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身近なあの薬も!? 厚労省が新たに認定した「副作用のある薬30」 全然知らない医者もいる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50623
2017.01.08 週刊現代 :現代ビジネス
あなたの飲んでいる薬にも、新しい副作用が追加されているかもしれない。厚労省が改訂指示を出す薬の安全情報は、なんと年に500件近くに上る。だが医者があなたにそれを教えるとは限らない。
■全然知らない医者もいる
その文書はいかにも官僚的な文句で始まる。
「平成28年10月18日に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容等とともに改訂の根拠となった症例の概要等に関する情報を紹介します」
続いてリピトール錠5r、クレストール錠2・5rといった具体的な薬の名前が並び、
「免疫性壊死性ミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」と副作用の説明がなされる。
これは厚生労働省がほぼ毎月発表している「医薬品・医療機器等安全性情報」の一部だ。この情報には、ふだん病院で処方されていたり、市販されていたりする薬の「使用上の注意の改訂」や「重要な副作用等に関する情報」が記載されている。
薬の副作用への知識や警戒感は、人によって大きく異なる。医師に言われたまま飲む人もいれば、副作用を知るために薬の添付文書に書かれている内容をきちんと読む人もいる。しかし、このような形で毎月のように情報が更新され、新しい副作用が次々と書き加えられていることを知っている一般人はほとんどいないだろう。
どのような仕組みで、「新しくて重要な副作用」は加筆されていくのだろうか。東京大学大学院薬学系研究科の小野俊介准教授が語る。
「副作用が厚労省に報告されるルートは3つあります。製薬会社、医者、患者です。
医療機関で処方されている薬に副作用が認められた場合、製薬会社は厚労省に届け出る強い義務があります。MRと呼ばれる企業の医薬品情報担当者がクリニックや病院を回って、副作用情報を集め、それをまとめて報告するのです。
また、医者自身も厚労省に報告する義務がある。ただし、これは製薬会社の義務ほど強いものではないので、副作用が過少に報告されているといわれています。実際、医者が発見した副作用のうち、10%ほどしか報告がなされていないという海外の研究もあるくらいです。
他には患者が直接厚労省に訴え出るというケースもある」
こうして集められた副作用情報は、国内の企業分だけでなんと年間3万〜5万件にも及ぶ。
そのデータをPMDA(医薬品医療機器総合機構)という独立行政法人が精査し、新たに薬の添付文書に加えるべき副作用や、使用上の注意の改訂を決定し、製薬会社を指導するという仕組みだ。
冒頭の文書は、2016年11月に公表された改訂指示の一部である。
「指示を受けた製薬会社は、その情報をすみやかに医者や薬剤師、病院に伝えなければなりません。ただし、厚生労働省から出される改訂指示などの安全情報は年間400〜500件にも上る膨大なものです。
MRもすべての情報を医者に伝えることはできませんし、そもそも医者も自分がよく使う薬くらいしか、添付文書を読まないでしょう。
新しい副作用情報が、ただちに全国津々浦々のクリニックにまで伝わることは現実にはありえません」(小野氏)
つまり、副作用情報をきちんと把握して薬を処方している医者は思いのほか少ないということ。だからこそ、私たち患者は自分自身で薬の副作用について知っておく必要があるのだ。
最終頁の表は、'16年に厚労省が改訂するように指示した「使用上の注意」と「重要な副作用等に関する情報」のうち、生活習慣病薬をはじめ、比較的多くの人にとって身近な薬の新情報を集めたものだ。
■患者は副作用に気づけない
中身を具体的に見ていこう。降圧剤では、アジルバやノルバスクなどに横紋筋融解症の副作用が1月に追加された。
アジルバはARB(アンジオテンシンU受容体拮抗薬)という比較的新しい降圧剤で、副作用も比較的少ないとされている。ノルバスクはカルシウム拮抗薬というタイプの、古典的な降圧剤だ。
横紋筋融解症とは、筋肉細胞が血液中に溶け出してしまい、重症化すると腎臓に負担がかかり腎不全になる症状で、非常に多くの薬でこの副作用が見られる。今のところアジルバやノルバスクでの症例報告は少ないが、注意するに越したことはない。
ラシックスは、降圧作用のある利尿剤で、高血圧症の他にむくみを取るのにも使われ、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫などの治療にも有効。昔からある薬だが、現在も年間93万人が使用する薬だ。
今回報告された副作用は間質性肺炎だ。因果関係が認められた報告例は少ないものの、販売開始から50年以上も経ってから、このように副作用が認められることもある。
リクシアナ、イグザレルト、エリキュースといった抗凝固薬は、どれも比較的新しいタイプの薬だ。心筋梗塞の手術後や脳梗塞の再発予防に使われる、血液をサラサラにする薬である。
これまで同種の薬では、ワーファリンという抗凝固薬が主に使われていたが、頻繁に血液検査をする必要があったため使い勝手が悪かった。また、ワーファリンはビタミンKを摂取すると効果がなくなってしまうので、納豆を食べることができないなど、食事制限もあった。
そこで使い勝手の良い新種の薬として発売されたのがこの3種だ。とりわけイグザレルトは急激に売り上げを伸ばしており、'15年度の売上高は516億円に達している(前年比28・3%増)。
このようなメジャーな薬でも、新しい副作用は次々と見つかる。4月にはイグザレルトに血小板減少、リクシアナやエリキュースには肝機能障害などが追加された(ただしエリキュースの改訂時期は7月)。
冒頭でも紹介したリピトールは薬の一般名でいうとアトルバスタチンカルシウム水和物。いわゆるスタチン系といわれる、脂質異常症(高コレステロール血症や高脂血症)の薬だ。他にもリポバス、リバロ、メバロチン、ローコール、クレストールといった薬が、いずれも10月に追加改訂指示を受けている。
