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「EU離脱派衆愚の選択だったのか?」:「EUは10年以内に内部崩壊する」作家ブライアン・フリーマントル
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 9 月 10 日 03:43:13: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


『週刊新潮』9月1日号
P.49〜52

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「EU離脱派衆愚の選択だったのか?」英国の巨匠2人に尋ねる

「EUは10年以内に内部崩壊する」
作家ブライアン・フリーマントル

(1936年、英サウサンプトン生れ。国際関係の記事を専門とするジャーナリストとして活躍し、デイリー・メール紙の外報部長を務めた後、小説家に。『消されかけた男』をはじめとする英国情報部員<チャーリー・マフィン>シリーズなどで人気を博す一方、緻密な取材に基づくノンフィクションも発表している。)

大英帝国の復活はあるか


 デイビッド・キヤメロン前首相は自国のEU脱退を阻止しようと躍起になるあ
まり、英国が離脱すれば第3次世界大戦を引き起こしかねないと主張した。
 それでも英国は離脱した人そして、宣戦は布告された。
 民主的に選出され、民主的な投票をもって決定を下す世界のリーダーたちによつてではない。怖気づいて居丈高になった、選挙で選ばれたわlヰりでもないEUのリーダーたちが (お望みなら独裁者と呼んでもかまわない)、無税の必要経費にぬくぬくと守られた自分たちの生活が崩れ去るのを恐れてのことだ。

 ブレグジット(Brexit=「英国脱退」の意)を強く支持した1741万742人の有権者のひとりとして、私はEUがあと10年以内に内地叩崩壊すると予測しよう―。実際、その時期がさらに早まるという試算もある。
 理由は過剰な官僚体制と説明責任の回避、圧倒円的な移民の数、lそれに加えて、ユーロが他の27のEU加盟国にとって有用な通貨でないことがついに認識されたことだ。
 今回のブレグジットを横に、ヨーロッパ全域に蔓延する失望感に、より注目が集まることになった。ギリシャもEUへの負債に繋ぎ溜められなければいずれ離脱するだろう。フランスでも脱退賛成が60%を超えているという世論調査の結果が出た。ドイツ、イタリア、スペインでも反EUのうねりが、選挙における極右政党の躍進によって高まっている。

 そうした「破局」を食いとめる戦争は、爆弾やミサイルによるものではなく、官僚主義の消耗戦となるだろう。

 戦いの火蓋を切ったのは欧州委員会委員長のジャン=クロード・ユンケル。就任の際には公にキャメロンからの強硬な反対に遭ったが、その恨みからか他のEU加盟国への警告として、英国の離脱を具体的に手助けするつもりはないという意思を明らかにした。

 ユンケルの主戦場は、ロンドン東部にある広さわずか1平方マイルの、欧州の金融の中心地シティである。そして、彼が念入りに選んだ“将軍”、元フランス外相のミシェル・バルニエは、欧州委員会内部の一長官の地位と英国離脱の交渉責任者の役割を与えられ、ユンケルと直接連絡をとることになった。
 離脱派の勝利後、キャメロンに代わって英国首相となったテレサ・メイは、交渉もなしに用意された規則や規制ではない、まったく新しいタイプの貿易協定を望んでいる。御年65歳のバルニエはすでに、金融サービス規制法に対する「寄せ集め」的アプローチは実行不可能だ、また、「二つの独立した市場、つまりロンドンのシティとEUの市島」は共存し得ないと警告している。

 2010年から11年にかけてEUの域内市場・サービス担当委員を務めた折、パルニエは欧州の銀行、市場、保険関連の法規を書き換える40の提言を行った。それがシティに及ぼした影響から、「ヨーロッパ一危険な男」とあだ名されるようになったのだ。
 前の労働党政権下でシティ担当大臣だったマイナーズ卿は、英国上院という公の場でこんな思い出話をした。パルニエが財務省ビルの、数々の芸術作品が掛けられた廊下を歩いていたときのことだ。
「私は大の美術愛好家なので、彼が絵の前でいちいち立ち止まって見ているのに感心したんだ。ああ、ここに同好の士がいると思ってね。ところがそのうち気がついた。彼は実は、絵の額のガラスに映る自分の顔を見て、髪だかカツラだかを直していたのさ」
 マイナーズ卿はこのフランス人を、敬して遠ざけるべき相手だとみなした。保守党のアンドリュー、ブリッジェン下院議員も同じ考えだった。
「ユンケル委員長は(バルニエを任命したことで)強硬な態度に出ている。EUが感染(他の加盟国にも離脱の気運が飛び火すること)を恐れて、交渉の過程で非論理的なまねをする可能性もある」
 ブリッジェンの言う「非論理的」とは、離脱にまつわる話で何かしら二枚舌が使われるという仄めかしだ。


