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人工知能ががん治療薬を開発?注射するだけ、副作用が少ない夢の新薬が誕生間近(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/638.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 7 月 21 日 15:31:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             NECがAI創薬ビジネスに初参入(depositphotos.com)


人工知能ががん治療薬を開発?注射するだけ、副作用が少ない夢の新薬が誕生間近
http://biz-journal.jp/2017/07/post_18932.html
2017.07.20 佐藤博 Business Journal


 昨年来、人工知能(AI)による新薬開発をめざして官民学が連携する複数のAI創薬プロジェクトが起動し、市場制覇を虎視眈々と狙っている。

 そのフロントランナーの最右翼と目されるのが日本電気(NEC)だ。

 NECは2016年12月19日、AIを活用した創薬事業をスタートするために、がん治療用のペプチドワクチンを開発するベンチャー「サイトリミック」を設立したと発表した。同社は、医療業務支援、疾病予防、診断支援など、包括的なヘルスケアサービスを拡充しているが、創薬は初参入。テーマは、がんペプチドワクチンだ。

■がんペプチドワクチンの効果とは?

 がんペプチドワクチンは、がん細胞に特異的に存在するタンパク質の分子(ペプチド)を人工的に合成したワクチンのことである。がんペプチドワクチンを皮下注射すると、樹状細胞の自然免疫が異常を察知し、リンパ球やキラーT細胞などの免疫細胞が活性化し、がんへの免疫力が高まるため、がん細胞を攻撃・排除する。

 リンパ球やキラーT細胞などの免疫細胞は、病原体を特異的に認識・排除するだけでなく、その病原体を記憶し、その病原体に再び遭遇してもすぐに認識・排除できる。がんペプチドワクチンは、その免疫細胞の抗原抗体反応を利用したものだ。

 つまり、毒性を弱めたり、死滅させた病原体を接種し、リンパ球やキラーT細胞などにあらかじめ抗原の情報を記憶させ、抗原抗体反応という免疫応答を人為的につくり出し、抗原を排除する。皮下注射の投与後に免疫応答が起こるのを待ち、患者の免疫力でがんを駆逐する。それが、ペプチドワクチンの仕組みだ。

■侵襲性も副作用も少ないがデメリットもある

 がんペプチドワクチンの最大のメリットは、3大療法(薬物療法・外科的治療・放射線療法)よりも侵襲性が低く、副作用が少ない点だ。

 ただし、皮膚の発赤(赤くなる)や硬結(硬くなる)、皮膚潰瘍、アナフィラキシーショックのほか、免疫応答が強く起きれば、間質性肺炎などの肺機能障害を発症するリスクがある。

 また、免疫機能が低下している末期がん患者、重い栄養障害のある患者、ステロイド薬を長期常用する患者などは適さないとされる。治療薬としては未承認のため、明らかな安全性や有効性は確認されていない。外科的治療のように即効性は高くない。

■NECは以前からペプチドワクチンの可能性に着目

 がん免疫療法のうち、がん攻撃のブレーキを解除する免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボなど)は、一部のがんに対する優位性が臨床試験で確認され、臨床応用が起動。一方、攻撃のアクセルを踏むがんペプチドワクチンは、エビデンスがまだ確立されていない。

 エビデンスの構築にチャレンジするのが、サイトリミックだ。NECは以前からペプチドワクチンの可能性に着目し、大学との共同研究に取り組んできた。

 01年、NECは「The WISE(ザ・ワイズ)」というAI技術と生化学的な実験とを組み合わせて、新薬の候補物質を効率的に発見する免疫機能予測技術を開発。14年以来、山口大学の宇高恵子教授と高知大学の岡正朗学長らと連携し、ペプチドワクチンに関する共同研究を推進。肝臓がん、食道がん、乳がんに発現している2種類のがん抗原を対象に、免疫機能予測技術を駆使し、約5000億通りの候補があるアミノ酸配列の中から免疫力を活性化するペプチドを探索した。

 その結果、日本人の約85%をカバーする複数のHLA(白血球)型に適合し、免疫力を活性化する10種類のペプチドを発見。15年4月、ペプチドワクチンの効果を増強する新規の免疫賦活剤(アジュバント)を発見。さらに2016年1月以降、山口大学はNECが発見したペプチドとアジュバントを組み合わせた、がん免疫療法の臨床研究に取り組んできた。

■がんペプチドワクチンの実用化は2025年

 サイトリミックは製薬企業と連携しながら、NECの免疫機能予測技術で発見したペプチドとアジュバントから生成されるがんペプチドワクチンの実用化をめざしている。2年後に薬剤の安全性や有効性を評価する非臨床開発をスタート。その後3年をかけて第I〜II相臨床試験を実施する計画だ。

 サイトリミックの土肥俊社長によると、がんペプチドワクチンは、皮下注射するだけで副作用も少なく患者への負担も小さいので、QOL(生活の質)向上に貢献できると話す。抗がん剤の副作用で苦しむがん患者の家族からも、激励の声が寄せられているという。

 有効性、安全性、経済性を満たす第4の治療法、がんペプチドワクチンの誕生は近い。その目標は25年。AI新薬承認への道は平坦ではないが、AIとNECのコラボレーションのポテンシャリティに大いに期待したい。

(文=佐藤博)

 

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