>メルドニウムについて「同薬はドーピングと何ら関わりがない」と述べると、 >「結果には何の影響も与えないそうだとしたら、禁止薬物に指定される前に、もっと強く抗議すべきだったな ただし、体内からの排泄に時間がかかる場合、微量だと違反だとしない決定は妥当だろう http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160413/k10010477921000.html WADA 禁止薬物メルドニウム ごく少量は容認 4月13日 23時12分 WADA=世界アンチドーピング機構は13日、女子テニスのマリア・シャラポワ選手などが陽性反応を示した禁止薬物の「メルドニウム」について、ことし3月1日より前の検査で検出量が、ごく少量だった場合は容認するという見解を発表しました。 WADAが、ことし1月1日に新たに禁止薬物に指定した「メルドニウム」を巡っては、女子テニスのシャラポワ選手をはじめ、水泳やスピードスケートなど、ロシアのスポーツ界のトップ選手から陽性反応が出て、暫定的な出場資格停止処分が科されるなど、波紋が広がっています。 この「メルドニウム」について、WADAの現在の研究では、摂取したあとすべてを排出するまでに数か月かかるということで、検査でごく少量だった場合は、禁止される以前に摂取した可能性が否定できないということです。 このためWADAは13日、ことし3月1日より前の検査で、検出量が1マイクログラム未満の場合、容認するという見解を発表し、該当する選手は処分されないことになりました。
http://number.bunshun.jp/articles/-/825252 ロシアでは常飲、米国では販売禁止。 シャラポワの薬「メルドニウム」って? posted2016/03/11 10:40 会見では自分の責任を認め、復帰の意欲を語ったシャラポワ。ロシアの薬物問題はしばらく続きそうだ。 会見では自分の責任を認め、復帰の意欲を語ったシャラポワ。ロシアの薬物問題はしばらく続きそうだ。 text by 及川彩子 及川彩子 Ayako Oikawa PROFILE photograph by AFLO 見る テニス界で絶大な人気を誇るマリア・シャラポワ(ロシア)が1月の全豪オープンでのドーピング検査の検体から、禁止薬物『メルドニウム』の陽性反応が検出されたことを発表した。偶然にも同時期に、フィギュアスケートのアイスダンスのエカテリーナ・ボブロワ(ロシア)も同じ薬物での違反が発表されている。 陸上や自転車などと異なり、ドーピングとは比較的縁のない競技での相次ぐロシア人選手の違反、そしてテニスだけではなくスポーツ界全体でも人気のシャラポワの薬物使用とあり大激震が走った。 「今まで飲んできた常用薬がたまたま世界反ドーピング機関(以下WADA)の禁止薬物になったことに気づかなかっただけでは」 シャラポワの記者会見を見て、彼女の言葉を額面通りに受け取り、こう考えた人もいたかもしれない。しかし今回の件には、不可解、そして疑問符がつく部分がとても多い。 居住する米国では販売禁止の薬をなぜ10年も? 今回シャラポワが陽性反応を示したメルドニウムは、ラトビアの医師が開発した狭心症の薬で、ロシアを中心に東欧諸国で販売されている。昨年のロシア人の死因の第1位は心疾患という結果をみると、この薬がロシアで流布し、常用薬として摂取している人がいることは理解できる。 しかし20年以上も米国在住の彼女が、なぜ家族のかかりつけの医者に米国では販売が許可されていない薬を10年もの間、処方してもらっていたのだろう。糖尿病や不整脈の治療のためならば、米国にも認可されている薬はあるはずだ。 シャラポワやボブロワの違反を受けて、ロシア陸連で働いていた知人は「ロシアでは安価で簡単に手に入る薬。みんなビタミン剤のように飲んでいるものなのに、WADAが禁止リストに入れるなんて馬鹿げている」とツイッターで噛みついていたが、シャラポワも同じような認識だったのだろうか。 だが、特定の地域で飲まれている薬物やハーブなどで違反になった際に、「うちの庭で採れた薬草を飲んで何が悪いんですか。近所の人もみんな体調が良くなるって言ってます。自然の物で手作りですからドーピングじゃないです」と言ってももちろん通用しない。試合が国際基準のルールに則って行なわれるように、ドーピングにも明白なルールがある。今回の問題は、ロシア基準が世界のルールから大きくかけ離れていることを露呈してしまった。 【次ページ】 禁止リストの公開、そして5度にわたる連絡。 禁止リストの公開、そして5度にわたる連絡。 シャラポワは会見で、禁止薬物が掲載されているHPのリンクをメールで受け取ったが確認しなかったため、メルドニウムが1月から禁止薬物になったことを知らなかったと話している。 WADAが急に決定し、周知が徹底されていなかったのでは、選手はむしろ被害者なのではと思った方もいるかもしれない。しかし、確かに施行は1月1日だが、昨年9月には新たに禁止リストに入る薬物が指定され、WADAや国際テニス連盟(以下ITF)のホームページなどにもその旨が掲載されている。 またITFの広報に問い合わせたところ、ITFと女子テニス協会(WTA)は12月3日、7日、11日、22日、29日と5回にわたって、1月からのドーピング規則の変更について選手に連絡をしたと返答があった。 シャラポワはIMGアカデミーという巨大スポーツ組織に所属し、練習はもちろん、メディカル面でも手厚いサポートを受けている。そのような環境にありながら、チームのドクターやトレーナーが常用薬を把握できていないうえに、上記のような連絡を無視しているのは、残念ながら管理不足というしかないだろう。 ロシア選手の6分の1が心疾患とは考えづらい……。 今回の薬物「メルドニウム」が、シャラポワだけではなく、アイスダンス、スピードスケート、自転車などのロシア人選手や、エチオピアの陸上選手から検出されていることも興味深い。研究者たちの分析によると、この薬は持久性を高めたり、故障後のリハビリを助ける作用もあるという。 昨年のドーピングの検体分析によると、ロシア選手から集められた4316中724の検体、つまり、およそ6人に1人からメルドニウムが検出されている。ドーピング検査を受けるほどのエリート選手の6分の1が心疾患などの病気を抱えている、とは考えづらく、治療目的というよりもむしろ競技力の向上を目的に使用している選手が多いのでは、と考えるのが普通だろう。 【次ページ】 テニス連盟の処分はひとまず評価できる。今後は? テニス連盟の処分はひとまず評価できる。今後は?
今回の問題に関し、ITFが国際陸連のように隠蔽工作をせず、きちんと処分を下す姿勢を見せたことは評価できる。しかし今回の問題を3月2日にシャラポワに通達したにもかかわらず、組織としての公式発表を控え、シャラポワの会見後に声明を発表したことには疑問符をつけざるをえない。広告価値の高いシャラポワのイメージを守りたいという意識が働いたのだろうか。 シャラポワには12日以降、暫定の資格停止処分が下されるが、ITFは「処分の期間などについては未定」と話している。治療目的で、故意ではないことが証明されれば警告で3〜9カ月、そうでなければ1〜2年程度になるだろう。 昨今のロシアを中心にしたドーピング問題を受けて、世間の目は厳しくなっている。彼らが下す処分はイコールITFのドーピング問題に対する方針になるのだろうか。興味深く見守りたい。
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