これらの薬は非常に多くの日本人に飲まれており、リピトールは年間で360万人、クレストールは542万人も使用患者がいる超メジャー級の薬だ。
新たに加えられたのは、免疫性壊死性ミオパチーと呼ばれる副作用。脱力感、炎症を伴わない筋線維の壊死など、筋肉への障害が見られる副作用である。
脂質異常症薬とミオパチーの関連を示す症例は、実際それほど多くの数が報告されているわけではない。因果関係が否定できないとして紹介されるのは、計1300万人を超える使用患者のうち、2例だけだ。しかし、その数が少ないからといって、副作用を無視していいというわけにはいかない。
このように副作用の症例が認められるには、患者が医者に症状を訴え、製薬会社、厚労省、PMDAと伝言ゲームのように伝わった情報から薬と症状の因果関係が認定される必要がある。
副作用が出ているのに患者が意識しなかったり、医者が薬との関連性に気づかなかった例が無数にあるはずで、実際には数十倍、数百倍の副作用が生じている可能性も高いのだ。薬剤師の宇多川久美子氏が語る。
「患者自身が副作用に気づかないことはよくあります。また、副作用が出る患者のほとんどが、薬を何種類も飲んでいるため、症状と薬の因果関係に気づくことは極めて困難です。そういうケースだと、厚労省へ副作用として報告することは難しく、情報は上がっていきません」
このように、世の中には報告されていない副作用が溢れている。
カデュエットは、コレステロールの薬に降圧剤を合わせた「配合剤」だ。これもスタチン系と同様の副作用が報告されているが(10月)、このような配合剤は、他にもいろいろと問題点がある。新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が語る。
「これはアムロジンという降圧剤とリピトールというコレステロールの薬を合わせたものです。血圧が高い人はコレステロールも高いだろうという、安直な発想で作られています。
実は、これは製薬会社の都合で生まれたような薬です。単体の薬では特許が切れてしまい、ジェネリック薬が出てきて儲からなくなるので、薬を組み合わせることで新しく特許を取って、もう一儲けしようというわけです。配合剤を飲んで寿命が延びるというデータはありません」
前出の宇多川氏も、配合剤の危険性を強調する。
「たとえば配合剤を飲んで副作用が表れたとしても、どちらの成分が原因になっているのかわかりません。ばらばらの薬なら、片方をやめてみて因果関係を突き止めることが可能ですが、配合剤ではそれもできない。
実際、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は併発している患者が多い。だから製薬会社の言い分としては『飲み忘れもなくなりますし、一度に飲めるから便利ですよ』ということになるのでしょう。
しかし、私は薬を飲むのは少し不便なくらいがいいと思っています。あまりに便利だと安易に服用してしまい、薬をやめる機会も奪われてしまう。薬を飲むのが面倒だから、生活習慣を改善しようと考えるほうがよほど健康的ですよ」
■ロキソニンで腸閉塞に
糖尿病薬ではエクア、グラクティブ、ジャヌビアなどが追加改訂された。いずれもDPP−4阻害薬と呼ばれる新しいタイプの薬だ。前出の岡田氏が語る。
「今回、厚労省に指摘されているのは類天疱瘡という副作用です。この病気は高齢者に多いのですが、水ぶくれがぽこぽこできて、それが破れてばい菌感染を起こすこともある」
岡田氏は、この種の薬にはもっと深刻な問題が潜んでいるとみている。
「DPP−4阻害薬は、飲んだ人が心不全を起こして入院する割合が多いというデータがあり、そちらがより、問題が大きいと思います。
少しうがった見方になりますが、こういう副作用がありましたと症例の少ないケースが報告されている一方で、その薬を飲んでも寿命が延びないどころか、逆に縮まるかもしれないという非常に本質的なデータはなかなか明らかにされません。
『こういう副作用がありましたが、非常に稀なケースですよ』と、逆に『隠れ蓑』に使われる可能性もあるのです」
世の中にはあまりに多くの薬が流通し、さまざまな飲まれ方をしているので、本当の意味での副作用を見つけ出すのは非常に難しい。医者や製薬会社、厚労省が把握している情報も、全体のほんの一部でしかないのだ。
他に身近な薬では、アレルギー性鼻炎で用いられるディレグラ。これも抗アレルギー薬と鼻づまりを改善する薬を併せた配合剤である。眠気、頭痛、口の渇きなどがよくある副作用だが、4月に追加されたのは、急性汎発性発疹性膿疱症という皮膚疾患だ。
市販薬としてもおなじみのロキソニンは、3月に小腸・大腸の狭窄・閉塞が加えられた。ロキソニンは効き目が鋭いものの、もともと消化器にかかる負担が大きいことでも知られる薬だった。
今回は一歩進んで、「小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがある」と改訂された。同じく解熱・鎮痛薬のボルタレンの副作用にも「消化管の狭窄・閉塞」の可能性が加えられた。
年間の薬価が3500万円と超高額に上るため話題になったオプジーボも複数の副作用が追加された。このような新しい薬についてはとりわけ注意深くデータが集められるので、新しく加わる副作用の数も多い。
そもそも副作用のない薬はないし、薬とは治療というメリットと副作用というリスクを天秤に掛けながら飲むものである。
「副作用については、医師側から説明がなくても、患者自らが調べるという意識が必要です。もちろん、神経質になりすぎるのもよくないですが、自分の飲んでいる薬の名前と主な副作用は知っておいて当然だと思います」(宇多川氏)
重大な副作用は意外に身近なところで起きている。すべてを医者任せにしていては、自分や家族の健康は守れない。
「週刊現代」2016年12月31日・1月7日合併号より
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