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欧州覆うトルコの影 ドイツが頼るもろ刃の剣:トルコが過激派に拠点提供などと意図的にリークした独政府
http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/316.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 9 月 18 日 04:04:30: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


 転載する記事にある「独内務省の文書の一部が報道で明らかになり、物議をかもしている。トルコは2011年以降、同国内で様々なイスラム過激派グループに活動拠点を提供している。さらに、ドイツや欧州各国のトルコ系の住民に働きかけて本国の影響力を広げている――といった内容だ。」のという話は、外交を仕切る外務省はそれについて知らん顔で、内務省も“手違い”で漏れたものと抗弁している出来事である。

 シリア、イラクでのIS騒動を中心とした内戦が終局を迎えるなか、トルコがシリアやイラクの内戦にどう関与したのか一端をわざともらしたと思われる。

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[中外時評]欧州覆うトルコの影 ドイツが頼るもろ刃の剣 
論説委員 玉利伸吾

 ドイツの足元を揺さぶる国がある。欧州連合を離れる英国ではない。債務問題がくすぶるギリシャでもない。長年の同盟国トルコである。強権化を進める同国との連携を強めるのか。距離を置くか。難民対策の鍵を握るだけに、トルコの動向はメルケル政権の行方にも影響しかねない。

 メルケル首相は今月初め、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれた中国・杭州で、トルコのエルドアン大統領と会談した。7月のクーデター未遂事件以来、悪化しているトルコとドイツや欧州連合(EU)との関係改善に向けて話したとみられる。

 難民流入に苦慮したEUは3月、トルコと協定を結び、流入ルートの一部をとじた。クーデター失敗後、大統領は大規模な弾圧を続け、死刑復活を認める発言を繰り返すなど強硬策を取り続けている。これをEUが批判したことで、トルコは協定の白紙化を匂わせ、流入抑制策にも遅れが目立ち始めている。

 ドイツは欧州の盟主として難民対策を主導し、トルコとの交渉にあたってきた。しかし、独連邦議会が今年6月、第1次大戦中のトルコ系オスマン帝国によるアルメニア人殺害を「大量虐殺」と認定する決議をしたことに、トルコが強く反発。同国内の空軍基地へのドイツ人の立ち入りを制限するなどの措置をとり、対立が深まっていた。

 メルケル首相は大統領との会談後に「近く前向きな成果が得られるだろう」と語り、事態打開の見通しを示した。難民問題ではドイツ国内で受け入れ反対の声が強まり、支持率にも響いている。流入抑制に欠かせないトルコの協力をなんとか取り付け、連携を維持したいようだ。

 ドイツには150万人を超えるトルコ人が住んでいるという事情もある。1960年代に労働力不足に直面した旧西独が受け入れ始めた出稼ぎ労働者が増えた結果で、欧州でも際立って多い。いまでは、第二、第三世代が育ち、トルコ系中小企業も増加するなど移民社会の存在感も大きくなっている。

 しかし、トルコ系が社会に溶け込んでいるとはいえず、隔たりも残る。これまでにも外国人排斥を掲げる極右勢力による放火や襲撃事件が起きた。難民の大量流入、イスラム過激派によるテロ活動などが活発化する中では、トルコとの良好な関係がますます重要になっている。本国とのあつれきがドイツ国内に飛び火するのは避けたいからだ。

 危機感の表れか。メルケル首相は先月末、公共放送ARDを通じて、トルコ系の住民に呼びかけた。「私はこの国で長く暮らしているトルコ系の人々の首相でもある。みなさんはこの社会に溶け込むよう努めてほしい。私たちの国が発展できるように、貢献してくれることを願っている」

 エルドアン政権との協力はもろ刃の剣である。協力は必要だが、肩入れしすぎると内外の反発を招く。EU各国やドイツ国内にも、独裁を強める大統領とは距離を置くべきだ、との声が根強くある。

 先月、独内務省の文書の一部が報道で明らかになり、物議をかもしている。トルコは2011年以降、同国内で様々なイスラム過激派グループに活動拠点を提供している。さらに、ドイツや欧州各国のトルコ系の住民に働きかけて本国の影響力を広げている――といった内容だ。背景には、中東や欧州のイスラム化を進めることで、エルドアン大統領の権力拡大につなげる狙いがあるという。

 ドイツ政府は内容の説明を避けており、トルコとの連携を批判する声がさらに強まる可能性もある。地元紙は「エルドアン大統領は、ドイツのパートナーでテロの黒幕――メルケル首相は沈黙し、独裁者に取り入る」(「ウェルト電子版」)などの記事で、問題の構図を報じている。

 外交も複雑だ。トルコはクーデター失敗後に米国との関係が悪化した。加えて、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるにもかかわらず、ロシアやイランと関係を改善し、急接近している。欧州、特にドイツにとって、どこまで協力していいのか、判断が難しくなっている。

 メルケル首相が難民に国境を開放して1年。当初の歓迎ムードは一変した。首相の支持率も過去5年で最低に落ちた。先日の地方選では、反難民の右派政党が躍進し、「政権の終わりの始まり」を宣言した。

 難民対策が行き詰まれば、状況はもっと悪くなる。実際に、終わりが始まるのかどうか。メルケル首相が、もろ刃の剣を使いこなせるかどうかにかかっている。

[日経新聞9月11日朝刊P.13]

 

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