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エルドアンは今や彼自身の陰の政府を運営している: “エルゲネコン II”
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2016年7月22日 マスコミに載らない海外記事
Wayne MADSEN
2016年7月20日
Strategic Culture Foundation
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、2002年に、彼の公正発展党(AKP)が、民主的選挙で選出されて、首相として権力の座についた。トルコにおける、AKP支配の開始時、エルドアンと、実業、政治、学界、マスコミの広範な部分と、カリスマ的宗教指導者フェトフッラー・ギュレンが率いる、穏健なイスラム宗教運動は、トルコにおける“陰の政府”の存在に関しては、全て同じ考えだった。この陰の政府が、過去三回の軍事クーデターを助長していた。民族主義的な軍や諜報機関将校で構成されるトルコ陰の政府は、“エルゲネコン”としても知られている。
エルドアンがエルゲネコンに対して攻勢にでると決めた際、多くのトルコ人が広く喝采し、彼は主要当事者の多くを一掃し、軍やトルコ諜報機関MITから追い出した。だが、エルドアンは、エルゲネコン共謀者たちを見つけ出す上で、軍とMITだけで止めはしなかった。自分と自分の政権に対する秘密の策謀について、益々妄想的になったエルドアンは、政敵全員をエルゲネコン主義者だと非難し始めた。益々イスラム主義化するAKP政府は、ジャーナリスト、クルド人、アルメニア人、学者、非エルゲネコン・メンバーではない軍人、憲法裁判所の裁判官、野党指導者たちを、エルゲネコンの一部だとして告訴し始めた。間もなく、エルドアンは、陰謀論に曇った目を、かつての政治的盟友ギュレンと、ギュレン主義者として知られている彼の信奉者たちに向けることとなった。
2007年大統領選挙の後、エルドアンと盟友ギュレンは、エルゲネコン策謀者たちが、大ハンマーという暗号名の作戦で、政府転覆を計画していたと訴えた。300人以上の軍当局者が逮捕され、反逆罪で訴えられた。大ハンマー・コンピューター文書は、日付が2003年となっていたが、Word 2007で書かれていた。文書が、エルドアン支持者に書かれた可能性が高い捏造なのは明白だったが、エルドアン政権は、更に非民主的な権力を集中しはじめた。数年のうちに、エルドアンとギュレンとの関係は分裂し始めた。
2013年に、エルドアンとギュレンの同盟は終わった。ギュレンはエルドアン支持を撤回した。トルコ首相は、閣僚を含めた自分の政権の粛清で応えた。エルドアンは、彼らを、ギュレン主義者で、“並行政府”のメンバーだと非難した。“秘密政府”工作員の逮捕が増加した。完全に妄想的偏執症に病んでいるエルドアンは、自分にとって脅威であると考えているのと同じ種類の“陰の政府”をたちあげたのだ。
わずかなトルコ軍による、7月15日のクーデター未遂が、“エルゲネコン II”とも呼ぶべきエルドアン自身の“陰の政府”のメンバーによって指揮されていたことは明らかだ。故意に、できる限り可能なミスをしたクーデター未遂には、いくつかの狙いがあった。一つ目は、エルドアンが、誰がクーデター策謀者側につくのかを見分けるまで待ち、軍内に残っていた彼の敵を追い出すことができたこと。二つ目は、エルドアンは、クーデター未遂を、何より、トルコ中で、2700人の裁判官の首を切って、さらなる権力掌握に利用したこと。三つ目は、支持者に街頭に出るよう促して、エルドアンは、AKPの狙いに対し、弱体化していた支援を活気づけることができたことだ。スンナ派過激主義のトルコ宗教局からの命令で、トルコ中のモスク尖塔上につけられたスピーカーが大音量で流すメッセージで、宗教指導者たちは、エルドアン側につくようトルコ国民に熱心に説いた。
7月15日のクーデターは、エルドアン自身の手によって、失敗する運命にあった。クーデターは、典型的な、軍隊による文民政府に対するものとして始まり、戦略的拠点、ボスポラス海峡の橋二本、イスタンブール国際空港、国営放送局TRTと、アンカラの参謀本部 - 全てがクーデター指導者に占拠されたとはいえ、それは失敗するように仕組まれており、エルドアンに必要な、国民の支持を押し上げた。
クーデター策謀者が、奇妙にも連中の行動を、同時に、Facebook、Twitterや、YouTubeを含むトルコの大半のソーシャル・メディアも閉鎖できたであろうに、一体なぜ、戦略的な拠点全てではなく、ごく僅かな拠点の制圧に限定したのかも謎のままだ。クーデター策謀者連中が、一体なぜ、エーゲ海の休暇の地で、エルドアンを逮捕する動きに出なかったのかという、決して消えることのない疑問もある。実際、エルドアンがマルマリス海岸のリゾートホテルを出た後、彼の飛行機は、反乱側の手中にあったと報じられていたイスタンブールのアタチュルク国際空港への着陸を拒否された。エルドアンのプロパガンダ工作は、大統領機にのって空中にいたエルドアンは、ドイツへの亡命を求めていたというニセ情報を流しはじめた。真実は、エルドアンの飛行機は決してトルコ領空から遠くに迷いでてはいなかった。主要なソーシャル・メディアは閉鎖されていたが、エルドアンは自分のiPhoneで、反乱軍に制圧されていなかったCNN Turkで、FaceTimeに登場した。
