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トランプ氏が使い分ける“扇動者と誠実な友”2つの顔(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/241.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 04 日 15:12:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


トランプ氏が使い分ける“扇動者と誠実な友”2つの顔
http://diamond.jp/articles/-/88955
2016年4月4日 週刊ダイヤモンド編集部


『週刊ダイヤモンド』4月9日号の第1特集は「吹き荒れるトランプ旋風!踊る米大統領選」。過激な発言で人気を集めるドナルド・トランプ氏に引っかき回されている米国大統領選の現状を、徹底した現場取材で明らかにしていきます。


「会場の皆さん、トランプフォース・ワンが近くの空港に到着しました!」


 米国大統領専用機にちなんで、ドナルド・トランプ氏は自家用ジェット機をこう呼ぶ。さらに、空港からヘリコプターで移動。3月13日、フロリダ州の屋外の演説会場上空をヘリで低空旋回すると、会場には大統領専用機を舞台とした映画「エアフォース・ワン」のテーマ曲が流れ、聴衆は大きな歓声を上げた。


 映画、というよりは漫画じみた演出が笑いを誘うが、笑えない現実もある。


 本人が到着する前に演説した女性は、10歳の息子が不法移民に殺害された悲しみを切々と訴えた後、こう金切り声を上げた。「(当時、共和党の候補者争いをしていた)マルコ・ルビオ氏も同じ目に遭えば、彼の幸せな人生は失われることでしょう」──。聴衆はここでも、熱狂の雄たけびを上げた。


 トランプ氏を最有力候補に押し上げたのは、主に国民の経済的な不満、そして怒りだ。米国では、富を一部の富裕層が占有し、白人の低学歴男性は職に就きづらい苦境にある。


 その不満は、製造拠点を海外に移す大企業、貿易相手の中国やメキシコ、日本、そして、仕事を求めてメキシコや中南米から流れ込む不法移民に向けられる。イスラム過激派によるテロへの恐怖や怒りが、それに輪を掛ける。こうした感情を大胆に代弁するのが、まさにトランプ氏なのだ。


 前日の12日、所変わってオハイオ州クリーブランド。トランプ氏の演説会場では、「ISは爆弾で地獄に落ちろ」「ヒラリーは牢獄の中へ」など、物騒な言葉が書かれたバッジが売られていた。「各国との貿易、労働協定には、みんなもウンザリだろう?」「海外で製造された製品に35%の関税をかけてやる!」。トランプ氏の激しく下品な演説に、聴衆は大盛況。


 民主党のバーニー・サンダース候補の支持者が抗議のやじを飛ばすと、トランプ氏は「プロテスター(抗議者)をつまみ出せ!」と叫ぶ。トランプ支持者ともみ合いになり、警察官が仲裁に入った。


「ファンタスティックだった。今まで参加した政治イベントの中で、最高だね」。白人の大工ジョン・フィリップさん(46歳)は演説後、大いに留飲を下げていた。景気が落ち込み、仕事を十分に受注できないのだという。


「トランプは国内に仕事をつくり出す。不法移民を適切に防ぐ姿勢も支持するわ」と話すべルミア・ルーシックさん(37歳)は、セルビアからの合法的な移民だ。合法移民もまた、不法移民に対して「一緒にしないでくれ」といった反感を抱く。米国内の亀裂は、複雑で多岐にわたるのだ。


■デマゴーグか優秀なリーダーか トランプ氏の知られざる素顔に迫る


 トランプ氏には、大衆を扇動するポピュリストとは違った、別の顔もあるようだ。


「トランプ氏は、絶対に勝ち、最良の大統領になる」──。米紙「ワシントン・ポスト」の元調査報道担当記者で、ノンフィクション作家のロナルド・ケスラー氏(72歳)は、米大統領選挙の共和党指名候補に最も近い実業家、ドナルド・トランプ氏についてこう語る。


 トランプ氏とは26年来の友人だ。フロリダ州のリゾートに住む富裕層について書いた著書『パーム・ビーチ、フロリダ』のために、トランプ氏に取材を申し込み、同氏のリゾートクラブ「マール・ア・ラゴ」に会いに行ったのがきっかけだった。以来、年に2回は妻と2人でクラブを訪れ、1週間ほど滞在し、トランプ氏との親交を深めてきた。


