでも、原油収入に国家予算を頼っているため、財政悪化が深刻になってきている、という指摘もあります。
一方、イランは、経済制裁前の生産水準は、ほぼ回復してきています。
イラン自身は更なる増産を主張してはいるものの、妥協が成り立つ余地も、見えつつあったのです。
▽しかし、その真意については、専門家の見方も揺れています。
当初は単なる非公式会合だったものが、OPECの臨時総会に格上げされたことから「今度は本気だろう」という見方がある一方、原油価格の下支えのために、取りあえず減産を打ち出してみて、「時間稼ぎ」をしようとしたのでは、という醒めた見方もあります。
▽サウジとイランの対立は、当面解消しないだろうと見ていた市場関係者が多かっただけに、今回の合意はサプライズでした。
このため昨日の海外市場では1バレル3ドル近く値上がりし、今日の東京でも、原油価格は上がりました。
ただ石油業界の専門家は、これが1バレル50ドルを突き破って60ドル、70ドルというレベルに一気にはね上がるとは考えにくい、とも話しています。
▽原油価格の今後を左右するカギになるのが、 加盟国の国別の生産割当量に、上限を設定できるかです。
直近8月時点でのOPEC各国の生産量を見ると、サウジが3分の1近くを占めているのですが、これに次ぐのがイラクとイランで、それぞれ10%余りあります。
1日70万バレルの削減幅をどう割り振るのか、減産の正式合意を目指す11月末の総会までに合意できるのかどうか、最大の注目点になります。
OPECはここ数年「国別生産枠」という議論そのものを避けてきたのが実情ですから、まとめるのは簡単ではないでしょう。
▽さらにもう一つの要素があります。
それがアメリカのシェールオイルです。原油価格が低迷する中、コストが高いシェールオイルは採算割れで、生産が大きく減っていました。
仮にOPECの減産が実現して、原油価格が上がってきた場合、止めていた生産を復活させるのかどうか、そうなると減産の効果を打ち消すことになるだけに、これも目が離せません。
▽さてそれでは、原油価格の行方は、日本経済にどのような影響を与えるのでしょうか。
国内的には、原油が上がれば当然、物価の上昇に繋がります。
代表例はガソリン価格です。
レギュラーガソリンの全国平均価格は、おととし7月に1リットルあたり170円目前まで上がり、ピークをつけましたが、その後の原油安で、今年3月には112円台まで下がりました。
そこから今度はじわじわ上がり、先週は122円台になっています。
原油価格の上昇がガソリン価格に跳ね返るには、多少の時間的なずれもありますが、基本的には連動し、小売価格も上がる恐れがあります。
さらに原油の値上がりは、全体的なコストの上昇要因となって企業の収益を圧迫することにもなります。
▽けれども、影響はマイナス面だけとは限りません。
これまでの原油安という流れが変わって、反転するということになれば、資源の輸出で外貨を稼ぐ、新興国や資源国の経済の回復につながります。
もっとも、新興国でも中国は原油の純輸入国なので追い風ばかりとは言えないのですが、それでも世界経済全体からすれば、「先行きの下振れリスクを減らす」ということにはなります。
それは投資家の安心材料になって、株高に繋がる可能性もあり、これらはグローバルに見たプラス面といえます。
▽さらに、これは少々うがった見方ではありますが、デフレからの脱却、消費者物価の2%の上昇を目指す政府・日銀にとっては原油安の値上がりもむしろ歓迎、というところかもしれません。
ただこれは、国民や生活者が望んでいる物価上昇の姿では多分ないでしょう。
▽本来ならば、原油安の恩恵がまだ及んでいる今のうちに、早く成長軌道に乗せ、強い経済を作っておかなければならないのだと思います。
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