もしクーデターが、政府を打倒する本気の企みだったなら、FaceTimeも閉鎖されていたはずだ。アメリカ・ケーブルニュース・ネットワーク(CNN)の子会社CNN Turkも、TRT国営放送局同様、即座に閉鎖されていたはずなのだ。また、国営のアナドル通信社は、クーデターは始まった直後に鎮圧されたと主張するビナリ・ユルドゥルム首相の声明を流し続けていた。本当のクーデターなら、この通信社も封鎖されていたはずだ。
エルドアン支持者たちが、アタチュルク国際空港を奪回した後、エルドアンは、7月16日早朝、国内ターミナルに着陸し、歓呼する群衆に会った。こうした徹底的なエルドアン支持者は、イスタンブール市長だった頃から、彼を支持してきた。エルドアンの飛行機は何事もなく着陸した。本物のクーデターなら、エルドアンの飛行機は軍に包囲され、逮捕されていたはずだ。あるいは、もし大統領機が軍の命令に逆らって着陸を主張すれば、撃墜されていただろう。
彼に対する共感をさらに盛り上げようとして、クーデターを知って、彼が出た後、マルマリスで泊まっていたホテルが爆撃されたと、エルドアンは主張している。更なる国民の共感と支持を得る方法として、ホテルと、アンカラの巨大な大統領官邸爆撃を命令するのも、エルドアンにとって、有益だろう。
クーデター“策謀者”は、1500万人の住民で無秩序に広がる首都、イスタンブールで、道路封鎖で、大変な交通渋滞が起きる時刻を選んだ。人々が仕事から帰宅できるよう、ボスポラス海峡を渡る橋の一車線を開放したままにせず、全車線を封鎖して“クーデター”と“指導部”とされるものに対して、国民を激怒させた。
もしクーデター未遂が本物だったのであれば、エルドアンは逮捕され、投獄されトルコ国民にメッセージを流す可能性などなかったはずが。トルコ国民は、誰よりも、1974年のキプロス人大統領マカリオス大主教に対するギリシャ系キプロス人クーデターの失敗を知っている。ギリシャ系キプロス人革命政権が、マカリオスは打倒され、クーデター中に殺害されたと発表した後、マカリオスが、キプロスのパフォスにある低出力の放送局から、国民に話しかけた。マカリオスは、クーデター指導者は、決してキプロスを支配できないと表明した。クーデターは失敗した。ギリシャ系キプロス人クーデターの企みを、トルコ系キプロス住民を保護するという名目で、北キプロスを侵略し、占領するのに利用したので、トルコ軍はこの経験を良く知っている。
空港で、エルドアンは、折り目がまだはっきりわかる新品トルコ国旗を振る群衆に迎えられた。これは常にジョージ・ソロスが関与しているテーマ革命の象徴で、抗議行動参加者たちは、決まって出来立てほやほやの旗をふっている。エルドアン支持者の中には、ソロスが支援している団体である、西中国の東トルキスタンのイスラム教分離主義集団を代表する新品の旗を振っているものもいた。ソロスのオープン・ソサエティー研究所は、イスタンブールで自由に活動しており、ソロスはエルドアンとは友好的関係にある。ソロスの取り巻きである、ジョン・ケリー国務長官が、もしこの宗教指導者がクーデターの黒幕だということが確定されれば、ペンシルバニア州に亡命しているギュレンを引き渡すよう勧めると語ったことも注目すべきだ。二つの主目的があった彼の偽旗クーデターにとって、エルドアンに対するこれ以上の支援はあるまい。エルドアンに、ほぼ独裁的な権限を与えてくれるトルコ新憲法をを強引に成立させることと、ギュレンを逮捕し、彼を投獄するか、死刑にすることだ。ケリーの声明は、バラク・オバマが決まって、エルドアンを、中東とイスラム問題に関する相談役として重用してきたのと同じくらい空虚だ。オバマが「イスラム国」カリフに助言を求めたとしても、これ以上悪いことにはなるまい。
トルコのクーデター未遂は、ドイツで、1933年、アドルフ・ヒトラーがドイツ憲法を廃止するため、国会議事堂放火をナチスが画策し、共産主義者のせいにした出来事と、1944年、東プロシアの隠れ家でのヒトラー暗殺という軍の策謀、ヴァルキューレ作戦の組み合わせだ。誰がトルコの偽旗クーデターに、一体誰が参加するかを見分けるまで、十分待つということを、エルドアンは、ヴァルキューレ作戦の支持者全員が明らかになるまで、ドイツ国民に演説をしななかったヒトラーを見習ったのだ。そこでようやく、ヒトラーは、クーデター策謀者連中の逮捕と処刑を命じたのだ。トルコ・クーデターの失敗後、エルドアンは即座に、典型的な“ハエ取り紙”作戦でつかまえた実際の策謀者や、クーデター策謀容疑者を逮捕する動きにでた。
エルドアンは自分は現代オスマン帝国のスルタンだと夢想している。彼は今や自分を包囲された指導者だと思い込んでいる。エルドアンは、これまで以上に危険で、実際、実に暗い先行きがトルコを待ち受けている。
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