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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
抗うつ薬より向く人も うつ病は漢方薬で治すという選択肢
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/200939
2017年3月8日 日刊ゲンダイ
うつ病をはじめとする精神疾患で医療機関を受診する患者数は、がんや糖尿病をはるかに上回る。ストレスと関連する精神疾患の場合、漢方薬の効果が見られることが、研究でも明らかになってきた。
過度なストレスでうつ状態になると、心だけでなく体にも不調が強く出てくることがある。
しかし、病院を受診しても胃薬などの内科薬が処方され、効果が得られないままドクターショッピングを繰り返している人もいる。
「漢方薬は気分と体の両面に作用します。抗うつ薬や抗不安薬で改善されなかった体の症状が、漢方薬で良くなることがあります」
こう話すのは、筑波大学大学院人間総合科学研究科で、ストレスマネジメント領域を担当する水上勝義教授(日本精神神経学会専門医)。
病名に対して薬が処方される西洋薬に対し、漢方薬は症状で選ぶ。たとえば、うつ状態でも症状が変われば薬は替わる。さらに、症状への作用機序が西洋薬とは違う。
不安や焦燥感に効果的な「柴胡加竜骨牡蛎湯」は、慢性的なストレスで副腎から過剰に分泌されるストレスホルモンを低下させ、受容体の働きを回復することで、心身のストレス反応を抑制する。
■抗うつ薬などで消えなかった身体症状がピタリ改善
一方、抗うつ薬や抗不安薬は、ストレスで分泌が抑制された神経伝達物質のドーパミンやセロトニンに働きかけ、うつや不安などの症状が出ないようにする。
人がストレスに適応するには、「視床下部―下垂体―副腎系」の働きが重要になるが、慢性ストレス下では、この働きが低下している。
柴胡加竜骨牡蛎湯と抗うつ薬・抗不安薬の効果を比較した動物実験では、柴胡加竜骨牡蛎湯の投与でこの一連の働きが改善することが明らかになった。
「漢方薬は、ストレスで生じる脳と体両方の反応を改善するので、体の症状にも改善が得られやすいと考えられます」
抗うつ薬の中には認知機能や運動機能に影響を与えるものもあるが、漢方薬にはそのような影響は見られず、むしろ認知機能に良い効果が報告されているものもある。
さらに、免疫機能を活性化させたり、消化管の働きが向上して、栄養状態を改善させる作用が漢方薬にあり、これも身体的症状の改善に大いに役立つ。
漢方薬は胃を保護する作用のものも多い。精神的な疾患には頭痛を伴う場合も珍しくないが、鎮痛薬(西洋薬)は胃を荒らすことがあり、胃弱の人は使いづらい。その点、慢性頭痛や片頭痛に使われる漢方薬、呉茱萸湯は、胃弱の人にも用いることができる。
不眠においても、注目すべき効果が研究で明らかになっている。
「酸棗仁湯という漢方薬の研究では、服用前に必要だった睡眠薬が半分以下に減り、睡眠の質も大きく改善したということが報告されています」
抑肝散という、イライラして眠れないときに用いられる漢方薬では、ストレスが強い時は効果を発揮するが、ストレスが弱い時は睡眠効果が弱いという、興味深い研究結果も出ている。
ただし、いずれも適切に漢方薬が処方された場合の効果だということを忘れてはいけない。また、漢方薬も薬なので副作用が見られることもある。さらに、うつ病と診断される場合には漢方薬だけでは不十分だ。
ストレスでさまざまな症状に苦しんでいるなら、早めに漢方を扱っている医師に一度相談してはどうか?
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