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韓国どこへ 総選挙 与党大敗
(上)「ポスト朴」レース号砲 新党トップ、有力候補に
韓国総選挙は与党セヌリ党が大敗し、16年ぶりに少数与党体制になると決まった。任期を1年10カ月残す朴槿恵(パク・クネ)大統領の求心力の低下が避けられない。韓国はどこに向かうのか――。
「政治を変え、政権を変え、国民の暮らしを変える政治で、国民に報いる」。投票日から一夜明けた14日、新党「国民の党」の選挙対策委員会で、安哲秀(アン・チョルス)共同代表は、8年続く保守政党からの政権交代を訴えた。
野党勢力にとって政権交代のチャンスとなるのが来年12月の大統領選だ。次期大統領の有力候補のうち、安氏は最も株を上げた。安氏は2012年大統領選でも待望論が強まったが出馬を見送った経緯がある。今回の総選挙では保革二大政党に2月に旗揚げした新党で挑み、倍近くまで議席を増やした。
安氏はソウル大医学部卒のIT起業家で党派色が薄いため、保守、革新双方と大統領選で共闘できる可能性がある。この日、同党は与党セヌリ党の「改革派」に合流を呼びかけた。
最大野党「共に民主党」の金富謙(キム・ブギョン)氏は、今回の総選挙で大統領候補に一気に浮上した。金氏は朴大統領の地元、大邱(テグ)の野党候補で唯一、小選挙区を制した。58歳とはいえ当選4回のベテラン。セヌリ党候補は前京畿道知事の大物だった。
今回の総選挙は次期大統領選の候補者をふるい分けする場にもなった。セヌリ党の選挙戦の「顔」だった金武星(キム・ムソン)代表は14日に引責辞任を表明した。
自らは選挙区で当選したものの、党が大敗を喫し、保守地盤の地元・釜山でも野党に議席を許したことが響きそう。総選挙後の党代表辞任は既定路線だったが、大統領選準備のためとみられたシナリオに狂いが生じた。
朴氏が後継者として目をかけているとされたソウル前市長の呉世勲(オ・セフン)氏はソウル中心部の激戦区で与野党対決に臨んだ。セヌリ党からの支持者離れの波をもろにかぶり、大統領候補者争いから後退した。
前回大統領選で朴氏と争った文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党前代表の評価は難しい。同党の牙城、全羅道地域を国民の党に崩される一方で、与党が強い釜山や慶尚南道で自らに近い議員を多く当選させたためだ。
次期大統領候補者選びの陰の主役は潘基文(バン・キムン)国連事務総長だ。望ましい次期大統領に関する世論調査で高い支持率を誇るが、官僚出身で党の基盤がないのが弱み。セヌリ党が擁立に向けた動きを本格化させる可能性がある。朴大統領に近い「親朴」派主導で担ぎだすのが難しくなったとの見方もでてきた。本人は出馬するとも、しないとも明言していない。様々な思惑を秘めながら「ポスト朴」レースの号砲が鳴った。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞4月15日朝刊P.7]
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(中)穏健保守層、野党に向かう 首都圏に異変、若者も動く
韓国総選挙で躍進した第三極の「国民の党」の共同選挙対策委員長、李相敦(イ・サンドン)氏は選挙結果に目を凝らした。2月に旗揚げしたばかりの同党が比例代表の票を大きく伸ばしたのは分裂した相手の野党票ではなく、「与党票」が流れてきたためだった。
公認候補選びをめぐる朴槿恵(パク・クネ)大統領支持派「親朴」と「非朴」の内紛や経済低迷に与党支持者も嫌気をさしていた。好機とみた革新系野党「共に民主党」は「選挙区は共に民主党に、比例代表は好きな政党に」と呼びかけた。
全人口の半数が首都圏(ソウル・仁川・京畿道)に集中する韓国で、野党の共倒れを防ぐ戦略だった。比例代表では、野党支持者の多くの票が国民の党に向かった。結果的に首都圏の122選挙区のうち、共に民主党が82議席を獲得しセヌリ党(35議席)に圧勝した。比較的生活水準が高い住民が多いソウル南部の江南(カンナム)区の選挙区で、保守政党が革新政党に敗れたのは24年ぶり。比例代表では国民の党がセヌリ党に次ぐ2位に入った。朴大統領やセヌリ党の固定支持層に上乗せされてきた穏健保守層が野党に向かった。
もう一方の主役は若者だ。今回の投票率(暫定値)は2012年の前回より3.8ポイント高い58.0%で、韓国メディアによると、20歳代と30歳代が4〜8ポイント程度上昇した。
韓国は実質経済成長率が年率2%台にとどまり、若年失業率は今年2月に12.5%と過去最悪を記録。与党勝利を伝えた事前の各種世論調査は対象が固定電話のため携帯電話しか持たない若者の意識をつかみきれなかったとの指摘が多く聞かれる。
