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DeNAの記者会見の様子 (c)朝日新聞社
インチキ医療サイトが氾濫 信頼できるのは1割、医療機関もアウト!?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170301-00000028-sasahi-soci
週刊朝日 2017年3月10日号より抜粋
DeNAのまとめサイトの問題で発覚した、ネットにあふれる根拠のない医療・健康情報。なぜ、そうした情報が出回るのか。そして、信頼できるものがどれくらいあるのだろうか。
「おや?」
昨年8月、インターネットで婦人科の病気について調べていた編集者のAさん(40代)は、検索結果の上位にきていた医療系サイトの解説に目を留めた。そこには“女性ホルモンの影響でできる良性の腫瘍”と書かれていたが、ほかでは同じ病気が「悪性腫瘍」と紹介されていたのだ。
疑問に思ったAさんが、サイトの運営会社に問い合わせたところ、「提携の医師に確認する」。だが、それ以降はなしのつぶて。数日後、サイトの文章は「悪性の腫瘍」と直されていた。
「私の場合は仕事で調べていたわけですが、もし、病気を疑った患者さんが最初にこのサイトの記事を読めば、良性なんだと安心してしまったかもしれない。治療が遅れたら取り返しがつかないと思います」
ネット上にあふれる医療・健康に関する情報。なかには根拠がないもの、誤解を招くような表現やずさんな内容のものも少なくない。以前から専門家などが指摘していた問題が公になったのは、昨年のことだ。
IT大手のDeNA(ディー・エヌ・エー)が運営していた医療・健康系のまとめサイト(外部の記事を集めて紹介するサイト)「WELQ(ウェルク)」などで誤った内容の記載や記事の盗用があった。外部の指摘を受けて発覚し、11月29日に同サイトは非公開に。12月7日に代表取締役社長兼CEOの守安功氏らが会見を開き、謝罪した。現在は第三者委員会による調査中だ。
一連の報道によると、サイトには「肩こりは幽霊が原因」というトンデモ記事があったという。記者が見た記事は、抗がん剤の「トラスツズマブ」に関するもので、「副作用を知っておこう♪」と音符付きの見出しが躍り、患者への配慮が見られないものだった。
「問題なのは、そうした記事が検索結果の上位にきてしまうことです」
と指摘するのは、信頼できる医療・健康情報の見方を一般の人に紹介するサイト「健康を決める力」を運営する中山和弘さん(聖路加国際大学大学院教授)だ。
ネットで調べものをするときは、たいてい、グーグルやヤフーなどの検索サイトにキーワードを入れて探すわけだが、その結果、上位にくるのは、情報の質がよかったり、情報量が多かったりするものとは限らない。なぜなら、検索サイトが独自に決めたアルゴリズムという“計算式”に合致するかで掲載順位が決まるためだ。中山さんは言う。
「アルゴリズムの中身は企業秘密で、定期的に変わります。検索サイトの上位に付けたいサイトの運営側は、費用を投じて“SEO(検索エンジン最適化)対策”を施します。ただ、SEO対策を行っているのは広告収入が必要なIT企業で、公的な機関では業者に委託していない限り、ほとんどやっていないのではないでしょうか。その結果、信頼できるサイト、優良サイトが上位にこないのです」
ウェルクはこのアルゴリズムを攻略し、検索の上位にくることができた。それが結果的に、問題の発覚につながった。医療系サイトの運営に携わったことのあるBさんは、「ウェルクの問題がここまで大きくなるとは思っていなかった」と打ち明ける。
「SEOはある意味、広告と同じようなもので、見てもらうための大切な手段の一つ。医療・健康系サイトに限らず、ウェブサイトをやっている人であれば、アルゴリズムで順位が上がったり下がったりすることに、一喜一憂します」
1ページ目の上位にあったサイトが、アルゴリズムの変更で1ページ目に表示されなくなるということは、よくある話だという。
では、検索で上位にきたサイトのうち、信頼できるものがどれくらいあるのか。それを検証したのが、日本医科大学の医学生だ。大手検索サイトで、「がん治療」「がん 治る」というキーワードを入力。上位にきたサイトの内容を一つずつチェックした。
検証では、「【1】情報源が記載されている」と「【2】特定の医療機関、またはサプリメントなどの広告ページにリンク・誘導している」という二つの指標を用い、信頼できる「レベルA(【1】を満たし、【2】ではないサイト)」、信頼度が最も低く、危険・有害な「レベルC(【1】を満たさず、【2】であることが明確なサイト)」、AでもCでもない「レベルB」の三つに分類した。
その結果、検索で上位にきた約250のサイトのうち、レベルAだったのはたったの12%。レベルBは56%、レベルCは32%だった。この研究をサポートした同大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんは言う。
「信頼できるサイトが1割しかないというのは問題。一見、優良サイトのように見えて、ページを読み進めるとサプリメントなどを販売するサイトに誘導するリンクが張られていたりするものもありました」
調査では、医療機関のなかにも、「問題のある内容を載せているケースがあった」と、勝俣さんは警鐘を鳴らす。代表的なのは、「がん」というキーワード検索で上位に出てくる自費診療を行うクリニックなどだ。診療のガイドラインから逸脱していたり、エビデンス(科学的な根拠)に基づかなかったりする治療にもかかわらず、患者数や症例を載せ、あたかもその治療が最良のように紹介されているという。
「しかもこうしたサイトは、一般的な医療機関のものとは比較できないほど立派なつくりになっている。がん患者さんやご家族は立場が弱く、藁をもつかむ思いでネットの情報を探す。そういうサイトを作る医療機関に希望を見いだし、頼ってしまうのです」(勝俣さん)
同科にはサイトに載っていた治療法についてのセカンドオピニオンで患者や家族が毎日のように受診する。実際、治療のタイミングが遅れた例もあるそうだ。
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