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現役名医2人が実名で語り尽くす「飲んではいけない薬」浜六郎(医薬ビジランスセンター理事長)×長尾和宏(長尾クリニック院長)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49245
2016年07月28日(木) gendai 現代ビジネス
浜六郎(はま・ろくろう) 医薬ビジランスセンター理事長。中立的視点の医薬品情報誌を発行。著書に『高血圧は薬で下げるな!』など
長尾和宏(ながお・かずひろ) 兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。著書に『病気の9割は歩くだけで治る!』など
薬が招く感染症
浜 コレステロールが高いことがあらゆる病気の原因のように言われていますが、それは間違っています。そのことを、私を含め十数人の研究者が6月に「BMJオープン」という医学雑誌に発表しました。
長尾 「BMJ」はイギリスの一流雑誌ですね。
浜 60歳以上の方を対象に長期間追跡した研究をしらみつぶしに調べた結果、LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールが高いほうが長生きするということが証明されました。
コレステロールが高いとすぐスタチン(クレストール、リピトールなど)を出す医者が多いですが、まったく意味がない。むしろ有害です。
長尾 私は動脈硬化研究の総本山である大阪大学の第二内科にいたので、浜先生とは意見が食い違うところもあります。LDLのものすごく高い人のなかには頸動脈が詰まりかけているケースが多々あるので、そういう患者にはスタチンは必要です。だから私は、スタチン全否定論者ではない。
ただ、軽度の高LDL血症の人でも病院に行くとすぐにスタチンを処方されるのはおかしな話です。特に女性は閉経後、女性ホルモンの減少に伴いコレステロール値が高くなる。これも治療対象としている日本の医療は間違っています。
浜 私も3~4年前までは一部の患者にはスタチンは有用だと考えていました。しかしスタチンはコレステロールだけではなく、体に必須の補酵素や糖タンパクを作るのを邪魔する免疫抑制剤なのです。免疫を抑制すると血管内の炎症反応が抑制されて、一時的には症状が軽くなります。しかし、長期的に見て、それがいいかどうかわからない。
黴菌やウィルスが体内に入ってきたときに、抵抗し、体内の異物を排除し、壊された組織を治すのが免疫反応・炎症反応です。それが阻害されるわけだから、感染症にかかりやすくなりますし、がんもできやすくなる。
長尾 私の病院にもコレステロールの高い患者さんがたくさん来ますが、多くの場合、「放っておいていいですよ」と伝えます。患者さんは驚きますけれどね。
開業医のほとんどは、なにかあったときに患者さんから訴えられるのが怖いし、薬を処方しないと「患者=お客さん」が来なくなるので、「とりあえずスタチン処方」となりがちです。
浜 患者側が情報を仕入れて「コレステロールはそんなに下げなくてもいいようなので、薬は要りません」と言ったら、すごい剣幕で怒りだす医者もいるので困ります。
長尾 今日も日本中の医療機関で、週刊現代を読んできた読者と医者がそんなやりとりをしているんじゃないでしょうか。
確かにコレステロール悪玉説については医療界からも懐疑的な意見が出てきて、二分されている。私と浜先生だって天動説と地動説くらい立場が違います。私はLDLがすべて悪玉ではなく、もう少し範囲を絞って測る本当の悪玉と呼ぶべきコレステロールがあるのではないかと考えます。
浜 しかし戦後、日本人のコレステロール値はずっと上がっているのに、心筋梗塞の死亡率は減っているんです(年齢調整をしたデータの場合)。
長尾 いずれにしてもLDLという数値を下げる目的のためだけに安易に薬を飲むのは意味がないということですね。
浜 LDLが高いことは長生きの指標なので下げる必要はない、というのが私の考え方です。ところで一つ、週刊現代の薬特集について指摘したい点があります。
降圧剤は「カルシウム拮抗剤がARBに比べると安価でいい」という内容があったと思うのですが、カルシウム拮抗剤(アムロジピン、アテレックなど)は長く飲み続けると交感神経が緊張し、心臓に負担がかかります。とりあえずの副作用は少なく、よく使われますが、飲み続けるとがんができやすくなり、寿命が縮まる可能性がある。
ARB(オルメテック、ミカルディス、ディオバンなど)も免疫抑制剤なので、長く使うと感染症が増え、敗血症による死亡率が約5割増える。また、がんになる割合も14%増しになるというデータがあります。
ARBはACE阻害薬という降圧剤に比べて咳が出にくいため、副作用が低いと思われがちですが、実は咳は一種の感染症のセンサーで、意味があって出ているものなのです。咳が出ることでかえって肺炎が防止できるというデータもあるくらいです。
長尾 当たり前の話ですが、生活習慣病は生活習慣を改めるより効果のある治療法はありません。例えば肥満に伴う糖尿病。期間限定でDPP-4阻害薬、SU剤などを投与せざるをえないとしても、きちんと養生をしたら薬はいらなくなるんです。
それなのに生活習慣改善指導もしないで、すぐ薬に頼る医者が多すぎます。不摂生で太っている人にインスリンを打つと、薬のせいでまた太って、余計にインスリンを打たなければならなくなる。インスリン漬けになって抜け出せなくなった患者さんをよく見かけます。
浜 自分の身体からインスリンがまったく出ていない人であれば、やはりインスリンは必要になります。ですが、患者さんが休養して、ストレスを減らしていけば、自前のインスリンが出てくるようになりますね。
■アリセプトで心肺停止の危険
長尾 インフルエンザで出されるタミフルも結構危ない薬ですね。
浜 私は異常行動後の事故死や呼吸停止後の突然死などに関する論文を書き、6月に英文雑誌に載りました。日本におけるタミフルなどの処方数は、イギリスの1000倍以上。明らかに異常ですよ。
長尾 先生はインフルエンザのときは何を処方されるんですか?
