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(回答先: 「米国一極体制の終焉」宣言だったトランプ旋風 世界最高の論客、ノーム・チョムスキーMIT名誉教授が語る世界の今 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 27 日 07:55:03)
頼りにしていた英国が!ショックを受けるフランス
英国EU残留を望んでいたフランス、英仏関係はどうなるのか
2016.6.27(月) 山口 昌子
英国民投票、ブックメーカーが「離脱」予想に転向
英ロンドン中心部のロイヤル・フェスティバル・ホールで開催されている英国民投票パーティーで、開票速報の結果に気を落とす「残留」派の人々(2016年6月24日撮影)。(c)AFP/GEOFF CADDICK〔AFPBB News〕
英国の国民はEU離脱を選んだ。EU諸国の中で特に衝撃を受けているのがフランスだ。今後、英国とフランスの関係は厳しく緊張感のあるものになっていくかもしれない。
「EUから離脱しても拠出金を払え」とフランス
「6月28日のEU首脳会議では、英国に対して強硬な態度で臨む。フランスは絶対に妥協しないだろう。首脳会議では、英国が離脱しようが残留しようが、オランド大統領はこの点を強く主張する」
英国の国民投票の直前に、フランスのマクロン仏経済・産業・デジタル相は仏主要紙「ルモンド」(6月18日付け)との会見で、英国がEUから離脱しようが残留しようが英仏関係は厳しくなるとの見方を示していた。
EUの運営予算をまかなうため、EU加盟国はそれぞれ分担拠出金を払っている。「EU離脱派」が離脱を求める理由の1つとして挙げていたのが、「英国は高額な拠出金を払っているのに、相応の見返りを得られていない」ことだ。
だが、フランスのオランド政権は、英国はEUを離脱してもこれまでと同様に拠出金を払うべきだという考えだった。
非EU加盟国のノルウェーやスイスは、EU市場と取引する際に拠出金を支払っている。マクロンは、「英国がEU離脱後もヨーロッパ市場に引き続関与したいのなら、ノルウェーやスイスのように拠出金を払ってEUの予算に貢献するべきだ。もし拒否するなら、英国は完全に(欧州市場から)離脱することになる」と語った。
また、マクロンは、英国海峡の小島ガーンジー島を例に挙げ、「EU離脱なら英国はガーンジー島化し、ちっぽけな国になるだろう」と指摘していた。英国が取るに足らない小国に転落するという警告である。
百年戦争は今も続いている?
海峡を挟んで隣接する英国とフランスは、常に微妙な関係にある。両国は互いに対抗心があり、ジャンヌ・ダルクが「救国の乙女」として活躍した「英仏百年戦争」(1334〜1453年)は現在も続いていると言っても過言ではない。
欧州統合の牽引役を自負するフランスと、EUに懐疑的な英国は、EUの政策を巡って何度か対立してきた。
特にEU内の農産物の価格統制や保護・補償を基本政策とする「共通農業政策」(CAP)を巡って、英国は「フランスが恩恵を受けすぎている」と批判してきた。1970年代まではEU予算の約70%がCAPに充てられていた。2005年以降は44%まで減少しているが、「フランスは拠出金より受け取る補助金の方が多く、CAPを最大限に利用している」というのが英国の指摘である。
1994年に英仏海峡にトンネルが開通した時も、両国の反応は正反対だった。フランスが「ナポレオン時代からの200年来の夢が実現した」と官民一体で祝賀ムードだったのに対し、英国は「(フランスから)ネズミが押し寄せてくる」「ニンニクの匂いが漂ってくる(仏料理はニンニクを多用しないが)」と拒否反応を示すムードだった。EU離脱派も、「中東やアフリカから大量の難民が英仏海峡のトンネルを渡ってやって来る」と脅威を煽り立てていた。
英国を頼りにし、EU残留を望んでいたフランス
ただし、EU内でフランスは英国を頼りにしており、英国のEU残留を望んでいた。
かつては第1次、第2次世界大戦で、英仏は同盟国として共にドイツと戦った。フランスにとってドイツは普仏戦争(1870〜71年)を含めて3度戦った仇敵である。それだけに英国は頼りになる同盟国だった。
EUの安全保障面でも、北大西洋条約機構(NATO)の主要メンバーで、米国と密接な関係にある英国の存在は大きかった。フランスはドゴール政権時代の1966年にNATOの軍事機構から脱退し、2009年に復帰したが、核計画グループには参加しておらず、英国に比べると発言力は弱い。
中・東欧の10カ国が加盟(2004年)してから比重がドイツに大きく傾いているEU内で、フランスがいざという時に頼りにするのは英国だったのである。
フランス国民も、英国のEU残留を望んでいた。最新の世論調査ではフランス国民の63%が英国のEU残留を「切望」し、58%が英国の離脱はEUにとって「大きな損失」と回答した。74%は英国が離脱した場合に他国も「続く可能性がある」と予測し、その悪影響を心配していた。
「我々はヨーロッパ大陸に属さない」
一方、英国のヨーロッパ大陸への接し方は複雑だ。協力はするが帰属はしない、というのが英国の本音である。
英国のウィンストン・チャーチル元首相は第2次世界大戦中の1940年に、英仏による共同政府と共同軍隊の創設を提案したことがある(同年6月にナチスがフランスを占領したことで、この考えは頓挫した)。
チャーチルは第2次世界大戦終了後の1946年にも、スイス・チューリヒでの歴史的演説で「ヨーロッパ合衆国」の創設を提案した。欧州統合の構想が企画段階だった1950年にも「英国は欧州連合に関わるべきだ」と主張している。
チャーチルはその一方で、英国の独自性やヨーロッパ大陸からの独立性に強くこだわっていた。「ヨーロッパ合衆国」を提起したときの演説の中で、チャーチルはこうも述べている。
「我々英国人は独自の夢と独自の任務がある。我々はヨーロッパと共にあるが、我々はヨーロッパ大陸に属さない。我々はヨーロッパと結び付きがあるが、統合されてはいない。我々は共通の利害があり、協力者ではあるが、しかし吸収はされない」
亡命先のロンドンでレジスタンス(対独運動)を指揮していたドゴール将軍と交わした会話(1944年)でも、「もし英国がヨーロッパと我々の大海原とのどちらかの選択を強いられたなら、大海原を取る」と言明した。
今回、国民がEU離脱を選んだことは、昔も今も変わらない英国の基本スタンスが表れたものと言ってよい。英国にならって雪崩式にEU離脱を求める国が現れることをフランスは危惧している。世界は大きな岐路に立たされている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47187
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