地域間の強い対立感情のもと支持政党が極端に偏る伝統的な「地域主義」にも風穴が開いた。セヌリ党の地盤である慶尚道地域の選挙区で共に民主党から9人が当選。一方で革新系候補が圧倒的な票を集めてきた全羅南道と全羅北道で1人ずつセヌリ党候補が小選挙区を勝ち抜いたことが話題になっている。
韓国には国会の混乱を避けるため与野党対決法案の成立に在籍議員の6割以上を必要とする国会先進化法がある。来年12月に大統領選を控え、16年ぶりの少数与党体制下で朴大統領は一段と厳しい政権運営を迫られる。
国会の構成や日程の決定に参加できる院内交渉団体が20年ぶりに3党に増えた。雇用格差や長引く輸出不振などに直面する韓国で「統治より協治が民心だ」(朝鮮日報)などと話し合いで問題を解決を探る国会運営への転換を求める声が強い。
15日発表の韓国ギャラップ社の世論調査(11、12両日実施)によると朴大統領の支持率は39%。前週より4ポイント下落しつつもなお4割前後を維持している。保革二大政党が激しく対決してきた韓国で「協治」の文化が生まれるだろうか。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞4月16日朝刊P.7]
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(下)朴外交に高まる「内圧」 慰安婦合意に逆風も
「朴槿恵(大統領)逆賊一味に下された民心の厳しい審判だ」。16日、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版)は、13日の韓国総選挙で保守系の与党セヌリ党が過半数を獲得できず大惨敗を喫したと伝えた。国際社会の先頭に立って圧力をかけ続ける朴槿恵(パク・クネ)大統領を北朝鮮は連日のように名指しで批判してきた。
金大中、盧武鉉両元大統領の流れをくむ革新系野党「共に民主党」が国会で第1党になったことも紹介した。同党は朴政権が中断を決めた開城(ケソン)工業団地の再稼働を公約に載せた。金大中政権時代の南北首脳会談で設置が決まり、盧武鉉政権下で生産を始めた南北協力事業の象徴だ。
12、13両日、軍事境界線を挟んだ平壌では、朝鮮人民軍の党代表会が、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を5月初めに開く労働党大会の代表に推戴すると決めた。黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長は「金第1書記が祖国を世界的な軍事強国、核強国の前列に立たせた」と演説した。
「無謀な挑発を続ける北(朝鮮)の意図は『南南葛藤』を起こして韓国世論を分裂させること」。こう警戒してきた朴氏の懸念が現実味を増す。
総選挙の結果が「大統領の残り任期の内政・外政に悪影響を与える」と専門家の言葉を引用する形で指摘したのは中国国営新華社だ。一方で、中韓関係への影響については言及を避けた。
中国の最大の関心は、在韓米軍への地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備計画だ。レーダーで中国内のミサイル基地まで探知されるとみるためだ。韓国では配備反対派の市民団体が選挙戦のさなか配備先に名前があがる地域の候補者に公開質問状を送るなどの動きもでてきた。共に民主党の勝利で中国への配慮を求める声が高まる可能性もある。
13日夜、共に民主党候補が、陣営の顧問に就いた元従軍慰安婦の女性と当選を喜び合う写真が韓国のインターネットニュースに掲載された。昨年末の日韓合意に反対する元慰安婦の一人。朴氏の地元を野党で勝ち抜いた同候補は次期大統領選レースに名乗りをあげた。
ソウルの選挙区を制した候補者は、当選すれば慰安婦合意の無効または再協議決議案を国会で最初に通過させると宣言していた。党内には「国家間で協議した結果をやり直すのはよくない」とみる金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表のような声もある。
日韓合意を踏まえ、元慰安婦支援に日本が10億円を拠出する財団設立やソウルの日本大使館前に設置した慰安婦を象徴する少女像の撤去問題は総選挙後に持ち越されてきた。与党勝利で合意の履行に弾みをつける両政府内の思惑は外れ、野党が過半数を占める国会から韓国政府が厳しい追及を受ける展開もありうる。改善の兆しをみせる日韓関係は逆風下に立たされる。
(ソウル=峯岸博)
[日経新聞4月17日朝刊P.6]
- 総選挙で与党惨敗 「民意を謙虚に受け止める」=朴大統領:朴大統領の支持率が就任後最低 総選挙後31.5%に急落 あっしら 2016/4/19 01:47:42
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