プロジェクト・フィアー

 もっとも非論理理的というなら、デイビッド・キャメロンが、自らの首相の座を懸けて国見投票の実施に踏み切ったことのほうがよほど常識外れだろう。法律で定められた総選挙の時期まで3年の任期を残しながらそんな選択をするのは、政治的に無意味だし理屈にも合わない。反EUの保守党議貞たちからの、マニフェストの公約を実現しろという圧力を収束させたかかったのだろう。
 それでも任期の最後の年まで待って、離脱か残留かのイベントを人気取りに使うこともできた。だが、キャメロンは、スコットランドの独立を問うもうひとつの国民投票に勝利したばかりだった。そして、事前の世論調査でブレグジットが負けるという保証が得られる前に、非選出のEU首脳と改革について交渉をたっぷり行えば、次もまた勝てるという傲慢な思いにとらわれたのだ。

 ブリュッセルのEU本部では、ユンケルを始めとするEUの官僚たちはキャメロンへの侮蔑をほとんど隠そうともせず、改革ではなく無意味な調整を行うことで彼以上の倣侵さを示した。

 ロンドンでは、キャメロンが自画自賛する成果は嘲笑で迎えられた。英国は離脱と残留の旗の下に二分された。最も優勢な勢力は「ポート・リーブ」という団体だった。2番手がUKIP(イギリス独立党)。「リーブEU」や「グラスルーツ・アウト」といった団体もあった。EUに留まろうとする英国政府のキャンペーンは滑稽の極みともいえるものになり、英国民の心理を逆なでした。

 キャメロン率いる政府の公式の残留戦略は、「プロジェクト・フィアー」(恐れをかきたてるプロジュクト)と呼ばれるようになり、英国が離脱すれば破局が訪れるというお題目が毎日のようにくり返された。とりわけ馬鹿げていたのは、世界大戦が起きるというキャメロンの仄めかしだった。
 加えて、前財務相のジョージ・オズボーンは、英国が景気後退に陥るという話をした。
 2007年に始まった世界的な金融破綻なみ、いやもしかすると、1930年代の大恐慌にも匹敵するかもしれない。オズボーンはバラク・オバマ米国大統領を始め、世界的有名人たちを続々と起用して、欧州から出ていけば、英国は投資以外の取引にも苦労するようになり、第三世界の国になってしまうと強調した。さらに、IMF(国際通貨基金)専務理事のクリスティーヌ・ラガルドが、英国の脱退は「かなり悪いか、極度に悪いこと」と発言し、EUの共通通貨ユーロの安定性を持ち上げてみせた。

 それに対して離脱派は、EUを出れば過あたり3億5000万ポンド(日本円で約455億円)の分担金が節約できる、それだけあれば新しい病院がいくらでも建でられるし、残りの金で病院の医師や看護師の給料も払えると反論した。

 だが、「ボート・リーブ」を率いるボリス・ジョンソン前ロンドン市長が、オバマには「ケニア人の血が入っている」と言い、その後も謝罪を拒むという愚かなまねをしたのも事実。一方、熊脱派のリーダーだった前司法相マイケル・ゴープは、EUが英国の法体制を支配し、自分が導入した新たな法規の50%を阻止していると非難の声をあげた。

 ちなみに、私がかつて外報部長を務めたデイリー・メール紙は、プロジェクト・フィアーが喧伝するような緑色の小さなエイリアンたちの侵略を信じない、平均的な英国家庭を一コマ漫画に描き、この状況全体の滑稽さを示してみせた。


