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(回答先: EU、ロボットに税金支払いを義務付ける:新ラッダイト運動に走る欧州議会:ロボットの定義問題や外見偽装など異様な展開に 投稿者 あっしら 日時 2016 年 7 月 06 日 05:26:23)
[私見卓見]AIが働く社会と最低生活保障 駒沢大学講師 井上智洋
人工知能(AI)が私たちの仕事を奪うのかどうか、多くの人が関心を持っているだろう。資本主義の歴史の中で技術の進歩とともに多くの労働者が仕事を失ってきたが、新しい仕事に移る「労働移動」によって失業を解消してきた。だがAIはいずれ、これまでと質・量ともにまったく異なる規模で人の仕事を代替していくだろう。
米グーグルが開発した囲碁AI「アルファ碁」や自動運転技術が注目を浴びているが、これらは「特化型AI」と呼ばれ、実はそれほど多くの仕事は奪わない。本当の脅威は何でもできる「汎用AI」で、2030年ごろに実現するといわれている。普及すると、もはや労働移動で吸収できなくなる。クリエイティビティ、マネジメント、ホスピタリティを伴わない仕事は汎用AIに置き換わり、働けるのは人口の1割という未来が来てもおかしくない。
私は大学でAIを研究し、IT(情報技術)企業に勤めた後、今はマクロ経済学の観点からAIを研究している。「汎用AI」が普及したとき経済はどうなるのだろうか。
日本の潜在成長率はAIによる経済成長への影響を考慮しないと、人口減少などで30年代後半にはゼロ近傍に下がる。一方、汎用AIが普及する前提で数理モデルに基づいてシミュレーションすると60年ごろに5%程度まで上がり、その後はぐんぐん高まる。
その時の世界はこんな様子だ。一部の資本家は汎用AIが働く無人工場で効率的にどんどん商品をつくり出すことができる。ただ多くの人は失業していて商品を買うことができない。つまり潜在成長率は伸びても個人需要が全く追いつかないという状態だ。
これをどう解決するか。1つは生産手段を国有化し、国民に平等に商品を配ることだが、社会主義の歴史を顧みると現実的ではない。となると税を通じて所得を再分配する方法が浮かび上がる。今の制度では生活保護だが、9割の国民を被保護者にするとなると、それは最低生活保障として毎月一定額を国民に配るベーシック・インカム(BI)の考え方に近くなる。
BIは6月上旬にスイスで国民投票され否決されたが、オランダやフィンランドでも議論が進んでいる。今は生存権を巡る議論だが、かつてないほどのスピードで雇用が失われていくなかで、経済循環を維持する観点からもBI導入はいずれ避けて通れない問題となるだろう。
[日経新聞7月1日朝刊P.29]
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