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知れば知るほど怖くなる「全身麻酔」〜実は手術の前がキケンだった!恐怖のトラウマとトラブル
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49249
2016年08月07日(日) 週刊現代 :現代ビジネス
■物が食べられなくなった
埼玉県に暮らす30代の女性は、麻酔に対してこんな「トラウマ」を持っている。
「1年前、虫歯の治療を受けるのに歯科医院で下顎に局所麻酔を打ちました。治療自体は無事に終わったのですが、数日経っても、下唇や舌の辺りにビリビリとした痺れが続いていたんです。
その後、痺れは取れるどころかひどくなっていき、ずっと違和感が付きまとうようになった。それに伴って口もうまく動かせなくなり、物を食べるとき、口の端から食べ物や飲み物をこぼしてしまうようになりました」
彼女が、治療を受けた歯科医に相談すると、その歯科医は、
「麻酔で注射をした際に神経を傷つけたのかもしれません。歯の治療では時折あるんです」
と、悪びれずに話したという。痺れが麻酔のせいであることは認めたが、謝罪はなかった。女性が続ける。
「事前にそんなことは説明されていなかったから、医師に不満はあります。でも相手は専門家ですから直接は伝えづらくて。結局、いまも症状は改善しておらず、痺れは続いています。友人と食事にいくのも尻込みするようになりました」
本誌はこれまで何度も全身麻酔の危険性について指摘してきた。全身麻酔は、どういう仕組みで人の意識を消失させるのか(作用機序)さえ明らかになっておらず、副作用についても、研究が十分ではない状況だ。
つい1年ほど前、「ハロタン」という全身麻酔薬が販売中止となったが、この麻酔薬にも副作用が報告されていた。ベテラン麻酔科医が解説する。
「1950年代から使用されている薬ですが、肝障害の副作用を引き起こすことが知られていました。何度も使った患者が死亡した例もあり、30年も前の'80年代に、厚生省(当時)からメーカーに注意が出されました。
今回の販売中止の理由は『諸般の事情』とされていますが、副作用のリスクに加え、患者の覚醒のタイミングの調節が難しいことが原因だといわれています」
しかも、これだけの副作用を持つ「劇薬」を、素人に毛が生えたような研修医が患者に使用している場合も少なくない。
知れば知るほど怖くなる全身麻酔だが、その一方で局所麻酔にリスクがないかといえば、決してそんなことはない。冒頭の女性のように、局所麻酔によって、人生に影を落とす重大な後遺症が生じることがある。
富永ペインクリニック院長の富永喜代氏は、「局所麻酔だからといって甘く見てはいけない」と警告を発する。
「局所麻酔も、全身麻酔と同じようにリスクがあります。『局所麻酔は意識がある中での麻酔で、異変が起きても、自覚ができるから大丈夫』と油断して、十分な麻酔設備が整っていない施設で手術をしがちですが、そういう場所では、アナフィラキシーショックなどのアレルギー症状や、局所麻酔中毒といったリスクに十分に対処できません」
■数mmズレたら命にかかわる
実際、アナフィラキシーショックや局所麻酔薬の「中毒症状」は決して他人事とは言い切れない。前出の麻酔科医が言う。
「局所麻酔中毒は、血中の薬の濃度が上がりすぎて発症します。けいれんや急激な血圧の低下、ひどい場合には心停止を引き起こし、死に至るケースもあるのです。とくに肝臓が弱っている人、高齢者は危険です。
こんな事例がありました。60代の体の小さな女性が卵巣嚢腫で手術をすることになり、硬膜外麻酔という手法で局所麻酔をかけました。注射をすると、突如心拍数が普段の倍にまで跳ね上がり、血圧も異常な数値を示したのです。話しかけても、まったく反応しなくなってしまった。
その後、すぐに異変に気づいて全身麻酔に切り替えたから症状が回復したものの、少しでも対処が遅れたら命にかかわる事態だったと思います」
埼玉では'02年、歯の治療のために局所麻酔を受けた4歳の女の子が死亡した。医師がアレルギー症状に気づかずに放置し、女の子は呼吸困難で命を絶たれたのだ。
局所麻酔といえども高い技術が必要とされ、少しでもミスがあれば、患者の命は危険にさらされる。
「胸骨の周辺に注射を刺すタイプの局所麻酔がありますが、これは血管を損傷する可能性があります。数mm場所がズレただけで血管を傷つけてしまうこともある。実際、1cmほど注射の位置がズレたために、心嚢に大量の血液が溜まり、死亡した患者さんもいます」(前出の麻酔科医)
だが、これだけ高度な技術であるにもかかわらず、麻酔を取り巻く医療体制は十分とは言えない状況だ。THE CLINIC名古屋院院長の福田越氏が言う。
「基本的に大きな病院でも、麻酔医は足りていないところが多い。ひとりの麻酔医が同時に2~3の手術を見るという状態が放置されている医院もあります。人が足りないから仕事が集中し、睡眠不足で注意散漫になっている麻酔医も少なくありません。本来なら、もっと麻酔医を充実させ、その重要性が周知されてしかるべきなのですが」
これまで手術自体のリスクの陰に隠れ、その危険性が軽んじられてきた麻酔。全身麻酔はもとより、局所麻酔であっても、「自分は大丈夫」と甘く考えるのは危険きわまりないのだ。
「週刊現代」2016年7月23日・30日合併号より
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