http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/731.html
Tweet |
ポピュリズムの支配下にある英国
2016年07月29日(金)岡崎研究所
6月24日付の英エコノミスト誌の社説は、国民投票によるEU離脱決定は、イギリスが自ら招いた愚かな事態で、イギリスは打撃を受け、今後有害な不確実性が長く続くだろうと述べています。その要旨は、以下の通りです。
iStock
離脱がいつ実行されるのか誰も知らない
6月24日早朝、イギリスが未知の世界に乗り出すことが明らかになった。直後のポンド大急落は、これから来る事態の一端を見せてくれた。イギリスが信用を落とし、不況に陥り、世界経済を揺るがす可能性がある。大半の有権者が残留に投票したスコットランドは、改めて連合王国からの解放を求める可能性があり、仏国民戦線等のEU懐疑派は今回の事態に勇気付けられよう。もちろん、EUは大打撃を受けた。今後は有害な不確実性が長期間続くだろう。離脱がいかなる条件でいつ実行されるのか誰も知らない。
公共支出削減のあおりを受け、繁栄の恩恵に与れなかった大勢の有権者は、今や怒りのポピュリズムの支配下にある。彼らが挙げるEU拒絶の理由のうち決定的だったのは、人の自由な移動という側面だった。新たな移民が増えるにつれ、移民への懸念は高まった。
そのため、離脱派は経済の活性化と移民の制御を約束したが、ただ投票しても、望む結果は得られない。EU単一市場へのアクセスとそれがもたらす富を享受したいのなら、人の移動の自由も受け入れねばならず、移動の自由を拒むのなら、単一市場からの排除という代償を払わねばならない。つまり、イギリスは移民の抑制と富の増大のどちらかを選ばねばならない。その選択は、新首相の任務だ。新首相は、ノルウェー方式、すなわちEU単一市場へのアクセスと共に人の自由な移動の原則も維持する方式を採るべきだ。理由は、繁栄の最大化につながるからだ。それに移民は実際にはイギリスの利益になる。欧州からの移民は結果的に公共財源に貢献している。それに、彼らがいなければ、学校や病院、そして農業や建築は人手不足になろう。
離脱はEUにとっても重大な打撃だが、イギリスに限らず、EUは一般市民と遊離してしまった。ある調査によれば、フランスでEUに好意的な人は38%と、イギリスより6ポイントも低い。また、調査対象国すべてでEUへの権限委譲への支持は弱かった。各国は独自の反感をEUに抱いている。経済が弱体なイタリアやギリシャはドイツ主導の緊縮政策に憤っており、東欧諸国はEUが同性婚のようなコスモポリタン的価値を押し付けると非難する。
こうした反感の解消のカギは成長の促進にある。デジタル・サービスを含む単一市場や資本市場の完成は、雇用と繁栄を生み出すだろう。また、ユーロ圏はまともな銀行同盟等の強力な土台が必要だ。各国政府への権限返還という永年の懸案を実行すれば、EUが権力の亡者ではないことが示されよう。
今回の結果は非常に残念だ。また、離脱でイギリスは閉鎖性と孤立を強め、活力が弱まる危険性があると思っている。もしGreat BritainがLittle Englandに縮小すれば、全ての人にとって有害であり、これがさらにLittle Europeへとつながればもっと悪い。離脱派の指導者たちは、力強い外向きの21世紀経済を約束するが、離脱でそれを達成できるとは思えない。しかし、われわれの見方が間違っていたと証明されれば、これほど嬉しいことはない。
出 典:Economist ‘A tragic split’ (June 24, 2016)
http://www.economist.com/news/leaders/21701265-how-minimise-damage-britains-senseless-self-inflicted-blow-tragic-split
エコノミスト誌は英国のみならず、英語圏において多くの読者を持つ有力なメディアです。同誌が英国のEU離脱をどう論評するかは注目に値します。
エコノミスト誌はずっと英国のEU離脱には反対してきました。この論説は離脱が国民投票で決まった後、驚きと今後の影響への憂慮を表明しています。的を射た良い論説です。
今回の英国の離脱は、EUと英国の分裂にとどまらず、英国内での世代間、地域間、階層間の分裂を深め、EU内での反EU運動に勢いを与えかねません。英国とEUは大打撃を受けたと言えます。
