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メルケル独首相「難民受け入れ変えず」
治安対策を強化
2016/7/28 22:52
【ベルリン=赤川省吾】テロ事件が欧州で相次いでいることを受け、ドイツ政府は治安対策を強化する。メルケル独首相が28日の記者会見で「(治安の)穴を埋めないといけない」と語った。武器の売買に関する規制を強め、警察の人員を増やす。難民の受け入れ政策は変更せずに、テロの頻発でドイツ社会に広がる不安の解消に取り組む。
28日、ベルリンで記者会見するドイツのメルケル首相=ロイター
「治安への信認を立て直さないといけない」。それが夏休みを中断し、記者会見に臨んだメルケル首相のメッセージだった。ドイツ社会に忍び寄る不安をぬぐおうとする姿勢を強調した。
ドイツでは22日にミュンヘンで極右思想の容疑者が銃を乱射し、24日には南部の小都市で難民申請者のシリア人男性が自爆した。過激派組織「イスラム国」(IS)の関与が疑われている。
メルケル首相は組織的なテロ襲撃だけでなく「ローンウルフ(一匹おおかみ)」型の犯行の危険性が高まっていると指摘。未然に事件を防ぐことが重要になると述べた。
武器規制の強化や警察の増員に加え、欧米各国と捜査情報を交換すると強調、治安対策予算を増やすことも示唆した。難民審査をパスしなかった入国者を強制送還しやすくする仕組みも整える。
だがインターネットなどを通じて過激思想に感化される若者を捜査当局が見つけ、事件を防ぐのは難しい。しかもメルケル首相は1年前の記者会見で寛容な難民政策への理解を求め「我々なら(危機を)解決できる」と言い切った経緯がある。
この点を問われたメルケル首相は「生易しいことではない」と認めたが、「考えは変わっていない」と反論。難民を受け入れるという政策は見直さずに治安対策との両立を図る考えを示した。
ドイツに入国する難民のほぼ半分がシリア出身だ。和平のカギを握るトルコ情勢についてメルケル首相は「推移を見守る」と語り、エルドアン大統領による反体制派の弾圧を間接的に批判した。
記者会見での質疑はテロ・難民対策に集中。英国の欧州連合(EU)からの離脱など、ほかの話題は記者団からほとんど質問が出なかった。
ドイツ社会はテロ事件後も表向きは冷静で目立った難民排斥の動きはないが、底流では不安が膨らむ。このため民族主義政党「ドイツのための選択肢」は根強い支持を集める。9月には外国人への差別が根強い旧東独地域で地方選が行われる。同党はここで躍進し、来年秋の議会選で国政に進出するシナリオを描く。
だが不安だからこそ安定を望むドイツ人も多い。極端な思想が勢いを得てドイツ社会が割れることへの警戒感も強い。メルケル氏が率いる保守陣営の支持率は30%台半ばで下げ止まり、第1党の勢い。保守系が中道左派との大連立を続けるのか、それとも連立相手を「緑の党」やリベラル系政党に変えるのかが来年の議会選の焦点となる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H7U_Y6A720C1FF2000/
メルケル首相、難民受け入れ政策の重い代償
欧州ニュース落穂拾い
ドイツで凶悪事件が相次ぐ
2016年7月28日(木)
シュヴァルツァー節子
7月22日、ミュンヘン市のショッピングモールで起きた拳銃乱射事件はドイツ国内に大きな衝撃を与えた
7月18日 ヴュルツブルグ近郊での難民による列車乗客傷害事件
7月22日 ミュンヘン市のショッピングモールでの拳銃乱射
7月24日 バーデン・ヴュルテムベルグ州・ロイトリンゲンでの難民による刃物殺傷事件
7月24日 バイエルン州・フランケン・アンズバッハでの難民自爆テロ
7月、ドイツでは国内全土を震撼させる凶悪事件が立て続けにおきた。これほどの頻度で事件が連続発生した例は過去になく、異常とも言える事態だ。中でも7月22日に発生したミュンヘン市北西部のオリンピア・ショッピングモールにおける拳銃乱射事件は、一瞬のうちに、世界の注目をミュンヘンに集中させた。
