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医師不足は、政府や役所任せでは解決しません(※写真はイメージ)
病院難民が首都圏で続出! 中東並みの医師数で日本の医療は崩壊〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170511-00000039-sasahi-soci
dot. 5/20(土) 11:30配信
首都圏の医療システムは急速に崩壊しつつある。近年、相次ぐ病院閉鎖から、その様子をうかがい知ることができる。人口あたりの医師数は中南米以下、優秀な医師は地方に流出し、大学病院や私立病院は倒産、首都圏に病院難民が続出する――。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、迫りくる首都圏の医療崩壊を警告している。
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医師不足による入院診療の閉鎖は、首都圏ではありふれた話になりつつあります。
2009年7月末には千葉県松戸市の新八柱台病院と五香病院、二つの民間病院が休止しました。二つの病院を併せて入院は124床。閉院時、両病院で合計約90人の患者が入院しており、松戸市立病院など近隣の病院に転院しました。
11年末には、埼玉県の志木市立市民病院が「小児・小児外科入院診療の看板を下ろし、高齢者向けの訪問看護や在宅診療の充実などに比重を移そうと考えている」と発表し、小児科診療を止める方針を明らかにしました。小児科の常勤医は59〜64歳の3人だけですから、継続のしようがありません。
志木市立市民病院は、地域の中核医療機関でした。突然の話に市民は猛反対し、志木市は12年1月に有識者による志木市立市民病院改革委員会を設置しました。委員会では、短期施策として「大学病院の重点関連病院としての指定を要請する」ことが提言されました。志木市は日大医学部に医師派遣を要請しましたが、「若い医師が卒業後、研修の場とするには機能が十分ではない」(日大広報課)と断られてしまいます。結局、14年3月末で志木市立市民病院は閉院。民間の「TMG宗岡中央病院」として再出発しました。
志木市によれば、収益源だった整形外科医の退職などにより経営が悪化し、10年度以降の4年間で総額約20億円の公費を投入し、病院の赤字を埋めてきたそうです。歳入約230億円の志木市にとり、大きな負担であったことは間違いありません。
災害による影響で、医師不足に追い込まれた病院もあります。北茨城市立総合病院(現北茨城市民病院)では、福島第一原発事故の影響を受け、大勢の医師が退職しました。
北茨城市立総合病院は199床の地域の拠点病院です。震災前は14診療科があり、16人の常勤医がいましたが、11年9月17日付けの東京新聞夕刊によると、3月31日付けで常勤医2人、4月30日付けで2人が退職したそうです。5月に着任予定だった医師も内定を辞退し、常勤医は11人に減りました。16年末時点で、常勤医は15人に回復しましたが、28人いた04年には遠く及びません。
このような病院崩壊の例は氷山の一角に過ぎません。首都圏は、山手線の内部など一部を除き、どこも似たような状況です。このままでは、東京のベッドタウンに広大な「無医村地区」ができてしまいます。
なぜ、医師が不足しているのでしょうか。それは、戦後、首都圏の人口が急増したのに対し、十分な医師が確保できていないためです。医師不足を議論する際には、人口あたりの医師数で考えるべきです。一人あたりの医師が診ることができる患者数には限界があるからです。
首都圏は医師の絶対数は多いものの、住民も多く、住民の人口あたりに直すと、決して多くありません。人口10万人あたりの医師数は首都圏230人に対し、四国は278人、九州北部は287人。実に2割以上の差があります。
東京都以外の首都圏の医師不足は、極めて深刻です。人口10万人あたりの医師数は東京都323人に対し、埼玉県159人、千葉県189人、神奈川県209人。これは、南米や中東並みの数字です。
医師など医療資源が足りない地域では、十分な医療を受けられないために新生児死亡率が上がり、寿命も短くなる傾向があります。たとえば、15年度のトルコの新生児死亡率は1000人あたり7.1人、平均寿命は男性72.6歳、女性78.9歳です(日本の新生児死亡率は1000人あたり0.9人、平均寿命は男性80.5歳、女性86.8歳)。
がんの手術のように、ある程度の時間をかけて準備できる医療は別として、外科や産科、小児科などの救急医療は近所に病院がなければ対応できません。埼玉県や千葉県の住民が、このような病気を発症すれば、なかなか引き受けてくれる病院が見つからないのです。
ところが、埼玉県や千葉県に在住の方の多くは、地元で医師が不足しているという問題自体を認識していません。地元のメディアの影響力が弱いのも一因です。この地域の住民の多くは全国ネットのテレビをみて、朝日新聞や読売新聞など全国紙を購読しています。各県で地域のニュースも紹介されますが、その絶対量は少なく、地元で起こっていることを十分に伝えることはできていません。
このため、住民は地元の問題を驚くほど認識していないのです。
私が勤務した大宮赤十字病院のスタッフの中にさえ、「何かあれば、東京の病院に行くから大丈夫よ」という人がいたくらいです。
医師不足は、政府や役所任せでは解決しません。メディアも含め、地域の総力を挙げて取り組むべき問題です。その際、メディアは重要な役割を果たすと考えています。
※『病院は東京から破綻する』から抜粋
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