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【社説】クリントン氏だけに適用 FBI長官の基準
コミーFBI長官はクリントン氏の訴追を求めないことを発表。保守派の市民団体ジュディシアル・ウォッチのトム・フィトン氏が解説(英語音声、英語字幕あり)Photo credit: Associated Press.
2016 年 7 月 6 日 14:02 JST 更新
米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は5日、ヒラリー・クリントン前国務長官が公務で私用メールを使っていた問題で、クリントン氏の訴追を勧告しないことを発表した。その決定理由を説明したコミー氏の言葉の中で最も啓示的だとわれわれが考えるものはこの発言だ。「これは同じような状況で同じ行為を行った人物が重大な結果に直面しないことを示唆するものではない。その反対にそうした個人はしばしば安全保障上もしくは行政上の処分の対象となる」
つまり、政治的な不公平さがあるということだ。「米大統領選で民主党から指名を受けるのが確実な候補者には一つの基準があり、一般大衆にはまた別の基準がある」。かつてのエリオット・ネスと言っていいコミー氏がここまで露骨に言おうとしていたかどうかは分からない。しかし、法治国家米国にとって、なんと気の滅入るような瞬間だったことか。あまりに多くの有権者がワシントンは影響力を持った人間のために不正を働いていると考えているのも不思議ではない。
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コミー氏は記者会見のほとんど全ての時間を使って、クリントン氏が私用メールサーバーを国務省の公務に利用したことは正式な政策に反するうえ、米国の機密情報を危険にさらした、とあらゆる角度から論じた。だが結局、彼は訴追を求めなかった。クリントン氏の行動は単に「極端な不注意」であって、法に抵触する要件としての「重大な過失」ではなかったからだ。これは言い方を変えただけで意味に違いがあるものではなく、噴飯ものだ。
コミー氏の事実は著しく―この言葉を使わせていただくなら―彼の結論と矛盾している。クリントン氏が国務省に提出した3万件に及ぶ公務関連の電子メールのうち、送受信時点で機密事項だった情報が含まれているものは110件に及ぶ。同じ要件でやり取りされている8件のメールは「トップシークレット(極秘)」扱いだった。FBIはさらに、クリントン氏が(国務省に提出せずに)消去した電子メールの中に、機密情報が含まれていたものは3件あったことを発見した。FBIがそれらを発見できたのは、科学捜査を通してだった。
コミー氏の発表には、メール問題に関してクリントン氏がついてきた数多くのうそを暴露する効果があった。それらを挙げてみる。
・クリントン氏は私用メールアカウントを利用して「いかなる機密事項もメールしたことがない」と言っていた。コミー氏はこれを正確な数字を出して反証した。
・クリントン氏は、私用サーバーは国務省の方針の下、許可されていると発言。コミー氏は「これらのメールは何一つ、いかなる種類であれ非機密扱いのシステム上でやり取りされるべきではなかった」と述べた。
・クリントン氏は自身が送受信したメールには機密扱いの「目印がなかった」と述べていた。コミー氏は目印があろうとなかろうと、「当該事項が機密扱いされていることを知っている、もしくは知っているべき立場にある関係者はそれでも尚、それを守る義務がある」と話した。
・クリントン氏は私用メールを使った理由について、使用機器を一つにする単純な「利便性」からだと説明した。コミー氏は、クリントン氏が「その個人ドメインに届いたメールを見たり、送ったりするために、数多くの携帯機器を使用した」ことを暴露した。数多くのサーバーもだ。
・クリントン氏は国務省に公務関連のメールをすべて提出したと主張した。コミー氏によると、FBIは「数千件」に及ぶ公務関連のメールが提出されていないことを発見した。コミー氏は、クリントン氏の弁護士がどのメールを提出するか決める際に、メールの中身を読むことさえしていなかったという驚くべきニュースを暴露した。彼らは「ヘッダーの情報」と検索語を頼りに提出するメールを決め、その後は「科学捜査で完全には回復できないような方法で機器をきれいにした」という。
