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レバノン系オーストラリア人のアヒーダ・ザネッティさんは2004年、めいがヒジャブ(髪を覆うスカーフ)を身につけて動きにくそうに球技をするのを見て、イスラム教徒の感性に合うような、慎み深さと実用性を兼ね備えた服をデザインしようと決めた。
彼女は会社を創設し、ブルカとビキニを融合させた新しい着衣「ブルキニ」などを作った。06年には、ブルキニをオーストラリアなどで商標登録した。頭から全身を覆うツーピースの水着は好評だった。
その約10年後、イスラムと西洋の緊張が高まるなかで、南仏カンヌの市長がブルキニ着用を禁止した。カンヌはテロ攻撃を受けたニースに近い。カンヌ市長は「宗教を誇示するような浜辺での着衣は、フランスや礼拝所がテロの標的になっているなか、公共の秩序を脅かしかねない」と言う。
カンヌ市長の見解は、他のいくつかのリゾート地の自治体当局に採用され、バルス仏首相からも支持されている。バルス氏は地元紙に「ブルキニは新しいタイプの水着やファッションではない。政治的意図の表明であり、反社会的で、とりわけ女性の隷属に根ざしている」と語った。
フランスがイスラム過激派と西洋社会の衝突の震源地となったのには、数々の要因がある。西欧最大のイスラム社会が存在し、中東から(西アフリカの)マリまでの紛争に関与し、植民地支配の過去から端を発した緊張関係もある。そして何よりも、共和国が確固たるライシテ(政教分離)の原則をうたっていることが挙げられる。
バルス氏は、政教分離は宗教を否定するものではなく、信仰を持つ、あるいは持たない権利を守るものだという。だが、フランスのイスラム教徒は自分たちが標的にされていると感じてきた。ライシテを理由に公立学校で頭を覆うスカーフを禁止したり、公共の場でベールの着用を禁止したりする法律ができたからだ。
フランスは他の国と同じようにイスラム教徒への偏見と闘う姿勢を改めて示すべきだ。ブルキニの着用禁止は受け入れがたい。ブルキニは本来、政治的意図でも反社会的でも女性の隷属の象徴でもない。フランス憲法で守られた宗教的信念を反映した着衣の選択だ。
ザネッティさんは、ルモンド紙にこう語った。「フランスの市長や政治家が禁じたいのは、ブルキニですか、それともイスラム教ですか」
(〈C〉2016 THE NEW YORK TIMES)
(NYタイムズ、8月18日付、抄訳)
9月5日 朝日新聞朝刊より
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