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レアメタル余剰
(上) 中国、在庫解消メド立たず
過剰な違法採掘 追い打ち
家電などハイテク製品に欠かせないレアメタル(希少金属)。主産地の中国で供給過剰が長引き、国際価格は軒並み約10年ぶりの安値圏に沈む。中国の生産会社の在庫解消のメドがたたない。日本企業にも事業見直しの波が押し寄せている。
ネオジムなどはここ1年で5割下がった
「今年に入って中国の生産会社は率先して値下げを打診してくるようになった」。レアメタル商社、マテリアル・トレイディング・カンパニー(東京・港)の小滝秀明代表取締役はそう漏らす。弱気な中国企業の背景にあるのは過剰な在庫だ。
中国企業の抱える在庫はこれまで中央政府が備蓄して吸い上げてきた。レアメタルの一種であるレアアース(希土類)の場合、2012年から14年まで世界の生産量の1割にあたる年間1万トンを備蓄。15年も備蓄を試みたが、生産会社が売値をつり上げたため政府が拒否し、入札が成立しなかった。狙いが外れた生産会社は一斉に安値売りに転じている。
実質的な違法採掘も過剰な供給に追い打ちをかける。日本のある大手磁石合金メーカーの幹部は中国南部の生産会社を訪れた際、現地企業の幹部の言葉を聞いてがくぜんとした。中央政府が決めた採掘指定量の2倍近くを掘っているという。「我々は資源税を払っているから、違法採掘ではない」との言い分だ。もともと中国南部でとれるレアアースは採掘しやすい。環境対策もなおざりなため生産コストが低い。
資源税は環境保護を目的とした税金。地方政府の税収にもなるため、企業が過度な採掘をしても黙認するケースが多い。こうした中央政府の規制をかいくぐった採掘が減らない。高性能磁石に使うネオジムは1キロ51ドル前後、ジスプロシウムは同258ドル前後と、ここ1年で5割下がった。
相場下落で中国の輸出は増えた。15年のレアアース輸出量(化合物除く)は14年比5割増の約5600トン。値下がりで調達を増やす需要家が増えた。米国で石油精製触媒に使うランタン、日本でネオジムの輸入が増加した。
好調な輸出を受けて、中国政府は16年1〜6月の企業に割り当てる生産枠を前年と同じ5万2500トンに設定。15年1月に輸出枠を撤廃する際、生産枠を大幅に増やした経緯があるため、今回の据え置きは高水準な生産を追認したことになる。だが輸出だけでは余剰な供給を吸収しきれない。
他のレアメタルも構図は同じだ。鋼材に添加するモリブデンは、1ポンド5.55ドルと約13年ぶりの安値圏にある。難燃助剤に使うアンチモニーや液晶部材に使うインジウムはここ1年でそれぞれ4〜5割安くなった。15年秋に経営破綻した中国のレアメタル取引所に大量の在庫が保管されている。在庫放出の懸念が相場を押し下げている。
取引所は15年夏に資金難から取引を停止。今年2月には取引所のトップを含め16人が詐欺容疑で逮捕されるなど刑事事件に発展している。取引所にはインジウムが世界需要の3倍以上、はんだに使うビスマスは世界需要と同程度残っている。
レアメタル商社、アドバンストマテリアルジャパン(東京・千代田)の中村繁夫社長は「混乱が完全に収束するまで数年はかかる。その間、取引所の在庫が意識され、相場の重荷になる」と話す。中国事情に翻弄されるレアメタル相場。波乱の出口はまだ見えない。
[日経新聞4月5日朝刊P.20]
- レアメタル余剰(下) 日本勢 関心低下に不安も 世界供給 中国の寡占進む あっしら 2016/4/11 03:07:29
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