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ロシアではなく、平和こそ、アメリカ権力にとっての本当の脅威
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2016年5月17日 マスコミに載らない海外記事
Finian CUNNINGHAM
2016年5月16日
Strategic Culture Foundation
怪物のようなアメリカ軍事予算は、木を見て森を見ずという諺の典型例だ。圧倒的に大成長しているがゆえに、いつも見過ごされてしまうのだ。
近年、アメリカ政府軍事支出の平均は、年間約6000億ドルだ。これは、教育、医療や社会保障予算を超えて、アメリカ政府の総裁量支出の半分以上だ。1.7兆ドルという全世界の年間軍事支出の三分の一を遥かに超えている。
1961年に、ドワイト・アイゼンハワー大統領が退任演説で警告した初期の軍産複合体は、実際、アメリカ社会と経済の中心的かつ決定的特徴となっている。アメリカ経済の余りに多くが、政府が資金提供する軍国主義に完全に依存しているのだから「アメリカ自由市場資本主義」などという話は、とんでもない撞着語法だ。
別の言い方をすればこうだ。他の国々に合わせて、もしアメリカ軍事予算が何らかの形で劇的に削減されれば、全能の軍産複合体と、我々が知っているアメリカという国家は崩壊するだろう。時間とともに、何かより良いものが出現するだろうが、既存権力の権益に対する影響は壊滅的であり、それゆえ徹底的抵抗を受けるのだ。
このロシアとの冷戦緊張エスカレーションという文脈の中で、今週ルーマニアにアメリカ・ミサイル・システムが配備された。8億ドルのいわゆるミサイルの盾はポーランドに拡張予定で 今後二年で、最終的にギリシャから南スペインにいたる全ヨーロッパをカバーする。
アメリカ政府とNATO幹部は、イージス対ミサイル・ネットワークは、ロシアを標的とするものではないと主張している。アメリカが率いる軍事同盟は、システムは、イランの弾道ミサイルや、他の特定されない「ならず者国家」からのものに対して防衛するものだと説得力のない主張をしている。ヨーロッパは、いかなるイラン弾道ミサイル能力の遥か射程距離外であり、昨年、テヘランとP5+1列強との間で国際核協定が調印されたことからして、「イラン・ロケットに対する防衛」という根拠は信じ難い。
新ミサイル・システムは、ロシアに向けたものではないというアメリカとNATOの否定を、ロシア政府は受け入れていない。クレムリンは、最近の配備を、自国の安全保障に対する脅威だと非難し、戦略的核の均衡を回復するための適切な対抗手段をとるつもりだと述べた。アメリカのイージス・システムは、NATO軍に、対ロシア「先制攻撃オプション」を可能にするものと当然見なすことが可能なためだ。
ここで、要点を論じる前に、いくつか明確にしておくことが必要だ。第一に、ヨーロッパ諸国は、昨年7月調印した画期的なP5+1協定の後、イランでの事業投資と市場を目指している。ドイツ、フランス、イタリア、イギリスとオーストリアなどのヨーロッパ諸国は、イランの巨大な経済的潜在力を活用しようと競っている。そのような有望パートナーに対して、イランが軍事的威嚇を考えているという発想は、ロシア当局者が指摘している通り、ばかげている。
第二に、ロシアに対して悪意はないというアメリカの主張は、常識に対する卑劣な侮辱だ。ロシアは、ヨーロッパにとっての攻撃的脅威だと指摘する、オバマ大統領やペンタゴン幹部を含むアメリカ政府幹部の無数の発言とこれは矛盾する。「ロシアによる侵略を抑止する」という明確な謙虚で軍隊、戦車、戦闘機、戦艦や、ロシア国境での軍事演習を増加して、アメリカ政府は、ヨーロッパにおける軍事支出を4倍増している。
言い換えれば、アメリカ政府によれば、ロシアは、最大のグローバルな敵、実存的脅威と見なされているのだ。だから、今週の東ヨーロッパへの、アメリカ・イージス・ミサイル・システム配備は、アメリカ政府の対ロシア好戦的政策と完全に辻褄があっている。アメリカとNATO同盟諸国が、ロシアに対する攻撃行進をしていないなどと結論するのは、理不尽で、馬鹿げたほど甘い考えだ。
ロシアを世界的な安全保障の脅威として描くのは、もちろんばかげている。中国、イランと北朝鮮に対する同じようなアメリカの主張もそうだ。アメリカが決めたそうした「敵」は全て大いに誇張されている。
欧米マスコミが執拗に強調する、ロシアがクリミアを「併合」し、東ウクライナを「侵略した」という欧米の主張は事実によって容易に反論が可能であり、それで実際、事実を曲げて伝えられている、キエフにおけるアメリカ政府による内密の政権転覆に対し、より正確にバランスをとることが可能になる。
ところが、絶え間のないマスコミ・プロパガンダによって維持されている欧米による恐怖利用は、これらの怪しげな主張を、ロシアが、ハイブリッド戦争で、全ヨーロッパを脅かしているという、より大きな構図に融合するのに一定程度成功している。これは、確かに、途方もないロシアという怪物の恐ろしいお話で、これには人種差別主義的な底流と、スラブ族の野蛮人として悪魔化した、ナチス・イデオロギーの前例がある。
しかし、このロシア悪魔化は、他のグローバルな敵と同様、アメリカ軍産複合体にとって、不可欠な小道具であり、アメリカ経済が機能するのに必須なのだ。
年間6000億ドルのアメリカ政府軍事支出は、ロシア支出の約十倍だ。それなのに、現実をひっくり返して、ロシアが脅威ということにされるのだ!
