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アメリカの共謀? ブラジル大統領排除投票後、主要野党議員がワシントンで会談
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2016年4月25日 マスコミに載らない海外記事
グレン・グリーンウォルド、アンドリュー・フィッシュマン、デービッド・ミランダ
The Intercept
2016年4月19日
日曜日、ブラジル下院は、ジルマ・ルセフ大統領弾劾投票をし、排除プロセスを上院に送った。極めて象徴的だったが、意図しない行動で、下院の弾劾投票で、342票のしきい値を越えさせたのは、ブラジル汚職事件核心の巨大建設会社から違法ファンドを受け取った可能性があることを示す文書で、本人もからんでいる、ブルーノ・アラウージョ議員だった。更に重要なのは、アラウージョは、中道右派政党PSDB所属で、同党の指名候補者が、国政選挙で、ルセフの穏健左派の労働者党PTに、四度続けて敗北し、最近の選挙敗北は、わずか18カ月前、5400万人のブラジル人が、ディルマを大統領として再選したことだ。
アラウージョに関する、この二つの事実が、世界五番目の大国の首都ブラジリアにおける、昨日の手続きの、未曾有の超現実的性格を強調している。民主的選挙で、PTを打ち破ろうと試み、失敗して、二十年間費やした政治家や政党が、今日のニューヨーク・タイムズ報道が明らかにしたとおり、最善でも、甚だしく、いかがわしい理由によるディルマ排除によって、2014年の投票を事実上覆して、意気揚々と行進したのだ。長らく、PTと、その反貧困計画を忌み嫌い、ディルマの辞任を望んできたエコノミスト誌でさえ、“有罪の証拠なしでは、弾劾は正当性を欠いており”“不人気な大統領を追い出す口実のように見える”と主張している。
汚職と戦うという名目で行われた日曜日の手続きは、秘密スイス銀行口座に、資源が不正ではない可能性が皆無の何百万ドルも蓄えていることが最近判明し、外国銀行口座を持っていないと、議会調査官に否定して、宣誓をしたのにウソをついた民主的世界で、もっともあからさまに腐敗した政治家の一人、下院議長エドゥアルド・クーニャ (上、中央)が議長をつとめた。594人の議員のうち、グローブ・アンド・メールが昨日報じた通り“318人が取り調べを受けているか、嫌疑をかけられているが”一方、連中の標的、ルセフ大統領“自身は、何の財政上の不正の疑惑も受けていない.”
汚職にまみれた議員連中が一人ずつマイクの前に進み出て、汚職にはゾットしたと明言して、クーニャに、弾劾“賛成”投票を申し出た。投票の前置きとして、連中は“キリスト教の基本”やら“ベネズエラや北朝鮮のような赤になってはいけない”やら“福音書の教えに沿った国”やら“エルサレムの平和”やらの、数々の目眩がするような怪奇な動機を述べた。ガーディアン紙のジョナサン・ワッツは、茶番の一部をこう描写している。
上院が告発について審問することに同意する可能性は極めて高く、そうなれば、ディルマの大統領としての地位が180日間、一時停止され、PMDB党の大企業寄り副大統領ミシェル・テメルが大統領になる。ニューヨーク・タイムズが報じている通り副大統領自身“違法なエタノール購入事件に関与していたかどで調査を受けている。”テメルは最近、経済チームを率いる主要候補者の一人は、ブラジル・ゴールドマン・サックス会長パウロ・レメであることを明らかにした。
もし審理後、上院の三分の二が、有罪投票をすれば、ディルマは永久的に排除される。ディルマ弾劾の中核的な狙いの一つは、大衆に汚職に対する取り組みはなされたカタルシス感を与えることで、主要政党に生息する、実に何十人にものぼる本当に腐敗した政治家への更なる捜査を防ぐため、テメルの新たな支配力を利用するように仕組まれたと疑う人々は多い。
西半球で二番目に大きな国でのこの騒動に関し、アメリカは著しく沈黙しており、その姿勢に、主要マスコミは、ほとんどふれない。その理由を知るのはむずかしいことではない。長年、アメリカは、選挙で選ばれたブラジルの左翼政権を排除した、1964年の軍事クーデターにおける、いかなる役割も激しく否定してきた。クーデターは、20年間の残虐な、親アメリカ、右翼軍事独裁政権をもたらしたのだ。しかし、アメリカが、クーデターの画策を積極的に支援したことを証明する秘密文書と記録が現れ、ブラジルの2014年真実委員会報告が、アメリカとイギリスは、独裁政権を積極的に支援し、“ブラジル人尋問官に拷問テクニックまで訓練した”ことを実証した。
