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シリア停戦発効の影にトルコとロシアの裏取引〜停戦の影でシリアの分断の固定化が一段と進んでいる/ 佐々木伸
http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/285.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 9 月 14 日 21:29:20: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

シリア停戦発効の影にトルコとロシアの裏取引/ 佐々木伸 (星槎大学客員教授)
http://blogos.com/article/190495/

 米ロ主導で12日日没(現地時間)からシリアの停戦が発効する。停戦が維持されるのかどうかは予断を許さないが、今回の合意の影でシリアの国土分断の固定化が一段と進む懸念がある上、トルコとロシアがクルド人封じ込めなどをめぐって裏取引したとの観測が浮上している。

不可解な合意のタイミング
 (中略)
 合意の骨子は、12日日没から全土で停戦に入り、停戦が1週間続いた後、激戦地の北部アレッポなどの包囲地区住民へ食料、水、医薬品などを搬入する人道支援を開始。米ロがテロ情報の共有と、過激派組織「シリア征服戦線」(旧ヌスラ戦線)や「イスラム国」(IS)攻撃のための「合同履行センター」を設置する。

 ロシアがシリア政府軍に反体制派地区を空爆させない代わりに、米国はアレッポ周辺などで「シリア征服戦線」から反体制派が離れるよう説得し、米ロが過激派のみを攻撃の対象にできるようにする方針。しかし、ラブロフ外相自身、「合意の実現は100%保証できない」と不安を口にしているように、シリア政府軍や内戦の当事者が米ロの設定したプロセスに従うかどうかは不明だ。

 特にこれまで反体制派とともに政府軍勢力と戦闘してきた「シリア征服戦線」は反体制派から引き離されないように動くと見られ、反体制派の領域から攻撃を仕掛け、停戦を崩壊させようとする可能性が強い。これに政府軍が空爆などで対応すれば、停戦があっという間に崩壊する危険性すらある。

 それにしても今回の合意のタイミングは不可解だった。激戦の続くアレッポは8月、政府軍勢力がいったんは反体制派地区を完全に包囲したものの、その後南西部で「シリア征服戦線」が政府軍側を撃退し、包囲網が崩れた。

 これに対してロシア軍、シリア政府軍が猛爆を加え、9月9日に再び政府軍側が完全包囲に成功、この直後に停戦合意が発表された。反体制派の一部は「明らかに完全包囲を待った上での発表だ」と批判。その狙いについて、“アレッポの包囲は国際的な承認を得たもの”というメッセージを発することにあった、と指摘している。

トルコ、緩衝地帯設置に布石
 停戦前になんとしてもアレッポの完全包囲を達成したかったのか、ロシア軍とシリア政府軍のこのところの空爆は激烈を極め、10日にはアレッポなどでの攻撃で少なくとも85人以上が死亡した。8月1ヶ月間だけで、病院が13回も空爆を受けた。

 このアレッポの激戦を尻目に8月24日にシリアに侵攻したトルコ軍は安全保障上の脅威と見なすクルド人の勢力拡大を阻止することに全力を挙げ、クルド人をシリア北東部に封じ込めようと図っている。西方への進撃をトルコ軍に食い止められたクルド人は3月に宣言した“連邦自治国家”の憲法作成を急ぎ、あくまでも分離・独立を目指す構えだ。

 トルコは侵攻したシリア領内に100キロ四方の「緩衝地帯」を設置、この一帯を「ノー・フライゾーン」(飛行禁止空域)として、トルコの安全保障地帯とするとともに、トルコが抱えるシリア難民約200万人の居住区にしたい考えだ。安全保障ベルトと難民の帰還先を一挙に確保する一石二鳥の構想だ。

 トルコは侵攻した国境沿いに急ピッチで電線を設置しつつあり、シリア領内の支配地域に電気を供給し、緩衝地帯に向けた布石を着々と打ち始めている。中東地域では、今回の停戦に当たって、トルコとロシアがシリアの支配をめぐって秘密取引をしたとの観測も出回っている。

 流布されている取引は、ロシア支援のシリア政府がアレッポの支配権を握ることを反体制派支援のトルコが了承。その見返りとしてロシアはトルコがクルド人勢力を自由に攻撃することを黙認するというものだ。

 いずれにせよ停戦の影で鮮明になってきたのは、シリアの分断の固定化が一段と進んでいるということだ。シリア政府は首都ダマスカスと最大都市アレッポ、そして東部の地中海沿岸地帯を「小シリア」として支配。

 トルコは“緩衝地帯”である北部の一帯、クルド人は北東部地域、政府軍を支援するレバノンの武装組織ヒズボラはシリア南部のレバノンとの国境地帯、反体制派地域はスンニ派教徒が支配、といったような将来のシリア像が浮かび上がっている。

 しかしこうした分断化の固定はIS壊滅の大きな障害になる。死に物狂いのISから多大な血を流して領土を奪回するよりも、確保した自分たちの支配地を守ろうとする力学が働くからだ。米国は先頭に立ってIS壊滅の旗を振っているが、地上での地元の戦闘勢力が誰もいなくなるという最悪の事態に直面してしまうかもしれない。
 

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コメント
 
1. 仁王像[1091] kG2JpJGc 2016年9月14日 21:41:55 : c21iHLvj3E : V5p1e65kz4s[1]
記事の日付:2016年09月14日

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