・クリントン氏はメールが安全かつ確実な状態で保管されており、ハッキングされたことはないと話した。コミー氏によると、「クリントン長官(当時)が個人アカウントから定期的に連絡をとっていた人物」の個人アカウントに「悪意ある行為者」がアクセスしたことがあった。クリントン氏の個人メールについては知られており、「容易にそれと判断できる」ものだったという。
コミー氏によると、クリントン氏は「国外にいる間も個人メールを使用した。その中には、敵対する先進国家の領土内での公務関連メールの送受信も含まれる」。コミー氏はさらに続けて、そのため「悪意をもった行為者がクリントン長官の個人アカウントにアクセスした可能性はある」と述べた。
これらの具体的な項目リストは訴追に値するにも関わらず、コミー氏はどれも刑事訴追の正当な理由にはならないと結論づけた。クリントン氏の行動は訴追の基準を満たしていない、というのがコミー氏の言い分だ。その基準とは、「機密情報を不正に扱おうとする明らかな意図や故意、意図的に不正に扱おうとしたとの推論を根拠づけるような方法による大量の文書の露出、米国に対する背信の兆候、司法を妨害しようとする行為」だという。
だが、国務省監察総監室の最近の報告書には、クリントン氏とそのスタッフが個人アカウントはハッカー攻撃に脆弱だと国務省関係者によって警告を受けたことを示すメールの存在が明らかにされている。クリントン氏は故意に、かつ意図的にこの警告を無視した。コミー氏は連邦政府機関の多くの職員が悪意の証拠もなく機密情報の扱いを巡って訴追されていることを知っている。彼らは機密情報を単にむやみに扱ったという理由で訴追されたのだ(マイケル・ムケージー元司法長官による寄稿を読んでほしい)。
分別ある人間の基準に照らせば、個人的なサーバーを使用し、側近にアクセス権を与え、機密情報をそのアカウントでやり取りし、安全性を確保せず、しかも敵対する国の領土でも使用するというクリントン氏の決断は「重大な過失」である。われわれは誰か次の取り巻きが機密情報の不正な扱いのかどで訴追され、盾として「極端な不注意」という言い訳を持ち出すのが待ちきれない。
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コミー氏は政治の「透明性」の名の下に行った「異例の発表」を正当化した。だが、いかなる検察官もクリントン氏を訴追すべきでないと宣言したことによって、彼は政治的な説明責任という理念を損ねた。訴追するかどうかの判断は検察当局に委ねられているのであって、コミー氏が言うようにFBIではない。だが、検察当局は訴追しないことを正当化するために、コミー氏の公の発言を単に引用すれば良いだけになった。彼は証拠をひそかに渡すこともできたはずだ。だがそうせずに、まるで検察官の一人であるかのように振る舞った。検察官ではないと否定しながらもだ。
検察当局が訴追手続きを進めるかどうかを決める際に、事情を検討しなければならないのは本当だ。だが、仮にコミー氏とFBIの捜査対象がクリントン氏ほど著名でなく、ワシントンのエスタブリッシュメント(支配階級)にもクリントン氏ほどには気に入られていないような人物であったなら、彼らが同じような寛容さを示していたかどうかは疑問だ。コミー氏の親友で、(CIAの秘密工作員の身元を明かしたとされる)「スクーター」ことルイス・リビー副大統領主席補佐官(当時)の事件では特別捜査官に任命されたパトリック・フィッツジェラルド連邦検事はそうした自制は見せなかった。
最も憂鬱(ゆううつ)なことは、この一件が(来年現実になるかもしれない)クリントン政権の何かを予言していることだ。クリントン氏は細心の注意を払って連邦公文書記録管理法から逃れようと努力し、1年間うそをつき通し、そして今や説明責任からも逃れることになった。これは1990年代に嫌というほど味わわされたクリントン一家の常套手段を裏付けるものだ。それは、十分に長い期間否定し続ければうまく逃れることができ、友好的なメディアや政治階級から守られるということだ。
法規範は偏りのない適用が求められる。コミー氏が自己正当化と都合のいい発言を避け、クリントン氏を訴追しないほうがいいのは、ドナルド・トランプ氏をこの国の大統領にさせないためだと露骨に言ってくれたほうが良かったとわれわれは思っている。そのほうがコミー氏の「クリントン基準」よりも誠実で民主主義に対する悪影響が少なかっただろう。
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