弾劾支持派ブラジル右翼政治家ジャイル・ボルソナロは大統領選挙出馬が予想されている。
写真: Fernando Bizerra/EPA/Newscom
アメリカが支持したクーデターと、軍事独裁政権は、現在の紛争に大きなかげをさしている。ルセフ大統領と彼女の支持者たちは、彼女を排除しようとする企みを、はっきり、クーデターと呼んでいる。大統領に出馬すると予想されている重要な弾劾支持派議員の一人、右翼のジャイル・ボルソナロ(The Interceptは、彼を昨年分析した)、昨日、はっきり軍事独裁政権を称賛し、独裁政権の首席拷問者(特に、ディルマ拷問の責任を負っている)カルロス・アルベルト・ブリリャンテ・ウストラ大佐を明確に讃えた。ボルソナロの息子、エドゥアルドも下院議員だが、彼はクーデターを遂行し、軍事支配を押しつけた連中“64年の軍人たち″のために、弾劾賛成票を投じると述べた。
昨日の弾劾支持者連中による、果てしのない神と家族への祈りは、1964年クーデターの標語 “神とともにある家族の自由のための行進”を思わせた。ブラジルの主要オリガルヒが所有するマスコミが、左翼の腐敗に対する必要な反撃として、1964年クーデターを支持したのと同様、連中は、現在のPTに対する弾劾運動を、同じ根拠で、支持し、あおるのに団結しているのだ。
ディルマのアメリカとの関係は、長年緊張しており、ブラジル産業や、国民や、大統領自身を標的にしたNSAのスパイ活動に対する声高な非難や、ブラジルと中国の密接な貿易関係によって、大幅に悪化した。彼女の前任者、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァも、何よりも、核プログラムを巡って、ワシントンがテヘランに対する世界中の圧力を集めようとしていた際、イランと独自の協定交渉でトルコと提携したかどで多くのアメリカ高官からよそよそしくされた。ワシントンのインサイダー連中は、彼らがもはや、ブラジルを 資本にとって安全な国と見なしていないことを益々明らかにしている。
アメリカは、もちろん、長らく - そして最近も - 気にいらない、民主的に選ばれた左翼中南米政権に対して、不安定化とクーデターを画策してきた実績がある。一例をあげるとすれば、ブラジルでの1964年クーデター以後、アメリカは、2002年のベネズエラ大統領ウゴ・チャベス打倒未遂を少なくとも支援し、2004年のジャン=ベルトラン・アリスティド・ハイチ大統領打倒で中心的な役割を演じ、当時の国務長官ヒラリー・クリントンは、2009年のホンジュラス・クーデターを正当化するの極めて重要な支援を与えた。ブラジル左翼の多くは、中国との貿易に大きく依存している左翼政党を追い払い、代わりに、自立では決して選挙に勝てない大企業寄の親アメリカ政権を迎え入れるため、現在のブラジルでの不安定を、アメリカが積極的に画策していると考えている。
この説を証明する本当の証拠は出現していないが、今週の主要ブラジル野党指導者による、ほとんど報道されないアメリカ訪問が、そうした懸念を煽るのは確実だ。弾劾投票の翌日 - PSDBのアロイシオ・ヌネス議員が、ワシントン入りし、三日後、様々なアメリカ高官や、ロビイストや、クリントンや他の大物政治家に近い様々な口きき屋と会談を行う。
ヌネス議員は、委員長や、テネシー州選出共和党議員のボブ・コーカーや、メリーランド州選出の民主党議員ベン・カーディンという上院外交委員会幹部や、国務次官で、元ブラジル大使トーマス・シャノンと会談し、火曜日、クリントンの元国務長官マデレーヌ・オルブライトが率いるワシントンのロビー企業オルブライト・ストーンブリッジ・グループと、43代大統領伜ブッシュの元商務長官で、ケロッグ社CEOのカルロス・グティエレスが主催する昼食会に出席する。
ワシントンのブラジル大使館と、ヌネス上院議員の事務所は、The Interceptに、火曜日の昼食会に関する追加情報はないと述べた。電子メールで、オルブライト・ストーンブリッジ・グループは、この“ワシントンの政策・実業界”向けの催しに“マスコミ関係者”はおらず、出席者リストや、話題は公表しないと書いてきた。u
アロイシオ・ヌネス上院議員(左) 下院議長エドゥアルド・クーニャ(右)と、ホセ・セラ上院議員。
写真: Marcos Alves/Agencia O Globo/AP
こうした高官との会談のため、野党議員ヌネスをアメリカに派遣するのは、極めて重要で、示唆に富んでいる。2014年、彼はPSDBの候補者として副大統領に立候補し、ディルマに破れた。彼は今や上院で、ディルマ弾劾の戦いを率いる主要な野党大物の一人だ。
