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韓国、改革の停滞不可避
総選挙、16年ぶり少数与党に 対北朝鮮も不透明
【ソウル=加藤宏一】13日投開票の韓国総選挙で、保守政党の与党「セヌリ党」が、まさかの大敗を喫した。16年ぶりに与野党の勢力が逆転し、朴槿恵(パク・クネ)大統領の政権運営は難しくなる。
「傲慢で恥ずかしい姿を見せ、党の力を結集できなかった」。セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は14日、与党大敗の責任をとって辞任を表明した。
セヌリ党は公示当日まで、「親朴」派と、「非朴」派が選挙区の公認を巡り激しく対立した。韓国は経済成長率が2%台にとどまり、若年失業率が過去最悪を更新するなど苦境にあえぐ。そんなさなかの内紛劇。与党大敗を韓国メディアは「大統領と親朴の傲慢に対する国民的な審判だ」(朝鮮日報)と批判する。
受け皿になったのは、革新系の野党第1党の「共に民主党」と、中道勢力の「国民の党」だ。
共に民主党はソウルを含む首都圏で躍進。金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表は「政権交代の道にまい進する」と勝利宣言した。
国民の党は改選前の2倍近い38議席を獲得。第三極の位置づけを明確にした。安哲秀(アン・チョルス)共同代表は「国民の党は全国で支持を受ける政党の座を得た」と胸を張った。
野党の躍進は朴大統領の手足を縛りかねない。
外交面では北朝鮮への強硬路線や従軍慰安婦問題を巡る日韓合意の履行など、朴氏の「原則外交」に逆風が強まる可能性がある。朴氏は外交・安全保障で安易に妥協しない姿勢で支持率を高めてきたが、野党が朴氏の外交姿勢を批判し、国内の反対世論が強まれば、朴氏は身動きがとりにくくなり、求心力が低下する懸念がある。
対北朝鮮政策で焦点になりそうなのが、韓国政府が2月に全面中断に踏み切った南北協力事業の開城工業団地だ。入居している中小企業を守ろうと、共に民主党、国民の党は再稼働を公約に明記している。両党からの突き上げが強まると、北朝鮮への圧迫を優先した朴大統領に世論の批判が強まる可能性がある。
対米、対中外交に関わるのが、在韓米軍による地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題だ。中国が警戒するTHAAD配備には、共に民主党が否定的な立場だ。議論を進めにくくなる可能性がある。
日韓関係で懸念されるのが、従軍慰安婦問題への影響だ。この問題に関する日韓合意について、共に民主党は再協議する公約を掲げた。国民の党の安哲秀(アン・チョルス)共同代表も合意には批判的な立場だ。野党からの圧力が強まれば、合意履行に強い意志を示す朴氏の立場は苦しくなる。
内政では、労働改革など野党の反対が根強い一連の構造改革が滞るのは避けられない。与野党で対立する法案の単独採決に事実上5分の3以上の賛成を必要とする国会先進化法のため、ただでさえ難しかった与党の法案成立が、さらに難しくなりそうだ。
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日本政府、慰安婦合意や安保協力に影響懸念
与党「セヌリ党」の敗北を受け、日本政府はようやく改善へ動き出した韓国との関係に影響が出ることを懸念している。とりわけ強まっているのが、昨年12月に旧日本軍の従軍慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」した合意の履行にブレーキがかかるのではないかという見方だ。
朴槿恵(パク・クネ)大統領の求心力低下は避けられない情勢だ。今回の総選挙で勝利した革新系の最大野党「共に民主党」は、選挙公約に慰安婦合意の再協議を盛り込んでいる。
菅義偉官房長官は14日の記者会見で「合意を日韓両国が責任をもって実施することは両国の発展のためにも必要だ」と指摘。韓国外務省報道官も同日の会見で「韓国政府の基本立場に変化はない」と述べた。
だが、元慰安婦を支援するための財団設立や、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像の移転問題など個別の合意内容も具体的な進展はない。日本政府内では「韓国の総選挙が終われば動き出す」との期待があったが、修正を迫られそうだ。
北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射をきっかけに強まる安全保障分野の協力にも冷水を浴びせかねない。
3月31日の日米韓首脳会談では、安保分野の協力強化を急ぐ方針を確認したばかり。日本側は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の早期締結を働きかけているが、実現は遠のく可能性がある。
[日経新聞4月15日朝刊P.3]
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