ストックホルム国際平和研究所SIPRIによれば、アメリカ軍予算は、続く世界の9大軍事支出国、中国、サウジアラビア、ロシア、イギリス、フランス、ドイツ、インド、日本と韓国の予算を合計したものより大きいのだ。
政府が助成している途方もなく巨大な軍事予算がなければ、ペンタゴン、大企業、ウオール街と、議会権益が支配している、我々が知っているアメリカ経済は、まず間違いなく消滅する。
構造的に、アメリカ経済は戦争経済で硬直化しており、アメリカがこれを維持する唯一の方法は、冷戦という形であれ、武力に訴える紛争の形であれ戦時体制を継続することだ。アメリカが現代国家として存在している240年の歴史で、アメリカが戦争や、海外で紛争をしていた時期が、95パーセント以上を占めることを歴史学者は指摘している。
ソ連との旧冷戦中、アメリカ政府内で繰り返された主題は「ミサイル・ギャップ 」とされるもので、これはアメリカが軍事的優位性を失っているとして描き出すための主張だった。これが執拗な軍事支出と軍拡競争という結果をもたらし、ソ連崩壊を招いた一因でもある。
世界準備通貨としてのドル優位ゆえに、アメリカ政府が勝手に自らに認めた果てしない債務をためこむ(現在約20兆ドル)特権によって、アメリカは、べらぼうに巨大な軍事的浪費に対する債務の清算日から逃れることができている。
この無鉄砲な状況が、まん延し続けている。旧冷戦が公式に終わってから四分の一世紀、アメリカ軍支出は、持続不可能な勢いで同じ浪費を続けている。
アメリカ政府にとって、この大失敗を続行するために必要なのは、他の国々を狂ったような恐怖と憎しみに駆り立てることだ。近年、ロシアと中国との冷戦が復活さななければならなかったのはそれが理由だ。経済を支配しているアメリカ権力の権益には、すきの使い道がないので、剣を農具のすきに変えることはできない。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、何度も安全保障問題に関する世界的協力、特にアメリカとの協力を呼びかけている。モスクワは最近、新たな軍拡競争を始めたくはないと述べている。抑えがきかなくなった軍事支出によるソ連のひどい経験を考えれば、ロシアが慎重なのは無理もない。
ところが、それこそまさにアメリカが望んでおり、ひき起こす必要があるものなのだ。世界軍拡競争により、アメリカが自身の怪物のような軍を正当化できるようになるためだ。
SIPRIによれば、中国もロシアも、2015年、それぞれ約7.5パーセントと大幅に軍事予算を増加した。
国家資源や発展に重荷になりかねないゆがんだ圧力を気づかうロシアは、軍拡競争には参加したくないのかも知れない。
しかし、アメリカが、新ミサイル・システムをロシアの戸口に設置すれば、ロシアが軍事的関与を同様に高めるきっかけとして厄介なものになる。
そして、それこそが、アメリカ政府が狙っていることなのだ。アメリカ政府や同盟諸国にとって、ロシアが客観的な安全保障上の脅威というわけではない。アメリカ政府にとって本当の脅威は、アメリカの軍産複合体を無駄なものにしかねない平和な国際関係だ。
アメリカ大企業の資本主義権力の基盤そのものにとっては、世界平和は対極にあるというのが憂慮すべき現実だ。
残念ながら、全てアメリカ権力支配層の特権を維持するという目的で、世界は戦争や、絶滅のリスクにまでさらされている。しかも、この悪魔的な不当行為で苦しめられる人々の中には、アメリカの大企業支配層が、忌まわしい軍事で年間6000億ドル搾り取る中で、貧困と窮状を耐え忍ばさせられる、他ならぬ大多数のアメリカ国民まで含まれている。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/05/16/peace-not-russia-is-real-threat-us-power.html
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