事件を振り返っておこう。犯人はミュンヘンに生まれ育った18歳のイラン系ドイツ人。事件収束後の23日の家宅捜索では、イスラム国テロへの直接関連を示すものは発見されなかったが、精神異常者による銃の乱射事件(アモック)への関心を示す本・記事収集などの証拠物件が数多く発見された。犯行直前、架空名でフェイスブックのアカウントをつくり、不特定の若者たち宛てに、事件現場となったファーストフード店で無料あるいは格安で飲食できるとの勧誘メッセージを送っていた。
犠牲者は、死者9人、負傷者35人。ドイツ人のほかに、コソボ、アルバニア、トルコ、ギリシャ、ハンガリーからの出身者である。犯人には、鬱病の病歴があった。遺書は見つかっていないが、自ら頭を撃ち抜き自殺した。犯行に使われた9ミリ口径の拳銃「グロック」は、インターネットサイト「ダークネット」を通して入手されたことが明らかになっている。
武器購入費の出どころやリュックに詰めていた300発の銃弾の入手経路は、今も不明だ。25日現在、警察は、犯人といっしょに架空のフェイスブックアカウントで同招待メッセージを発信していたアフガニスタン系の16歳の少年から事情聴取している。
事件現場の様子。花束で埋まり、周囲は静まり返っていた。
自殺した犯人が犠牲者を誘い出した現場近くの様子。
事件発生から3日後、現場を歩いた。通常は、大勢の人々が行き交う歩道は、花束で埋まり、胸がふさがりそうになる。祈祷用の蝋燭独特の香りが漂い、ショックと心痛感で、妙に静まり返っていた。
ミュンヘンに住む筆者は当時、自宅で、ラジオをつけて夕食の支度をしていたところに、同事件のニュース速報が入った。
事件発生直後22日の夕刻、「少なくとも3人のテロリストが逃走」と住民への自宅待機がよびかけられ、ミュンヘンの公共交通機関は、すべて止まった。ミュンヘン市内に入る高速道路も、警察や救急支援車を優先するために一般車の交通は規制された。タクシーも、犯人の逃走に使われる可能性が高いため、運転手は警察当局からなるべく乗客を取らないようにとの指導が入った。ミュンヘン市内は夜にかけて、多数の帰宅できない一般市民や観光客であふれた。
ミュンヘンの事件現場のあるバイエルン州は、周辺州の警察やオーストリアの特別機動隊の支援を受け、2300人体制で事件に対応した。消防救急医療スタッフも総動員され、最終的には4000人体制となった。
後手に回った政府対応
一方で、政府の対応は後手に回った。ベルリンなどがある北ドイツは、夏休みシーズン入り直後だったためだ。休暇を取りやめてベルリンに戻ったメルケル首相は7月23日、事件の犠牲者への哀悼とバイエルン州の警察関係者の貢献をたたえたものの、対応の遅れに対する非難が各方面から出ている。
そして、今後批判が噴出することが間違いないのが、メルケル首相の難民受け入れ策だ。2015年夏以来、中東・北アフリカから受け入れた難民は100万人にのぼる。一方で、ドイツに流入した難民の社会への融合は思うように進んでいない。相次ぐ事件の背景には、難民問題があるとの論調が、事件直後からドイツ各主要紙、その他メディアで目立つようになっている。
「将来への希望が持てず、社会不安が募ると、暴力行為が頻発に起きる。ドイツ社会から落ちこぼれる移民たちが増えるほど、差別意識は高まり、暴力がさらにエスカレートするリスクがある。100万人という規模でドイツに存在する移民問題に慎重に対処しないと、こうした事件はさらに増えるだろう」。ビーレフェルド大学のアンドレアス・ツィック社会学教授は地元のメディアに語っている。
立て続けに起きた凶悪事件
残念ながら、現実はツィック教授の指摘どおりになった。
