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TPP早期批准に暗雲で焦るオバマ政権
2016年06月02日(木)岡崎研究所
オバマ米大統領が、5月2日付のワシントン・ポスト紙に、「TPPは世界貿易を中国ではなく米国が主導することを可能にする」との論説を寄稿し、TPP協定のメリットを訴え、早期批准を改めて求めています。オバマ大統領の論旨は、次の通りです。
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TPPが米国経済強化することを訴えるオバマ
この6年で、米国のビジネスは1400万の雇用を生み出した。この進歩を続けるため、我々は経済成長のあらゆる方策を追求する必要がある。今日、世界で最も大きな経済的機会はアジア・太平洋地域にある。この地域での貿易拡大は米国のビジネスに利益であり、中国を含む競争相手との状況を改善する。
中国はこの最も早く成長している市場を確保するために貿易取り決めを交渉している。先週、中国と15カ国は年内に地域包括経済連携協定(RCEP)に合意するために豪州で会合した。この協定は政府補助を得ている企業や国営企業による不公正な競争を防止しない。自由で開放されたインターネットを保護しない。知的財産権も十分に尊重していない。環境、労働基準も低い。
一方、米国がルール策定に関わるTPPは、米国経済を強化する。TPPは世界経済のほぼ40%を占める12カ国を含み、私企業が国営企業と公正に競争しうるようにしている。インターネットも自由で開放的なものにしている。知的財産権保護も強化している。1万8000の税の撤廃など、貿易障壁を取り除き、公平な競争環境を作っている。TPPが発効すれば、米国企業はその製品をより多く輸出でき、もっと高賃金の職を作りだす。
米国抜きの地域統合への危機感表すオバマ
この協定は米国の国家安全保障も強化する。我々の経済が戦略的に重要な地域の諸国と密接な関係を持てば、米国はより強く、より安全になる。
もしTPPが現実にならないと、これらのいずれも実現しない。アジア・太平洋地域は米国なしでも経済統合していくだろう。我々は主導するか、あるいは脇で傍観するかのいずれかである。TPPをやらないと、米国の商品は高い関税など貿易障壁に直面する。米国の会社は他国の会社と公正に競争するチャンスを失う。もし公正な競争ができれば、米国の労働者も企業も、誰にも負けない。
私(オバマ)は、TPPについての人々の懐疑心を理解する。しかし、我々が世界経済から孤立することは大きな機会を逃すことになる。その代りに米国は主導してルールを作るべきである。米国やパートナーが作るルールに他国を従わせるべきで、その逆にすべきではない。
TPPはそうする力を我々に与える。だからわが政権は議会指導者とTPPに超党派の支持を得るために努力している。遅くなるほどTPP通過は難しくなる。世界は変わり、ルールも変わりつつある。中国のような国ではなく、米国がそのルールを描くべきである。
出 典:Barack Obama‘President Obama: The TPP would let America, not China,lead the way on global trade’(Washington Post, May 2, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/president-obama-the-tpp-would-let-america-not-china-lead-the-way-on-global-trade/2016/05/02/680540e4-0fd0-11e6-93ae-50921721165d_story.html
オバマ大統領がここで主張している内容は、従来の主張の繰り返しであり、特に新味はありません。しかし、正論は何度でも繰り返す必要があります。この段階でオバマ大統領が改めてこういう主張をワシントン・ポスト紙に寄稿したことには意味があります。
大統領候補者全員がTPPに反対
共和党は大体自由貿易支持で、TPPには賛成の人が多いですが、クルーズ氏の撤退で共和党の大統領候補にほぼ決まったと思われるトランプ氏はTPPに反対です。民主党のサンダース氏もTPP反対です。ヒラリー・クリントンは従来TPP支持でしたが、民主党の指名獲得の必要性から、今のままのTPPには賛成しがたいと言っています。こういう中で、オバマ大統領としては、改めてTPPのメリットを訴えておきたいと思ったのでしょう。
大統領選挙終了までに米国がTPP批准をすることは困難ではないかと思われますが、米国が批准しないと、発効要件(参加国のGDPの85%の国の批准)が満たされず、せっかくの交渉成果が無に帰してしまいます。オバマ大統領の任期は来年1月20日までです。その任期中にオバマ大統領には、ぜひとも議会を説得し、批准まで終えていただきたいと思います。
次期大統領の可能性が高いヒラリー・クリントン政権まで先延ばしすると、選挙中の発言に縛られて、格好をつけるための再交渉などの声が出て、微妙なバランスでできている協定が壊れかねません。
日本としても、早く批准し、もう後戻りはできないという状況を早く作ることがオバマを支援すること、またはクリントンが選挙中の発言に縛られないことを促すことになるのではないかと思われます。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6890
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