 トランプ氏は現在、共和党の予備選挙でトップを走りながらも、ライバル候補者や、民主党候補のトップであるヒラリー・クリントン前国務長官を、挑発的な態度で批判する。しかし、ケスラー氏は、トランプ氏は、「誠実」で「物分かりがいい」人物だと言い、挑発的な態度は指名を獲得するためで、指名されれば、トランプ氏は本来の自分の姿を見せる、とみている。


「優れたリーダーでなければ、2万2000人もの従業員と100億ドル規模のビジネスを動かしていくことはできない」と、トランプ氏がクラブの従業員をどう扱うか見てきたケスラー氏は言う。トランプ氏は、自社の社員はもちろんのこと、ゴルフコースの造成に当たる建築関係者などに至るまで、人の話をよく聞く。


 ケスラー氏が知るトランプ氏は、睡眠時間は1日わずか3時間で、新聞をくまなく読み、数字の記憶力がいい。酒も飲まず、タバコも吸わないが、人に好かれる術を知っており、それが彼の事業の成功に結びついてきたという。


「デマゴーグ(扇動政治家)」と「優れたリーダー」。2つの顔を使い分けるトランプ氏がもし大統領になったとしたら、どちらの“顔”が出てくるのだろうか。


 世界の地政学リスク分析を専門とする米ユーラシア・グループを率いるイアン・ブレマー氏は、「トランプ大統領」誕生のリスクをこう語った。


「もしもトランプ大統領が誕生すれば、テールリスク(発生確率は低いが甚大な損失をもたらすリスク)は高まるでしょう。世界で深刻な対立の火種がある中で、中国との軍事的な衝突すらあるかもしれない。米国の世界への影響力や、これまで米国が築いてきた秩序が破壊されて、取り返しがつかなくなるかもしれません」


「トランプ政権の下では、米国は一方的に相手に責任をなすり付ける国になり、同盟は弱くなる。Gゼロ(リーダーシップなき世界)の状態がさらに進むことになるでしょう。日米同盟にとってもトランプは脅威となります。貿易協定で日本に責任を押し付ける一方、防衛面でのコミットメントはあいまいになる。日本にとっては最悪です」


■大統領選は「対岸の火事」ではない 総力取材による渾身の現地ルポ


『週刊ダイヤモンド』4月9日号の第1特集は「吹き荒れるトランプ旋風!踊る米大統領選」です。なぜ、海の向こうの国の大統領選挙を特集テーマにしたのか。理由は二つあります。


 一つ目の理由は、率直に、ドナルド・トランプという人物をもっと知りたい、と思ったこと。「田中角栄と橋下徹を足して2で割った感じ」とも評されるトランプ氏ですが、もし彼がただのデマゴーグであるなら、なぜここまで民衆の支持を得ているのか。もし、選挙で見せている顔が「仮の姿」であるとすれば、本当のトランプとはどんな人物なのか。


 もう一つの理由は、米国の大統領選で誰が勝つかということは、ひとごとなんかじゃない、と思ったことです。各候補は選挙戦で、口をそろえて環太平洋経済連携協定(TPP)に反対し、日本の円安誘導政策を批判しています。もしも新大統領がTPP調印を拒否し、ドル安円高政策を推し進めれば、日本の輸出企業には大打撃となるでしょう。


 これらのテーマを掘り下げるため、今回、編集部から4人の記者が米国に飛び、徹底した現地取材を進めました。トランプ氏、クリントン氏、サンダース氏、クルーズ氏らに密着し、現場取材ならではのさまざまなネタを拾い集めました。


 トランプ氏やサンダース氏の躍進とクリントン氏の苦戦の背景にある米国社会の病巣、トランプ氏の知られざる素顔とビジネス、知日派の米国専門家がみる大統領選後の日米関係、シェールバブル崩壊で近づく景気後退の足音など、総力取材による渾身の現地ルポをお届けします!


“Hello everyone!”


 英語がしゃべれず不安だらけで現地入りした記者が、こんな書き出しの報告メールを送ってきました。現地の熱狂が伝わってくるハイテンションな内容でした。この熱気が、少しでも読者のみなさまに伝わればと願っております!


(『週刊ダイヤモンド』副編集長 前田 剛)



 

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