7月24日、ドイツ南部のロイトリンゲンで、シリアからの難民認可申請中の男性が、ポーランドの女性を刃物で殺害。通りかかったドイツ人たちにも傷を負わせた。同じ日、今度はミュンヘンの北200kmに位置するアンズバッハ中心街のコンサート場入り口で、シリア難民が自爆した。来場者たちが多数巻き込まれ負傷している。死亡した犯人は、正式に難民認可がとれず、期限付き滞在許可を得ていた。鬱病歴があり、警察の犯罪リストにも登録されていた。最新の捜査情報では、過激派組織ISとの関係が、確認されている。
戦禍で祖国を追われ、困窮している難民の滞在を認めることは、人道上、誰もが認めなければならない。一方で、大量の難民が一度にドイツ社会に押し寄せ、様々な問題を引き起こしているのも事実だ。これまでにない凶悪な事件が頻発したことで、ドイツの難民受け入れ政策は、岐路に立たされていると言っていい。
メルケル首相の所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、党として何度も、彼女に方針転換を促している。これまでメルケル首相に理解を示してきたヨアヒム・ガウク・ドイツ連邦大統領も、「もう受け入れるキャパシティがない」と発言し始めた。
バイエルン州に本拠地があるCSUは、メルケル首相は、首相として、第一にドイツ国民を守るべきだと主張している。難民流入に対し連邦として国境警備もおこなわず、貧しく生活保護を受けるドイツ人の食糧まで、難民に回すことは、ドイツの基本法(憲法)に反するとして、すでに連邦最高裁に訴えを起こしている。
7月26日には、ドイツ連邦各州の内務大臣たちが、自主的に国内治安維持会議をもち、難民登録の厳格化を検討した。今後は、犯罪歴のある難民への滞在許可条件を厳しくしたり、2000人以上のコンサートは、必ず主催者と警察が安全性をチェックしたりするなどの具体案を話し合っている。
メルケル首相は今のところ、これらの意見を聞く姿勢は見せていない。
トルコに頼りすぎた難民対策
しかし、メルケル首相も徐々に追いつめられてきている。最大の問題は、難民対策として頼りにしてきたトルコの政情不安だ。メルケル首相が事実上采配するEUは、トルコに対してビザ無しでEU圏に入国できる案を提示、さらに60億ユーロ(約7000億円)以上の支援金を拠出する見返りとして、ギリシャに滞留している難民をトルコで収容するように依頼している。
ところが、トルコではクーデター未遂がおき、トルコ国内はそれどころではなくなってしまった。
タイミング悪く、6月2日に、長年ドイツ連邦議会で懸案であった「オスマントルコのアルメニア虐殺」を認定したため、エルドアン大統領の機嫌を損ねており、ISに備えてNATO軍としてトルコに駐屯しているドイツ兵士たちを、ドイツの国防相が、訪問さえできない状態になっている。
昨年9月に、難民を受け入れの寛容策を発表し、世界から賞賛を浴びたメルケル首相。しかし、その計画性のない難民受け入れ策が、ドイツ全体を苦しめている。今回の悲惨な事件は、図らずもその重い代償となってしまったといえる。
メルケル首相は記者会見で、「犠牲者に哀悼の意を表します。治安安定のために、警察官を増やします」という表現を繰り返すことが多くなった。「難民」という言葉は、なるべく避け、問題の本質から目を背けているように聞こえる。
このコラムについて
欧州ニュース落穂拾い
IT 機器をちょっとクリックすると、すぐに情報が世界中に広がってしまう昨今。世界中、発信される情報は即座に翻訳され、地球を一回りしてしまいます。しかし、情報の内容ーー何よりもその信憑性ーーを見極めて理解し、これからの展望に役立てることに時間をとる読者は少なくなりました。確かに、広大な農地で作物を大型機械でざくっとフルスピードで収穫するかのように、情報の世界も即座の発信受信も大切です。一方で、落穂を拾うように、じっくりと情報を手に取るように読み込み、貴重な情報、興味ある話を探索してみることは大切です。短い情報でも、はっと目を見張るような解釈のできるものもあります。