経済成長は独仏を上回る

 実は、EU離脱の国民投票から1カ月後、IMFのお目付け役である独立評価機関が出したレポートは、ブレグジット前のIMFの予測が残留に有利なほうに偏っていたこと「また、ユーロが触れ込みほど安定した通貨でないことを認めている。(この誤りの原因は主として、各国やユーロ圏の当局が行った確約をIMFがあえて額面どおりに受け取ろうとしたことにある)。
 レポートはさらに、ブレグジットから2年後には、英国の経済成長はドイツやフランスを上回るだろうとも早々と予測している。実際、英国・スウェーデンの製薬会社アストラゼネカは、3億3000万ポンド(約430億円)かけてケンブリッジに世界的規模の研究所を建設中である。
 やはり多国籍の医薬品企業グラクソ・スミスクラインも負けじと英国への信頼を示し、英国の製造工場に2億7000万ポンド(約350億円)を投資するという発表を行った。政治ブログ「グイド・フォークス」を運営するポール・ステインズは、ブレグジット以降、EU外の各国からロンドンに貿易協定締結の働きかけがあるだろうと断言した。そのなかにはもちろん日本も含まれるが、そうした国々全体のGDPは合計50兆ドル(約5000兆円)で、世界GDPの67%に達する。対してEU全体のGDPは16兆ドル(約1600兆円)で、世界GDPの22%を占めるにすぎない。

 しかし、ブレグジットの最も驚くべき誤算は、その後、明らかになった。離脱派と残留派のどちらもこの結果を予期しておらず、したがって適切な対応策の用意もなかったのだ。

 だが、証券取引所の大変動は一部では予測されていたし、政府から独立したイングランド銀行の総裁には幸運にも備えがあつた。英ポンドはドルに対して下落し、ずっと下がったままで、おかげで英国の輸出は押し上げられた。反面、ドルで原材料を買う企業には厳しい状況だった。株式市場は下落して、キャメロンは辞任した。後任には残留に投票した前内相テレサ・メイが就いた。メイは3週間かけて新しい内閣を組閣するはずだったが、数日でそれをやってのけたのである。

 一方、最も優勢な勢力「ボート・リーブ」を率いるボリス・ジョンソンは、首相への適性を疑問視されて政治的な裏切りに遭った後、外相に任じられた。マイケル・ゴープは自分にこそ通性があると首相職に名乗りをあげたが、政府での役割を与えられることなく議場の片隅へ追いやられた。
 そして、67歳の老獪なデイビッド・デイビスがEU離脱担当大臣に就任し、欧州随一の反シティ派ミシェル・パルニエに対峙しつつ、ブリュッセルの支配から英国を解放する役目を担うことになった。

 英国で離脱派が勝ったからといって自動的に、また、ただちにEUと縁が切れるわけではない。投票の結果は、始まりに先立っての意思表示なのだ。実際の過程はリスボン条約第50条を発動し、離脱の意図を公式にブリュッセルに通告することで始められる。そして、デイビスとパルニエがあらゆる不利な協定や条約上の義務、EUの管理規制から英国を解き放つまで、完全には終わらない。


独立国としての成功を期待

 ユンケルは、議論が長引くことで他の加盟国にまでEU離脱の悪影響が及ぶのを恐れ、できるだけ早くリスボン条約第50条を発動して交渉を始めるよう求めている。
 ただし、その時期を決めるのは英国の権利で、ブリュッセルの権利ではない。テレサ・メイはその手続きを急いで始める気はないこと、また、英国とEUの双方に等しく有益とは言えないような取り決めを行うつもりもないことを明言した。

 特に大きな障害となるのは、EUの礎石たるシェンゲン協定に守られた、国境なき欧州を動きまわる自由だろう。しかし、打ち続く戦争に蹂躙された中東の国々から何百万人もの移民が流れ込んだことで、そんな自由も粉々に踏み潰されてしまった。その元をたどれば、石油に飢えた無能な米国大統領ジョージ・W・ブッシュと、彼に欺かれた英国首相トニー・ブレアによる、完全に違法なイラク侵攻に行き着く。

 英国の雇用を脅かす移民ヤアフリカからの難民を規制せよという要求は、ブレグジットの議論のあらゆる局面でたびたび蒸し返されてきた。それは国民投票のキャンペーン中にあらわになった他のどんな不満よりも、離脱の決定に大きな影響を及ぼし、人種問の不寛容と外国人嫌いを煽り立てた。

