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(回答先: 「米国から免罪符を貰った日本」に憤る韓国 投稿者 軽毛 日時 2016 年 6 月 09 日 01:23:28)
韓国社会に衝撃を与えた3人の「突然の死」
格差拡大、就職難・・・時代を象徴する悲劇
2016.6.9(木) 玉置 直司
学生が飛び降り自殺、家族連れの男性巻き込まれ死亡 韓国
飛び降り自殺があった光州市〔AFPBB News〕
「こんなことが起きるなんて・・・」。2016年5月末に起きた事故で3人が死亡したことが韓国社会に衝撃を与えている。信じられない事故であるだけでなく、その背景に韓国社会が抱える深刻な構造的な問題が垣間見えるからだ。
“death fell from the sky”――2016年5月27日、オバマ米大統領は、広島での演説をこう切り出した。「空から死が降って来た」。71年前の原爆投下のことだった。
「空から死が降ってきた」
この4日後、韓国南東部の光州(クヮンジュ)で、信じられない悲劇が起きた。光州郊外の谷城(コクソン)郡の役場に勤務する公務員A氏はこの日も残業をこなして最終バスで帰宅した。
「今から帰る」と連絡を受けた妻と5歳の長男が光州市内のアパート近くのバス停留所で待ち受けていた。
どこにでもある幸せな家族の風景だった。妻は妊娠8か月、長男は乗れるようになった自転車でA氏の後を停留所からアパートに向かった。
アパートまであとわずか。A氏が、2人を振り返った。「早くおいで」。長男にこう語りかけたその瞬間、悲劇が襲った。
A氏の真上から男が落下して来たのだ。
2人は重なり合うように倒れた。落下して来た男は頭を打って死亡。A氏も頭を強打して担ぎ込まれた病院で死亡した。
何が起きたのか?
公務員試験準備生が自殺公務員が巻き添え死
20代の学生が、アパートの20階から投身自殺をしたのだ。なんとその下を歩いてきたA氏にあたって巻き添えになってしまった。
A氏は、高麗大学の遺伝子工学科を卒業して、一度は専門分野である製薬会社に就職した。しかし、公務員への転職を決断し、妻の故郷である谷城群で7級公務員として働いていた。
A氏がどういう判断をしたのか。もちろん、知るすべもないが、韓国では最近、一流大学を出て大企業に就職したものの、思うところから公務員に転進するエリートが多い。
A氏も「できる公務員」として評判が高かった。広報担当者として、観光地としての谷城郡を売り込む仕事に没頭していた。韓国紙は「朝早くから夜遅くまで働く、アイデアマン公務員だった」と報じている。
そのA氏に衝突した学生は、何と公務員試験の準備をしていた。アパートの投身現場には遺書が残っていた。
社会的な劣等感に苛まれた、公務員試験準備が嫌だ、など前途を悲観した内容だった。それにしてもどうして極端な選択を、と思わざるを得ないが、それだけ追い詰められていたのだ。
宝くじ並みの公務員試験
韓国では、ここ数年、公務員試験の厳しさが度を超えつつある。2016年4月に実施された9級公務員の試験。4000人強の募集に対して、22万人以上が応募した。
近く実施されるソウル市の9級公務員試験も、「宝くじ」並みだ。1500人強の募集に対し、応募者は13万3000人近く。80倍を超える競争率だ。
とにかく就職が厳しいのだ。
ソウルの一流と言われる大学を卒業しても就職内定を得られる比率はせいぜい50%だという。サムスン、現代自動車、SK・・・、韓国では産業界の寡占化が進んで、雇用の裾野が広がらない。
さらにこうした大企業や財閥はグローバル化が進み、海外採用は増えるが国内での採用は絞っている。
仮に就職できても、あまりに厳しい労働環境に、拒否感を示す若者も多い。早朝深夜勤務、休日出勤、上司は絶対・・・苦労して働き続けても50代近くなると、事実上の「肩叩き」が始まる。
それなら、とばかり公務員や公企業を目指すが、こちらは気が遠くなるような競争率だ。いったい、自分の将来はどうなるのか。
「皆が被害者だ」
もちろん今回の事故の最大の被害者は、巻き添えにあった真面目な公務員A氏に決まってはいる。だが、どうして学生をここまで追い詰めたのか。
学生の家族は、A氏の弔問に訪れた。最初は「気持ちの整理が付かない」と言っていたA氏の家族は、弔問を受け入れてこう語った。
「考えてみれば、私たち皆が被害者ではないか・・・」
A氏の遺族の言葉が、韓国社会に大きな感動と、「いったいこの社会はどうなってしまったのか」という嘆きを呼んでいる。
地下鉄事故はこうして起きた
A氏の悲劇の3日前の5月28日午後6時前。ソウルの地下鉄2号線のある駅でもう1つの悲劇が起きた。
ソウルの地下鉄駅には、落下防止のための「スクリーンドア」が設置されている。地下鉄が停車するたびにこのドアを通って乗り降りする。
この日、この駅で、スクリーンドアが誤作動しているという連絡が機関士からあった。これを受けてメンテナンス会社の19歳の社員が1人で点検に向かった。
この作業中に地下鉄が駅に入ってきて、この若者がドアと車両にはさまれて死亡する事故が起きたのだ。いったいどうしてこんなことが起きたのか。
地下鉄に線路内に入って作業する場合、地下鉄運行は停止しなければならない。あるいは、地下鉄運行を監視する役目の作業員と修理・点検の作業員がチームで作業をしなければならない。ところが、こんな基本が守られなかった。
地下鉄を運行・管理する公企業のソウルメトロは当所、点検作業をするという報告がなかったなど作業員のマニュアル違反をほのめかす説明をしていた。
ところが、時間が経過すると、この19歳の作業員のせいだとは言えないことが判明してきた。通常2人1組で作業することを確認していなかった。スクリーンドアの鍵を駅事務室で受け渡したとき、駅員が作業内容の確認をしていなかった。
安全管理上の問題は、この若者のせいとは言えない。ソウルメトロが責任回避を図っているとの批判が出てきた。
そのうち、これまで知られていなかった事実が次々と発覚する。
そのそもこのメンテナンス会社とは何なのか。ソウルメトロが仕事を発注する見返りに大量の「天下り」を受け入れさせるための会社だった。
天下り幹部社員はほとんど現場に出ない。作業をするのは、非正規職だ。
死亡した19歳の作業員は、高校卒業後、メンテナンス会社に非正規職で就職した。月給が140万ウォン(1円=10ウォン)で、弟を養っていたという。
いつか正規職になる、が夢で、そのためにぎりぎりの生活をしていた。遺品のかばんからはカップ麺が出てきた。
これに対して「天下り」はその何倍もの給料を得ている。絵に描いたような、下請けに対する横暴だった。
さらに韓国で大規模災害が起きるたびに指摘される安全管理に対する感覚の希薄さだった。
3人の死は、韓国社会に衝撃を与えた。ソウル市長は、ソウルメトロと下請けの関係などを見直すと約束した。
今回の悲劇を期に、部分的な改善策はあるだろう。だが、事故の背景にある構造的な問題は、一朝一夕に直しようがないことも現実だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47048
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