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脳卒中の後遺症「痙縮」へ働きかけるHANDS療法とは? 〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161021-00000157-sasahi-hlth
週刊朝日 2016年10月28日号より抜粋
脳卒中の後遺症のひとつで、筋肉の緊張が高まり、手足がつっぱったり、曲がったりしてしまう痙縮(けいしゅく)。近年、重い痙縮にも効果的な治療法が登場している。
脳梗塞や脳出血などを発症して、脳の血管が詰まったり細胞が壊死したりすると、後遺症が残ることがある。半身の手足の麻痺はその代表例だ。痙縮は、時間の経過とともに片麻痺と一緒に表れることが多い。
脳卒中などで中枢神経が障害を受けると、筋肉が伸ばされたときに伸びすぎないようにする反射が強くなり、常に筋肉が緊張した状態を引き起こすことがある。筋肉の緊張が異常に上がると、自分の意思とは関係なく手足が勝手に動いてしまったり、筋肉がつっぱって手足が動かしにくくなったりする。これが痙縮だ。たいていは片麻痺と同じ側の手足に表れる。
東海大学病院リハビリテーション科の藤原俊之医師はこう話す。
「患者は痙縮を起こした手足をだんだん動かさなくなります。すると手足を動かす筋肉の緊張が高まるため、さらに動かしにくくなってしまいます」
強い反射を筋肉あるいは脊髄のどこかでコントロールすることができれば、重度な痙縮を和らげることができる。
現在リハビリをはじめ、内服薬や筋肉へのボツリヌス注射など、さまざまな治療方法がある。
神奈川県の田川和夫さん(仮名・42歳)は2011年に脳出血を発症し、右手足に麻痺が残った。福祉施設の調理師だった田川さんは、右手でものを握ったりつまんだりすることができなくなったため、左手だけでどうにか仕事を続けてきた。
15年に藤原医師の診察を受けた際、右腕の筋肉がわずかに動くことがわかり、4週間、外来でHANDS療法を受けた。
HANDS療法とは、「随意運動介助型電気刺激装置」と「手関節固定装具」の両方を1日8時間、3〜4週間にわたって装着し、日常生活の中で手を動かす訓練を補助するものだ。
「随意運動介助型電気刺激装置」は、手を動かす筋肉がある皮膚の上に電極をつけ、患者が手を動かそうとしたときの筋肉の弱い活動を感知して、その活動に応じた電気刺激を与えて、筋肉の収縮を補助する。普通の電気刺激装置と違って、患者が麻痺した手を動かそうとしたときだけ電気刺激によって筋肉の収縮を補助するのが特徴だ。
一方、「手関節固定装具」は、痙縮のある手を機能的によい位置に固定するもの。手の緊張を弱めて動かしやすくする。
「たとえ弱くても筋肉の動きがあることが筋電図で確認できれば、HANDS療法を受けられます。医師が状態を綿密に評価し、さらに患者から、仕事や日常生活の中でどのように手を動かしたいかを詳しく聞きます。これを反映して、個別の患者に合ったトレーニングプログラムを作成します」(藤原医師)
個々のニーズに合わせたプログラムなので、患者はその装置をつけて自然に手を動かす機会が増える。トレーニングを重ねることで、運動機能は向上し、痙縮の程度は少しずつ軽くなる。3〜4週間後には装置なしでも、ある程度は手指が動かせるようになる。多くの患者が治療終了後もその状態を保っている。
田川さんはHANDS療法後、痙縮がある右手でほうきを使って掃除をしたり、タオルでからだを拭いたり、ドアを開けたりなどの日常の動作ができるようになった。さらに右手で食材を支えることが可能になった。
藤原医師によると、HANDS療法では、脳卒中の障害が同程度の患者で、発症から半年後の人と3年以上経過した人の治療効果を比べたとき、手の機能の回復の程度はほぼ同じだった。つまり慢性期の患者にも機能回復の可能性があるのだ。
ただし、この治療によって麻痺がなくなったり、手の動きが完全に元通りになったりするわけではない。また、この治療は足の麻痺には適応がない。
HANDS療法を受けるにはいくつかの条件がある。脳卒中を発症して6カ月以上経過していること、手の筋肉がわずかでも動くこと、ひとりで歩行ができること(杖の使用は可)、腕が胸の高さくらいまで上げられること、患者が自主的に手を動かすこと、などだ。
なお、体内に心臓ペースメーカーが入っている場合や、重い心疾患、肝・腎機能障害のある場合などは対象外となる。
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