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知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴
【第132回】 2017年2月10日 早川幸子 [フリーライター]
「病院」と「診療所」の違いとは?医療費に差も!
家の近所にある何でも相談できる診療所、子どもの病気を専門に見てくれる小児科のクリニック、内科や外科など複数の診療科を備えた病院。地域にはさまざまな形態の医療機関がある。
フリーアクセス制をとっている日本では、健康保険証1枚あれば、規模の大小にかかわらず原則的にどこでも好きな医療機関を受診できる。そのせいか、ふだん私たちはあまり意識することなく、医療機関のことをまとめて「病院」と呼びがちだ。
だが、法律では「病院」と「診療所」を区別しており、同じような治療でも、どこで受けたかによって医療費に差が出ることもある。「病院」と「診療所」は、どのような基準で分けられているのだろうか。
入院用のベッド数が
20床以上あると病院
医療の安全を確保し、効果がよく分からない民間療法などから国民を守るために、医療法では病気やケガの治療を行える施設は、原則的に科学的根拠に基いた治療を行う「病院」と「診療所」に限定している。
とくに「病院」に対しては、高度な医療を行えるように、医師をはじめとしたスタッフの人数、備えるべき設備などについての基準を設けているが、「診療所」との明確な線引きになっているのが入院用のベッドの数だ。
医療法第一条の五では、ベッド数20床以上だと「病院」で、19床以下またはベッドがない施設を「診療所」と定めている。ただし、同じ「病院」のカテゴリーの中でも、ベッド数に応じて医療費が異なる仕組みになっている。
とくに、最近、患者の自己負担に大きな差をもたらしているのが、医師の紹介状を持たずに病院を受診した場合の特別料金で、そのラインとなっているのが400床と500床以上の病院だ。
400〜500床以上の大病院が
特別料金の対象になる
限りある医療資源で効率よく適切な治療を行なうために「診療所は日常的な病気やケガの治療や慢性疾患の経過観察」「病院は高度な手術や検査、化学治療、放射線治療」など、国は医療機関の機能分化を進めている。
こうした国の目指す医療体制に患者を誘導するために、2016年4月から診療所などの医師の紹介状(診療情報提供書)を持たずに大病院を受診すると、通常の一部負担金に加えて、初診時5000円以上、再診時2500円以上の特別料金の徴収が義務化された。
その対象のひとつが高度な医療を提供している特定機能病院だ。具体的には大学病院や国立病院機構などで、病床数はおおむね400床以上となっている。もうひとつが、救急医療の提供や診療所などと連携をとって地域医療を担っている地域医療支援病院で、その中でも病床数が500床以上あると対象になる。
特定機能病院(400床以上)と500床以上の地域医療支援病院に、診療所などで書いてもらった紹介状を持たずに、「大きな病院のほうが安心だから」といった個人的な理由で受診すると、通常の医療費以外の定額負担が必ず徴収されるので気をつけよう。
こうした特別料金が徴収される大病院は、そもそも高度な医療をするための病院だ。医師をはじめ看護師や薬剤師などの医療スタッフも充実しており、高度な医療機器も揃っている。
その分、がんや難病などになったときは高度な医療を安心して受けられるわけだが、施設基準の整っている病院の医療費には通常よりも高い加算がついていることが多い。
病床数の多い病院は、初再診料の特別料金だけではなく、全体的な医療費も施設基準の低い病院に比べると、わずかながら高くなる傾向にあることを覚えておきたい。
受診前にホームページで
施設基準をチェックする
紹介状なしの定額負担があるのは、入院用のベッドが400〜500床以上の大病院だけではない。実は、ベッド数が200床以上でも、病院の裁量によって特別料金の徴収できるようになっている。
こちらは国が義務化したものではないが、医療機関の機能分化を進めるために、独自の判断での徴収が許されているもので、通常の医療費に加えて数千円程度の特別料金を徴収している病院もある。
だが、「病院」と名のつく医療機関のすべてが、紹介状なしの患者から特別料金を徴収しているわけではない。病院でも、200床未満なら特別料金がかかることはない。
医療には、自分や家族の命がかかっている。安ければいいというものではない。高度な医療が必要なときは、病床数が多く病院を受診したほうが、施設基準が整っているので安心だが、比較的軽いの病気やケガなら施設基準が高くない病院でも対応は可能だ。
本来なら、ふだんから何でも相談できるかかりつけの診療所を探しておいて、大きな病気がみつかったら、かかりつけ医からその病気の治療をするのに適切な病院を紹介してもらえれば安心だ。
だが、急な体調の変化を感じて、いますぐにちょっと詳しい検査を受けたいという場合もあるだろう。そんなときは、ベッド数が200床未満の病院を探して利用すれば初診時の費用は抑えられる。
初再診時の特別料金の有無や金額は、病院の受け付けなどに掲示されていたり、ホームページに掲載されていたりするので、揃っている検査機器などとともに確認しておこう。病院に行ってみてはじめて「こんなに医療費がかかるなんて」と驚かないためにも、施設基準は事前に確認しておきたいもの。
ひとくちに「病院」といっても、その機能はまちまちだ。医療費を抑えながら、適切な医療を受けるためにも、その病院が用意しているベッド数に注意しながら病院探しをしてみよう。
(フリーライター 早川幸子)
http://diamond.jp/articles/-/117275
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