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「核の先制不使用」検討 オバマ米大統領が構想 現地紙報道
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領が新たな核政策を検討していることがわかった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が10日報じた。核の先制不使用宣言や核実験を禁止する国連安全保障理事会決議を採択する構想だ。歴代米政権は核の先制不使用を受け入れておらず、オバマ氏が決断すれば米国の核政策の大きな転換となる。(関連記事国際面に)
核の先制不使用は相手の核攻撃への反撃を除き、核兵器を使わないという政策だ。通常戦力や化学・生物兵器による攻撃に対して核兵器で応酬せず、核兵器の役割を核対核に限るものだ。
オバマ氏が新たな核政策を検討するのは2017年1月までの任期を見据え、自らの看板政策である「核兵器なき世界」に道筋をつける狙いがある。
オバマ政権は核政策をめぐって安全保障の関係閣僚会議をこれまで2回開いた。新たな核政策には21年までのロシアとの新戦略兵器削減条約の有効期限を5年延長する案もある。
[日経新聞7月12日朝刊P.2]
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オバマ氏構想 、「核なき世界」へ具体案 中ロ見据え慎重論も
【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領が新たな核政策として核の先制不使用宣言の検討に入った。自らが提唱する「核兵器なき世界」への具体案となるものだが、これまでの米国の核政策の大きな転換になる。核の先制不使用を採らないロシアや核開発を進める中国や北朝鮮を見据え米国内には先制不使用宣言への慎重論が根強い。実現にはハードルがある。(総合1面参照)
「オバマ氏の広島での演説はよく練られていた。核兵器の怖さ、それを使った時の恐ろしい結果を思い起こさせた」。ハムレ米戦略国際問題研究所(CSIS)所長は5月のオバマ氏の広島演説について日本経済新聞の取材にこう評価した。そのうえで「国際政治を変える政策の方向性に関する概略は示さなかった」と述べた。
これはオバマ氏の広島演説を巡る米国内の一般的な受け止めで、このような声は当然、オバマ氏や側近の耳にも入っている。オバマ氏の任期は2017年1月まで。広島での演説であまり現実味のないことを言って大風呂敷を広げても、かえって批判を招きかねない。核軍縮への具体案がなかったのは、こんな深謀遠慮があったからだと推測された。
この時期に先制不使用宣言構想が出てきたところをみると、5月下旬の広島訪問までに政権内で議論が収れんせずに間に合わなかった可能性がある。オバマ氏には任期のギリギリまで自身の政策の1丁目1番地である「核兵器なき世界」を追求する姿勢がみてとれる。
ただし核の先制不使用宣言は被爆地、広島への訪問と同様、歴代米大統領が踏み出せなかった難題だ。オバマ氏がその歴史的な政策転換をできるかは予断を許さない。
第2次世界大戦末期の8月、米国は広島と長崎に核を先制使用した。冷戦下もアイゼンハワー米大統領は対ソ連の抑止政策の骨格として核の先制使用を打ち出し、北大西洋条約機構(NATO)諸国への防衛力を強化した。
核の先制不使用宣言をめぐる議論は冷戦終結後にソ連が崩壊し、欧州の軍事的な力関係が変化した頃から再び注目されるようになった。その後、オバマ氏が大統領に就き、09年にチェコ・プラハでの演説で「核兵器なき世界」を打ち出し、10年にはロシアと新戦略兵器削減条約を結んだ。
核弾頭数9割を保有する米国とロシアが核軍縮での協力を継続していれば、米国の核の先制不使用宣言も、その延長線上で理解されたかもしれない。しかし現在、米ロはウクライナ危機をめぐって対立し、世界的に核軍縮の機運はむしろ遠のいている。
ロシアはクリミア編入にみられるように米国に対抗した旧ソ連時代に先祖返りした印象がある。核大国で唯一、先制不使用を宣言している中国も核開発を続けているうえ、南シナ海などで海洋進出を進める。国際社会から孤立を深める北朝鮮は核実験を繰り返し、過激派組織「イスラム国」(IS)は核テロを狙っているといわれる。
世界の安全保障環境が不安定になっている。現実的には核を先制使用するケースは想定できないとしても、核の不使用を前もって宣言するのが良いのか悪いのか判断は分かれるところだ。
オバマ氏の心境に立つと、米国が率先して核の先制不使用を宣言し、核開発競争に一石を投じるという思惑に映る。オバマ氏のレガシー(政治的な遺産)への執念が改めて浮かび上がっている。
[日経新聞7月12日朝刊P.9]
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