このコーナーでは、ドイツをはじめとする EU 加盟国の政治経済社会動向について、各報道メディアの情報を収集分析。信頼できるドイツ経済分析研究所とのコミュニケーションをとりながら、今後のドイツ・欧州について興味ある情報を紹介してゆきたいと思います。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/061600046/072700002/?rt=nocnt
難民寛容メルケル政権に試練=社会分断の危機−ドイツ
【ミュンヘン時事】ドイツ南部ミュンヘンで起きた銃乱射事件の容疑者がイラン系の男だったことで、独国内で移民や難民に対する風当たりが強まるとの見方が出ている。昨年以降、中東などから難民らが殺到しており、一部国民の反移民・難民感情が悪化する懸念も強い。難民寛容政策を取ってきたメルケル政権は、「開かれた国」の是非をめぐり社会が分断する危機に直面、試練を迎えている。
〔写真特集〕独ミュンヘンの商業施設で銃乱射
欧州最大の難民受け入れ国ドイツには昨年、中東などの難民ら100万人以上が流入した。昨年11月のパリ同時テロを受け、難民に紛れてテロリストが潜入するとの懸念が高まり、メルケル政権が苦慮した経緯がある。
当局によれば、建物の破壊など難民施設が被害を受けるケースは昨年900件を超え、前年の5倍以上に達した。反難民政策を掲げる新興政党「ドイツのための選択肢」は10%前後の支持率を確保しており、難民に対する国民の不満の受け皿として基盤を固めた感がある。
今月18日に南部ビュルツブルク近くで起きた列車乗客襲撃事件は、アフガニスタン出身とみられる容疑者(17)が引き起こした。わずか数日でイラン系の男(18)による凶行が続いたことは国民心理への悪影響を増幅する可能性が大きい。
難民や移民の中でも若年層が過激思想や暴力に向かう傾向があることはこれまでも指摘されてきた。報道によれば、昨年9月以降、難民用施設やモスク(イスラム礼拝所)で過激派メンバーが難民らに接触を試みたケースが約320件あったが、当局は特に未成年者が勧誘になびきやすいとみて警戒していた。
一方、独政府は「難民や移民とテロは直接は結び付かない」と事あるごとに強調。難民らに対する反発の沈静化に躍起となってきたが、今回の事件で政府の主張に国民から疑問を突き付けられる事態も考えられる。(2016/07/23-16:49)
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http://www.jiji.com/jc/article?k=2016072300209&g=isk
メルケル独首相の報酬引き上げ
ドイツ政府は13日、今年と来年の閣僚の報酬を引き上げることを決定した。これによりメルケル首相の報酬は月額1万8,820ユーロとなり、オランド仏大統領の1万4,917ユーロを大きく上回ることになる。AFP通信が伝えた。
閣僚の報酬は今年3月1日にさかのぼって2.2%引き上げられる。さらに2017年2月1日付で2.35%上乗せされる。
ドイツではここ10年で賃金改革が進み、労働者の賃金は上昇を続けている。公共部門では先に2.4%の賃上げが決定しており、メルケル内閣の今年の伸び率はこれをやや下回る。
ドイツ連邦統計庁が発表した賃金統計によると、2016年第1四半期(1〜3月)の実質平均賃金は前年同期比2.6%上昇。昨年の第2四半期以降で最大の伸びを示している。この間のインフレ率は0.2%だった。[労務]
関連国・地域: ドイツ/フランス
関連業種: 経済一般・統計/商業・サービス/雇用・労務…その他
http://europe.nna.jp/articles/show/1479679
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