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米ニューヨークで、黒人に対する警察の暴力行為に反対する運動「Black Lives Matter(黒人の命も大切)」を支持するデモをパトロールする警察官(2016年7月9日撮影)〔AFPBB News〕
白人警官殺しは黒人にとってのジハードだ! 「人種戦争」が孕むもう1つの側面を暴いた黒人作家
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47464
2016.7.27 高濱 賛 JBpress
■「ブラック・ライブズ・マター」運動の発起人は女性作家
「Black Lives Matter」(BLM=黒人の命も大切だ)という言葉が今米国で大流行している。
平たく訳せば、「黒人は虫けら同然に殺されているが、俺たちにも一寸の魂はあるんだ」という黒人からのメッセージだ。使い始めたのは、ロサンゼルス在住の黒人女流作家のアリシャ・ガーザさん(35)。
発端は、2012年フロリダ州で黒人少年を射殺した白人とラティーノの混血の自警団員が、2年後の裁判で無罪評決された事件だった。
怒り心頭に発したガーザさんはフェイスブックに綴った。
「黒人の同胞(はらから)よ。我、汝を愛す。我、黒人の同胞を愛す。わが同胞の命は貴重なり。Black Lives Matter(黒人の命、大切なり)」
最後のBlack Lives Matterの一句はたちまちサイバースペースを駆け巡った。ガーザさんに共鳴し、運動の共同発起人に2人の女性作家が名乗りを上げた。
全米各地に住む黒人の若者たちがネット上で、はせ参じた。
大都市でしょっちゅう警官のお世話になっている男たちは待ってましたとばかりに思いのたけをぶちまけた。
<ポリ公や自警団の野郎は俺たち、黒人とみると、職務質問し、ちょっとでも逆らうと公務執行妨害で逮捕。手錠されても抵抗すれば、ピストルでこめかみを撃ち抜く>
<ポリ公を殺人容疑で逮捕しても、白人だらけの陪審員は「正当防衛だった」と無罪評決。俺たちはどうすりゃいいんだ。自分の身を守るにはポリ公と対決する以外に道はないんだ。白人警官が黒人を殺したら「リベンジ」(復讐)だ>
折から、ルイジアナ州、ミネソタ州で黒人青年が相次いで白人警官に射殺される事件が起こった。BLM運動は燎原の火のごとく全米に広がっていく。ネットから飛び出して黒人たちは街に出てデモや集会を始める。
「これ(BLM)は俺たちの黒人原理運動だ。やられたらやり返す。白人警官射殺は俺たちの『ジハード』(聖戦)だ」
そんな過激なツィートをする者まで現れた。
■「トランプ大統領」になれば「人種戦争」激化
共和党大統領候補に正式に指名されたドナルド・トランプ氏は指名受諾演説で「法と秩序の回復」を掲げて、黒人による警官射殺事件に不安を抱く白人の心境を巧みにとらえた。
演説でトランプ氏は「法と秩序を回復させる。法と秩序を守っている白人警官を守る」と公言した。
ロサンゼルスの黒人密集地で出会ったBLM支持の黒人のティーンズは、筆者にこう吐き捨てるように言った。
「あのファシスト(トランプ氏のこと)の本心は、『警官に歯向かうニガー(黒ん坊)は片っ端から撃ち殺す』ということだ。そのニガーも黙っちゃいない。やってやろうじゃないか」
「黒人が嘘をついていることが問題なのだ」
黒人大統領が7年半、続いている米国。いくらか人種対立は和らぐのではないか、といった期待感は当初はあった。
ところが各種世論調査によれば、「バラク・オバマが大統領になって以降、人種問題は一層悪化している」と答えるものが6割を超えている。
いったい、何が起こっているのか――。
ここで紹介する2冊の本は、その意味では、今激化する人種間の対立の実像を知るうえで必読の書かもしれない。
著者はタリービ・スターケスという黒人映像作家。タイトルが示す通り、著者は、そのBLMの主張に異議を申し立てている。
BLMメンバーが盛んに主張する白人警官の暴挙について、「あんたたちの言っていることは嘘だ」と正面切って反論している。
当然かもしれないが、黒人から著者は袋叩きにされている。「裏切り者」「白人の犬」といった罵声が飛んでいる。
一方で白人サイドからは、黒人でありながら人種問題を冷徹な目で見ているスターケス氏は高く評価されている。
著者は、BLM運動だけではなく、マーチン・ルーサー・キング師の無抵抗主義を継承してきたと自負する黒人社会では体制派の黒人公民権運動についても厳しい目を向けている。
ジェッシー・ジャクソン師やアル・シャープトン師を「the Race Grievance Industry」(意訳すれば、「人種差別を飯の種にして不平・不満を唱える運動家たち」ということになる。
■恩恵を享受しながら責任放棄の黒人社会
著者は3年前に「The Un-Civil War」(Blacks vs Niggers: Confronting the Subculture Within the African-American Community)を著して注目された。
この本は、「野蛮で無作法な戦争:(まともな)黒人vs(かって白人にニガーと蔑まされた)黒人=黒人コミュニティ内で対決するサブカルチャー(下位文化)」を徹底分析している。
著者はこう述べている。
「黒人社会(ブラック・コミュニティ)では今2つの相反する世代を超えた衝突が起こっている。1つは、自己破滅型、反社会的文化。今1つは前向きで社会対応型文化。この2つの文化がぶつかり合い、殺人や暴力を起こし、混乱を招いている。
