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「手術不可能の膵がんを、手術可能にする」治療法が(※イメージ)
8割以上が手術不可能な膵がん 新薬で可能に〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160610-00000118-sasahi-hlth
週刊朝日 2016年6月17日号より抜粋
気づかないうちに進行している膵(すい)がん。発見された人のうち、手術が可能なのはわずか2割ほどだ。しかし近年、新しい抗がん剤の登場で、手術可能な患者が増えている。
さらなる手立てを研究しているのが、名古屋大学病院消化器外科准教授の藤井努医師だ。藤井医師は腫瘍内科の範囲である抗がん剤にも精通しており、複数の治療を駆使して患者の余命期間を延ばしている。
注目すべき治療は二つ。ひとつは、「手術不可能の膵がんを、手術可能にする」治療法だ。
「膵がんは、手術をいかに可能にするかが、完治を望めるか否かの分かれ目です」(藤井医師)
大きく関係しているのが、4種類の抗がん剤を合わせたフォルフィリノックスと、ナブパクリタキセルという新しい抗がん剤だ。それぞれ13年と14年に国内で承認された。いずれも従来の抗がん剤より強い効果を発揮することが、臨床研究で示されている。
「従来法に新しい抗がん剤が加わり、治療の選択肢が増えました。これらを組み合わせ、手術不可能と診断された膵がんを縮小させるのです」(同)
もともとは、「手術可能の膵がん」が対象だった。手術前に抗がん剤を投与し、場合によっては放射線治療もすることでがん細胞が縮小、手術が可能になる。こういった手法は「術前療法」と呼ばれ、まだ膵がん治療のガイドラインには定められていないが、専門医を中心に用いられている。
さらに近年、「手術不可能の膵がん」に対しても、手術可能になることを目指して、抗がん剤投与や放射線治療がおこなわれるようになってきた。手術可能の膵がんに施すのとは違い、「どこまでやるか」の見極めが難しいが、これによって治療後の状態が大きく変わる。ただし、遠隔転移がある場合にはおこなえない。
静岡県在住の会社員、山本弘子さん(仮名・50歳)も15年5月にCT(コンピューター断層撮影)を受けた結果、膵がんが見つかった。すでにステージ4まで進行し手術ができない。「抗がん剤を投与しても、副作用で苦しむだけ」と一時は治療を投げ出そうと考えたが、一縷(いちる)の望みをかけて藤井医師の外来を受診した。
抗がん剤や放射線で手術可能なところまで持っていく場合、どういう「戦略」をとるかは医師の判断による。藤井医師は、フォルフィリノックスよりも副作用が軽いナブパクリタキセルから使用することが多い。
山本さんにはナブパクリタキセルがよく効き、がんが小さくなっていった。約8カ月後には、膵臓のがん部分やリンパ節などを手術で切除。手術後から再発予防のための抗がん剤治療を受けているが、今も再発はなく、「5年生存率0%」回避の可能性が高い。週に1回の抗がん剤治療に、前向きに取り組んでいる。
注目されている治療のもうひとつは、腹膜播種に対する新しい治療だ。腹膜播種とは、がん細胞が発生した臓器とは別の臓器などを覆っている膜に、がんが飛び火している状態だ。
しかし藤井医師は、関西医科大学との共同臨床研究として、胃がんや卵巣がんで成果を出している治療法を応用している。
「おなかにリザーバーという差し入れ口を設け、そこから腹腔内に直接、抗がん剤のパクリタキセルを投与します」(藤井医師)
多くの薬が血管や粘膜を通して薬剤を浸透させるのに対し、がんに向かってダイレクトに薬を付けるということになる。
藤井医師と共同研究チームは、膵がんで腹膜播種になっている33人に実施。8人が不可能だった手術を受けられるようになった。この内容は、世界的に権威のある医学雑誌「Annals of Surgery」に掲載された。
「ただし、腹膜播種は小さいのでCTでも見つからないことが多い。なので私は、進行膵がんであれば審査腹腔鏡もおこないます」(同)
審査腹腔鏡は、CTなどの画像診断では検出できない腹膜転移を診断できる。腹膜播種が見つからなければ、抗がん剤や放射線で手術可能に持っていく。治療方針が大きく変わるので必須の検査だという。
「膵がんで手術不可能だと言われても、決してあきらめないでほしい。『治療が難しい』と言われても、ぜひセカンドオピニオンを受けてください」(同)
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