浜 頭痛がひどい時、アセトアミノフェンを少量処方するだけです。
巷ではタミフルはウィルスを減らすことで効いていると信じられていますが、FDA(アメリカ食品医薬品局)はそれを認めていません。
長尾 漢方薬はどうですか? 私は飲みますが。
浜 漢方薬もダメですね。葛根湯や小青竜湯の成分マオウはエフェドリンです。これも交感神経を興奮させる、一種の免疫抑制剤。症状改善は一時的で、最終的には治りが遅くなる。
長尾 ところで、浜先生は御著書の中でも、認知症の薬の効果について、かなりはっきりと否定されていますね。私も自分のところで多くの認知症患者を診ていますが、薬が有効なのは認知症の患者さんのうち2~3割かな、というのが実感です。
私は本当に必要な人にしか処方しません。元気がなくなった人のカンフル剤として使うんです。そうしたら新聞を読まない人が再び読むようになったり、笑わなくなっていた人に笑顔が戻ったりします。
アリセプトなどの認知症治療薬は、誤った処方が多く行われています。前頭側頭型認知症(ピック病)など本来投与してはいけない病態にも処方されています。また「増量規定」という不思議な規定があって、段階的に量を増やして処方しなければならないことになっている。私たちがそれはおかしいと厚労省に働きかけ、6月にようやくアリセプトの少量投与が容認されました。
浜 少量処方は私も大賛成です。薬が少量でも十分に効く人がいるのは当然です。一升酒がいける人もいるし、お猪口一杯でひっくり返る人もいる。
長尾 今までの認知症治療薬の増量規定とは、ウィスキーの水割りが自動的にどんどん濃くなっていって、最後は全員ストレートで飲みなさいというようなものでした。
実際、アリセプトで死亡している患者さんはいます。ある大病院の神経内科ではアリセプトをバンバン出している。その副作用で不整脈から心肺停止になり救急センターに運ばれてくる患者が多いという話を聞きました。私自身もアリセプトのせいで心停止寸前になった患者を2例経験しました。危ない薬だからこそ、さじ加減が重要です。
浜 脈が遅くなり心停止する危険は疫学調査でも証明済みです。医者が薬のさじ加減をしなくなったら、おしまいですよ。でも、今の薬は1日1回これっきりという薬が多くて、加減ができないような剤型になっています。
長尾 少量投与ということに製薬会社はまったく関心がありません。儲けが減るだけですから。
浜 やはり薬の悪い点を指摘するというのは、医療業界や製薬業界から歓迎されませんね。
長尾 20種類も薬を飲んでいる高齢者が普通にいるような世の中に、「本当にそれでいいのか」という警鐘を鳴らすのは、大切なことです。
しかし、週刊現代の記事は反響が大きく、医者と患者の信頼関係が壊れて外来がパニック状態になる医療機関も出ています。うちのクリニックでも、普段は薬を中止することに抵抗する患者さんが多いのです。でも記事を読んできた患者に「先生、こんな副作用のある薬を出してたんですか。すぐやめてください」と言われることも増えた。
私としては不要な薬を減らせて良かったと思うのですが、そう思わない医者もいるでしょうし、医者と患者の信頼関係が崩れてしまえば、医療が成り立たなくなる。
■ムダな薬のやめ方
浜 とても大切なのが薬のやめ方です。抗不安剤や睡眠剤、神経痛を和らげるリリカなんかもそうですが、急にやめると禁断症状が出て大変なことになる薬もあります。
'02~'03年に、イギリスのBBCテレビで抗うつ剤パキシルの特集を組んだことがありました。パキシルによる攻撃性や殺人事件などが話題になっていた時のことです。その時も「急にやめるとかえって害が強くなることがありますから医者と相談して下さい」という注意書きを何度もくり返して流しました。
長尾 そういう意味でも、医者との信頼関係が壊れたら、薬を減らしていくことも難しくなります。
浜 ベンゾジアゼピン系の安定剤や睡眠剤などは長時間作用型に切り替えたうえで1~2週間毎に10分の1から20分の1ずつ減らしていく。このペースでゆっくり根気よく減量すれば、体が慣れていくので、禁断症状が出なくて済みます。
長尾 「なんでもかんでも薬はダメ」という安易な医療否定は、薬がなんでも治してくれるという信仰と同じく危険ということです。
もっとも、私自身は薬をできるだけ使わない医療を実現するために医者になったような人間です。全国の医師や患者さんには正しい知識を身につけて、無駄な投薬を減らす流れを進めてほしいと強く願います。
浜 まったく同感です。
「週刊現代」2016年7月23日・30日合併号よ
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