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持続不能なギリシャ債務:ギリシャ多数派国民に対するイジメ、年金平均受給額は難民が受け取る給付額のおよそ半分
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/255.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 6 月 14 日 03:19:37: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 

ギリシャ国民の救済案に対する不満は大きい(アテネ市内)=AP


[FINANCIAL TIMES]持続不能なギリシャ債務
チーフ・エコノミクス・コメンテーター マーティン・ウルフ

 ギリシャをユーロ圏内で経済的に自立した国にする道はあるだろうか。それには何が必要なのか。ギリシャが今、経済的苦境にあり、周辺諸国とも悲惨な関係にあることを考えると、これは大問題だ。現在、ユーロ圏はギリシャが債務不履行(デフォルト)状態にないふりをし、ギリシャは改革するふりをして、時間を稼いでいる。だが問題を直視することが必要だ。


 まず国際通貨基金(IMF)がこのほど発表した債務の持続可能性に関する分析に目を向けたい。その内容を簡潔に要約すると「私たちが引き起こした混乱についておわびしたい」ということだ。

 IMFは2010年に合意した救済プログラムが非現実的だったことを認めた。また、11〜12年に決めた債務減免措置でも不十分だと認めた。

□   □

 実際、その後の状況を見れば、これらの目標がいかに達成不可能だったか分かる。IMFは最後にこう書いている。「すべての重要政策分野(財政と金融セクターの安定、労働および製品、サービス市場)について当局が立案した今の計画では、現在掲げている野心的な財政・成長目標の達成はできない」

 つまり、IMFは現実的な分析をしたのだ。IMFは、ギリシャが国内総生産(GDP)比3.5%相当の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を持続的に達成できないとしている。この達成に必要なGDP比4.5%の追加的な財政圧縮など無理だ。そんな調整はいかなる国でも難しい。政府も税制も機能不全に陥っているうえに、大不況にあるギリシャではあり得ない。IMFはプライマリーバランスがGDP比1.5%の黒字なら実現するとみている。

 トリプルA格付けのユーロ圏の国債利回りはいずれ今より上昇し、ギリシャの対ユーロ圏公的債務に課されている金利(加重平均で1.2%)の上昇につながるとも見ている。また、ギリシャが再び国債を発行できるようになった際には、当初6%の利回り負担になると想定している。つまり、ギリシャの債務は持続不能だという。

 ユーロ圏諸国が避けたい元本の削減なしに債務を持続可能にするには、さらなる大幅な償還・返済期限の延長と、金利の1.5%以下への固定が必要だ。その結果、ユーロ圏諸国は欧州連合の救済基金「欧州安定メカニズム」に対し、ギリシャ向け融資の金利を固定することで生じる損失を補填(ほてん)する必要が出てくる。これは目に見える「財政移転」だ。

 従来の楽観的な見方に対し、これは恐ろしく悲観的な展開だと考える人たちがいる。そう見る人たちは、状況が多少改善し、欧州中央銀行から新たな支援があれば、ギリシャの経済と債務状況はIMFが想定しているより改善する可能性があると考えている。債務の利払いが優遇されているのだから、今手を打つ必要はない、と。ショイブレ独財務相が望んでいるように、最善の政策は「待つ」ことだという。

□   □

 では、こうした状況の中で何をすればいいのか。ユーロ圏には、現実的な選択肢が3つある。

 第1は現在同様、今後も数十年、ギリシャが倒れずにやっていけるだけのお金を少しずつ与える一方、持続可能になる目標を主張し続けることだ。その間、ギリシャ政府は永遠の思春期青年のように、ギリシャの保護者役はけちだと不満をこぼし続けるだろう。

 第2は、今、想定しているプライマリーバランスの黒字化を非現実的だと認め、この発想から脱却することだ。そして債務の現在価値の恒久的削減は、改革が本当に達成された後に実施する。控えめな改革でも状況を一変させるかもしれない。ただ、変革には時間がかかると認識すべきだ。

 第3は、ギリシャはユーロ圏内では繁栄できないと認めることだ。ギリシャが直面する厄介な経済問題は、財政ではなく対外収支だ。経済悪化で輸入が圧縮されているのに、貿易収支はまだ黒字化していない。もし内需が回復したら、対外赤字は再び拡大する。誰も資金を出さなければ、永遠に不況から抜け出せなくなる。それを抜け出す方法は2つしかない。恒久的な財政移転か、実質的な通貨価値の大幅切り下げだ。その場合、ギリシャのユーロ圏離脱の選択肢が再浮上することになる。

 一方、IMFは自己の立場について決断を下す必要がある。IMFは今回、ユーロ圏に挑戦状を突きつけたことになる。ドイツはIMFの参加を望んでいるが、債務に関するIMFの要求は望んでいない。だからドイツは選択する必要がある。IMFは譲歩を得られなければ、ギリシャ問題から手を引くべきだ。その場合、ギリシャは救えないかもしれないが、少なくともIMFは自らの立場は守れる。
(8日付)

[日経新聞6月12日朝刊P.13]

 

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