離脱キャンペーンを主導したボリス・ジョンソンは、離脱を急がない、リスボン条約50条(離脱に関する規定)は提起する必要はないなど、理解しにくいことを言っていますが、離脱がもたらす悪影響、自らの運動がもたらした結果におののいているようにさえ見えます。離脱を支持した国民の中にも、自らの投票を悔いている人も多いと報じられています。EU側は、英国に早急に離脱手続きを進めるように要求していますが、英国の外務大臣は、離脱手続きをいつから始めるかは英国が決定できることであると反論しています。法律論を言えば、英国政府の主張に理がありますが、政治的には通りにくい議論です。
思慮が浅かったキャメロン
今回、キャメロン首相が英国のEU離脱を国民投票にかけたことは、思慮が浅かったと言わざるを得ません。国家の重大事について、実質的な決断はせず、問題を国民投票に委ねると言う手続きだけを決めると言うのは、要するに問題を国民に丸投げすることであり、指導者として無責任です。そのうえ、最後は残留を強く訴えましたが、英国はEU外でもやっていけると過去に発言したこともあります。
2014年のスコットランド独立の住民投票も、国のあり方を国の一部の住民投票で決めようとするもので、民主的でも何でもありません。ウクライナ憲法は、クリミアだけの住民投票でクリミアが独立することを違法としていますし、スペインも、カタルーニャ独立をその住民投票で決めるのは違法であるとしています。今回の件で、キャメロンは首相を辞任しましたが、当然のことでしょう。
英国のEU離脱問題は、今後とも経済面、政治面で大きな影響を与えていくでしょうが、その被害を限定的に抑えるということを念頭に置いた対処法が重要でしょう。
なお、離脱に決まったのは、移民問題の影響が大きいとこの論説は述べていますが、必ずしもそうではないかもしれません。人は、自分の運命は自分で決めたいと言う願望を持っています。EU離脱は主権を回復することになるとの宣伝の効果が大きかったとも考えられます。英国独立党のファラージ党首は6月24日を独立記念日と言いましたが、英国は植民地ではありません。独立記念日というより、連合王国崩壊の始まりの日である可能性もあるのです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7352
英国、消費者心理や建設活動が悪化 EU離脱の余波広がる
2016年07月29日(金)04時13分
0
0
0
7月28日、英国の欧州連合(EU)離脱問題の余波が、消費者心理、建設活動、賃金動向に広がっていることが同日発表の指標で浮き彫りとなった。写真はロンドンで6月撮影(2016年 ロイター/Phil Noble)
[ロンドン 28日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱問題の余波が、消費者心理、建設活動、賃金動向に広がっていることが28日発表の指標で浮き彫りとなった。
広告
inRead invented by Teads
調査会社ユーガブと経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)がまとめた7月の英消費者信頼感指数は106.6と、5ポイント近く低下し、3年ぶりの低水準となった。
ユーガブ・リポーツを統括するスティーブン・ハームストン氏は「消費者はまだ国民投票の結果を消化している最中だが、国民投票後の1カ月で消費者信頼感が急激に冷え込んでいることは明らかだ」と指摘した。
特に持ち家の価格動向に懸念を示す消費者が多く、「住宅保有者の懸念が現実のものとなった場合、住宅セクターと経済全般に非常に深刻な影響が及びかねない」(CEBRのディレクター、スコット・コーフ氏)という。
また、英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)の調査によると、建設活動も、EU離脱決定後に伸び悩んでいる。調査によると、回答者は今後1年で仕事量が1%増えると予想。第1・四半期は2.8%増と予想していた。
英国の不動産市場は国民投票で最も大きく打撃を受けた部門だ。投資家は不動産ファンドから資金を引き揚げ、建設関連の企業の株価は急落した。
建設関連の企業は採用を控えようとしている。英国では国民投票を前にして、第2・四半期の小売業のフルタイム雇用が2年ぶりとなる大きな落ち込みを記録した。建設業の採用手控えは、こうした動きに呼応している。
英調査会社XpertHPの4─6月の賃金調査では、労使交渉で妥結した賃上げ率(中央値)が3カ月連続で1.8%となった。過去2年間は2%程度の水準で推移していたという。