 プレグジツトの勝利と、首相に就任してからのテレサ・メイの人気ぶりを踏まえれば、保守党の議員たちが今なら選挙に勝てるだろうと考え、早く総選挙に踏み切るよう圧力をかけるのは必払だった。確かに、7月下旬のユーガブ社の世論詞査では、保守党が労働党を12ポイント上回っていた。労働党はジェレミー・コービンの下で機能不全を起こし、崩壊状態にある。コービンは一般の党員たちにはまだ人気があるものの、議員たちからは見捨てられ、党首選を行わざるを得なくなった。

 テレサ・メイはそれに対し、2015年の選挙でキャメロンが保守党を勝利に導いたばかりなのに、またすぐに総選挙をするつもりはないと応じた。事実、その必要はない。メイは党首の座を引き継いだとき、2015年の民意をも法的に引き継いだのだから、2020年まで次の選挙は行わなくていい。

 問題は不吉な予測が現実になるか、それとも3年の問に英国がEUから完全に脱退し、大英帝国の「大」の字にふさわしい活気にあふれた独立国として成功するという兆しを示せるかだ。私はそうなることを心から信じ、期待している。


 

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コメント
 
1. 2016年9月10日 05:01:41 : GtKiigYRrE : J1zVX1W3Wag[58]
スキャンですね。
面白い記事をありがとうございます。
(いやぁ〜、最近、本屋で立ち読みってのも、億劫で・・・)

2. 2016年9月10日 10:41:16 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2625]

明らかに衆愚の選択だな


しかし一部の輸出企業など利益を得る層も当然いる


ま、愚民化と分裂化は、当面、世界の流れだし

かっての大英帝国も衰退し、さらに影響力を失って

小さな分裂した島国となりつつあるわけだが

帝国の衰退と崩壊は必然という一例がまた増えたということだな



3. 2017年1月09日 01:10:01 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-6545]
2017年1月7日(土)
EU 多国籍企業の税逃れ抑止図る
税制協定 報告を義務化
国際NGO “小さな一歩 対策さらに”

 {パリ=島崎桂}欧州連合(EU)は今月1日から、加盟各国政府に対し、企業との間で結んだすべての税制協定について情報の報告を義務付けました。多国籍企業の課税逃れ対策の一環で、一部政府による特定企業への特権付与を抑止する狙いがあります。

 導入のきっかけとなったのは、2014年末の「ルクスリークス」事件です。同事件では、日本企業を含む多国籍企業343社がルクセンブルク当局と極秘の税制協定を結び、総額数十億ドル(数千億円)に上る租税を回避していたことが暴露されました。

 報告義務が課される情報の中でも特に重要なのが、同一グループの企業間で売買される製品やサービスの価格(移転価格)です。多くの多国籍企業は、グループ内取引を繰り返すことで利益を経費として計上し、実質的な営業を行う各国での課税を逃れています。

 今回の措置によって、全加盟国がアクセスできるデータベースを通じた「自動情報交換」が可能となり、多国籍企業への課税の透明性向上が期待されています。

 ただし、報告が義務付けられるのは、12年以降に結ばれた協定だけという問題点もあります。ルクスリークスで判明した協定の大半は02〜10年に締結したもので、このほかにも機能中の協定は数多いとみられています。

 公正な税制を求める国際NGO「タックス・ジャスティス・ネットワーク」のアレックス・コブハム次期代表は仏メディアに対し、今回の措置は「重要な一歩だが、小さな一歩にすぎない」と指摘。「国家が課税額を操作し、多国籍企業を引きつける方策は他にもある」として、さらなる対策強化を求めました。

 また、EUの首相にあたるユンケル欧州委員長の姿勢を疑問視する声もあります。

 現在、課税逃れ対策に積極姿勢を示すユンケル氏ですが、ルクスリークスで判明した協定の締結当時は、ルクセンブルクの首相兼財務相でした。英紙ガーディアン(1日付電子版)は流出した資料を基に、ユンケル氏がEUの課税逃れ対策を長年にわたり「遅延、骨抜き」してきたと報じました。

 今後は、こうした汚名を返上し、より効果的な対策に踏み切れるかが問われます。

 タックスヘイブン(租税回避地)利用者の資産隠しを暴露した「パナマ文書」やルクスリークスで相次いで判明した「税の不公正」に対し、市民社会も抗議を強めています。

 世界各国の市民団体で構成する「公正な税のための世界同盟」は3〜9日を「反タックスヘイブン週間」と位置づけ、「金融市場の非武装化」と「公正な税の実現」を要求しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-07/2017010707_01_1.html


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