ブラジル上院外交関係委員会委員長として、ヌネスは、ブラジルは再度、アメリカやイギリスとのより緊密な提携に動くと繰り返し唱道してきた。そして、ヌネスが汚職疑惑に大きく関与してきたのは、ほとんど常識だ。9月、情報提供者の建設会社幹部が、捜査員に、ヌネス上院議員に選挙運動用に - 合計500,000レアル(140,000米ドル)、公明正大に300,000レアル、ペトロブラスとの契約を得るため、違法賄賂として、更に200,000レアル渡したと語った後、裁判官は犯罪捜査を命じた。これは彼に対する告発として、決して初めてのものではない。
ヌネスのワシントン訪問は、既にまるでブラジルを支配しているかのように活動しているテメル自身に命じられたものだと報じられている。弾劾を、労せずして権力を得るため、テメル自身が率いる野党の無法で反民主的な企みとして描く、国際的言説における、益々極めて好ましからぬ過激だと感じている変化に、テメルは激怒している。
大統領気取りの人物テメルが、ブラジル各機関の士気を阻喪させる”と語っている、世界中で増大するこの反弾劾感情と戦うため“広報上の反撃”を開始すべく、ヌネスに、ワシントンに行きを命じたと、フォーリャは報じている。“ブラジル反政府派がたくらむディルマ排除についての認識の増大に関する懸念を実証して、ワシントンで、“我々は我々はバナナ共和国ではないことを説明するつもりだ”とヌネスは述べた。テメルの代理人は、この認識が“世界的な舞台におけるブラジルのイメージを汚している”と述べた。
The Interceptとのインタビューで“これは広報用出張です”と、リオデジャネイロ国立大学政治学教授マウリシオ・サントロは述べた。“アロイシオが直面している、もっとも重要な問題は、アメリカ政府ではなく、アメリカ国民の世論です。そこで、野党は戦いに負けつつあるのです。”
国際世論が、ブラジル野党による弾劾運動反対に変わったことに疑問の余地はない。わずか一カ月前、反政府街頭デモ抗議行動を褒めちぎって描いていた欧米マスコミは、弾劾の法的根拠が、ひいき目にみても、うさんくさく、弾劾指導者連中の方が、ディルマよりも遥かに汚職に関与しているという事実を、今や決まったように強調している。
米州機構は“弾劾を推進している連中の中には、議員汚職のかどで、告訴されていて、有罪の議員がいる”ので、“いかなることでも告訴されていないディルマに対する手続きを巡るを懸念していると述べた、アメリカが支持する米州機構の事務局長ルイス・アルマグロによる弾劾非難を、テメルは、特に懸念しており、激怒していると報じられている。南米諸国連合のトップ、エルネスト・サンペルも同様、弾劾は“ブラジルと地域の安全保障のために懸念すべき深刻な理由だ”と述べた。
下院がディルマ弾劾に賛成投票をした翌日の、汚職に関係したこの主要野党人物によるワシントン訪問は、少なくとも、大統領排除に対するアメリカの姿勢に関する疑問をひき起こす。これはほぼ確実に、ブラジルの不安定化におけるアメリカの役割に関するブラジル左翼の懸念をあおるだろう。そして、これは、ブラジルを、アメリカにより近づけ、ブラジル有権者が、四回連続の国政選挙で支持した政治課題を犠牲にして、グローバルな事業権益や緊縮政策に、より寛容にさせるという願望を含め、弾劾を突き動かしている多くの議論されていない原動力を浮き彫りにしている。
更新情報: この記事公開前に、ヌネス上院議員事務所は、The Interceptに、彼の訪米出張に関し、4月15日の新聞発表に書いた以上の追加情報はないと知らせて来た。公表後、ヌネス下院議員事務所は、アメリカに、報道とは逆に、ミシェル・テメル副大統領の電話は、彼のワシントン出張の理由ではないと主張する4月17日のフォーリャ編集者宛の手紙を指摘した。
一番上の写真: 2016年4月17日、ブラジル、ブラジリアで、ジルマ・ルセフ大統領の弾劾投票時、中央に座るエドゥアルド・クーニャ下院議長のテーブルの背後で、ポルトガル語で“出てゆけクーニャ!”とあるバナーを掲げる政府支持派議員。
(原文には著者連絡先がある。)
記事原文のurl:
https://theintercept.com/2016/04/18/after-vote-to-remove-brazils-president-key-opposition-figure-holds-meetings-in-washington/
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