XpertHPのシーラ・アトウッド氏は「EU離脱をめぐる不透明感が賃金にどのような影響を及ぼすか予想は難しいが、今後長期にわたって賃上げは抑制される可能性が高い」と述べた。
離脱に伴う景気減速に備えて、英国最大のリテール銀行であるロイズ・バンキング・グループ は、新たに200支店を閉鎖し、従業員3千人を削減することで、2017年末までに4億ポンド(5億3千万ドル)の経費を浮かせる計画だ。ロイズは既に7万5千人の全従業員のうち4千人を削減する計画を打ち出しているが、今回の計画はそこに上積みする形となる。
EU離脱を決めた国民投票から約1カ月がたったが、経済が減速する兆しが見えてきたことで、イングランド銀行(英中銀、BOE)が8月4日の金融政策委員会で何らかの対策を打ち出すとの期待が高まりそうだ。多くのエコノミストはBOEが利下げするとみており、金融システムに対して潤沢に資金を供給するために国債買い入れに踏み切る可能性もあるとしている。
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2016/07/174495.php
英国に30年ぶり原発新設決定 政府側は「計画を精査」
2016年7月29日 夕刊
【ロンドン=小嶋麻友美】英国で、稼働が実現すれば約三十年ぶりの原子炉新設となる南西部サマセット州のヒンクリーポイント原発について、事業主のフランス電力(EDF)は二十八日、計画を最終決定した。一方、既に認可している英政府側は、改めて計画を精査すると表明、計画はなおも波乱含みとなっている。
EDFによると、同原発は二〇一九年半ばに着工、二五年に運用開始の予定。英国では一九九五年以来の新規稼働となり、英国内の電力の約7%を賄う。この日の役員会で、一〇対七で計画決定が承認された。
英メディアによると、EDF側の発表後、クラーク企業・エネルギー・産業戦略相は、原子力エネルギーは重要としながらも「計画の全要素を綿密に検討し、初秋に最終決定する」と表明。英政府は一三年に計画を認可し、電力価格の補填(ほてん)の確約や中国国営企業からの出資取り付けなど全面的に後押ししてきたが、メイ政権下で慎重姿勢に転じたとの見方も出ている。
計画は、福島原発事故を受けた安全対策や同型原子炉のトラブルなどで数年遅れ、建設費も世界最高水準の百八十億ポンド(約二兆四千八百億円)に増大。事業の採算を巡ってEDF内部でも異論が噴出していた。中国国営の中国広核集団が六十億ポンドを出資することで昨秋、合意している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201607/CK2016072902000257.html
英国自動車生産、10%増の15万台…11か月連続増 6月2016年7月29日(金) 09時45分
英国大使館、低炭素イノベーションを紹介するセミナーを開催…7月27日
英国EU離脱は「不確定」が大きな問題…ルノー・日産アライアンス担当副社長
トヨタ 86、『頭文字D』仕様が登場…英国
編集部にメッセージを送る
英国自動車工業会(SMMT)は7月27日、6月の英国における自動車の生産実績を公表した。総生産台数は15万8641台。前年同月比は10.4%増と、11か月連続で前年実績を上回った。
15万8641台を英国向けと輸出分で分けると、英国向けが3万5252台で、前年同月比は24.3%増と、2か月連続のプラス。輸出分は12万3389台で、前年同月比は6.9%増と、プラスを保つ。
英国に生産拠点を置く主要自動車メーカーは、BMWグループのMINIとロールスロイス、ジャガー・ランドローバー、ベントレー、トヨタ、ホンダ、日産など。
2015年の英国自動車生産台数は、2005年以降で過去最高の158万7677台。前年比は3.9%増だった。2016年上半期(1-6月)は、前年同期比13%増の89万7157台。
英国自動車工業会のマイク・ホーズ チーフエグゼクティブは、「海外からの需要によって、英国自動車産業の競争力は伸び続けている」と述べている。
《森脇稔》
http://response.jp/article/2016/07/29/279225.html
# 通貨安と景気悪化、欧州の厳しい基準から自由になることで国民生活は悪化、
一方、通貨安による実質賃金下落で、輸出産業は恩恵が拡大
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。