「米国民は、多くの時間と労働とカネ、そして命をも犠牲にしてきた。その結果、黒人もこのモザイク国家に対等の立場で根づくことができたはずである。ところが黒人社会では、黒人公民権運動がもたらした恩恵を享受する一方で、その権利に伴う責任については無視するサブカルチャーが闊歩している」
「もし黒人が黒人社会の機能障害に陥っているこのサブカルチャーから脱却したいのであれば、黒人に対するネガティブなイメージを払拭することを最優先議題にせねばならない。それに失敗すれば、黒人社会は未来永劫、その蟻地獄から抜け出すことはできないだろう」
■「黒人は白人に射殺される15倍も黒人に射殺されている」
著者は、新著では、前作で明らかにした自らの立ち位置からここ数年起こった「人種戦争」について客観的検証を試みる。
まず第1に、本当に黒人は白人警官に手当たり次第に射殺されているのか、どうか。
著者は、司法省資料を基に次のような事実関係を明らかにしている。
○白人に殺された黒人の数は犠牲者総数(1976〜2005年の29年間)の6%。
○黒人に殺された黒人の数は94%。
○黒人に殺された白人の数は14%。
○白人に殺された白人の数は86%。
つまり米メディアは黒人が白人警官に殺されると大騒ぎする。だが、殺された黒人の9割以上は、同胞(はらから)である黒人によって殺害されている。
だがメディアはあたかも「多くの黒人が白人警官に射殺されている」といった虚像を世間にばら撒いているのだ、と著者は言い切る。
■黒人による白人差別主義を忘れたBLM
著者はBLM運動の実情にもメスを入れている。
BLMは、テネシー州ナッシュビルの公立図書館で集会を開こうと申請したが、図書館側はこれを拒否した。BLMは「白人優先主義であり、公民権法違反だ」として図書館を提訴した。
調べてみると、事前に作られた案内では「集会参加者は黒人あるいは白人以外の非黒人に限る」と白人を排斥していた。これでは公立図書館としてはBLMの集会に部屋を貸すわけにはいかない。
当初3人の女性作家が呼びかけて結成されたBLMは、司令塔もないままに全米各地に支部が自然発生的に立ち上げられた。
これまでの黒人公民権運動との大きな違いは集会では必ずと言っていいほどヒップ・ラップ音楽のエンターティナーたちが登場する。
シンガーが「Putting Wings in Pigs」(ポリ公をエンジェルにしろ=ポリ公をぶっ殺せ)と歌えば、集まった黒人の若者たちはそれに合わせて合唱する。反警察、反警官のスローガンが会場にこだまする。
ニューヨーク・ブルックリンで開かれた集会はいわばコンサートの体をなし、寄付と称して通常のコンサートなみのカネを集めている。そのカネの大半はBLMが運動資金だといって巻き上げたという。
共同発起人のガーザさんは、メディアとのインタビューでこう述べている。
「米国は黒人大統領を選んだが、米民主主義の対象に黒人は含まれていない。黒人のホームレスは白人のそれの7倍。刑務所にぶち込まれている大多数は黒人。13人のうち1人の黒人は投票権すら持てない。素手の黒人を射殺した白人警官はつねに無罪評決されている。黒人の命は虫けら同然なのが今の米国だ。それを直すには革命的な変化が必要だ」
あくまで平和的にそれを実現する、まさにキング師が掲げたスローガンである。
ところがそのBLMのスローガンをすべての黒人が額面通りに受け止めているわけではない。
7月16日、ルイジアナ州バトンルージュで警官2人と副保安官1人を誘い出して次々と射殺した元海兵隊員の黒人は、その6日前に動画サイトに投稿した動画で、「抗議するだけでは何も起こらない。血を流し、反撃することで革命は成功する」と訴えていた。
BLMとの関連性について地元警察は目下調査中だ。だがコメンティターの中には「はBLMのサイトに強い影響を受けた」とみている者もいる。
「ちょうどホームグローン・テロリスト(米国生まれ米国育ちのテロリスト)が『イスラム国』=IS=のサイトを見て影響を受けているのと同じかもしれない。地元警察の中には『BLMは警官殺しを教唆している』と言い切る者もいる」(バトンルージュ地元紙記者)
■黒人が自己破滅から脱皮できる唯一の道
本書の著者、スターケス氏は、そこまでは断定していない。だがこうも指摘している。
「BLMシンパの中には明らかにデモ集会から一歩進んで暴動を起こすことを目標にしている者がいる。人種問題をアジテーションや社会分断の道具に使おうとするのが狙いだ。その手法はキング師らの無抵抗主義とは明らかに違う」
ここで紹介した2冊の本について白人評論家のスカイラー・ミラー氏はこうコメントしている。
「今黒人社会に求められているのは真のリーダーだ。黒人にもいろいろな人間がいる。一生懸命勉強し、教育を受けて平均的な善良な米市民になっていく者と、自らの悪環境の原因はすべて白人支配の国家であり、人種差別のせいだと言い続ける者とがいる」
「スターケスは十羽一絡げにした人種差別論から黒人が脱却しない限り自己破壊から抜け出せない、と説く。正論だ。今黒人社会に必要な人物はスターケスのような指導者だ」
BLM運動が今後どのような存在になっていくのか。目が離せない。
民主党大統領候補に間もなく正式指名されるヒラリー・クリントン氏は、7月25日からフィアディルフィアで始まった党大会にBLM代表を招き、演壇での発言を求めている。
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