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※紙面抜粋
※2025年4月1日 日刊ゲンダイ2面
フジ「第三者委員会」報告を多角的に検証…いよいよ、テレビ局は「終わりの始まり」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/369857
2025/04/01 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
「性上納」文化が慣習に。綺麗事を並べても(フジテレビ・清水賢治社長)/(C)日刊ゲンダイ
ようやく、公表された第三者委員会の報告だが、これで膿を出し切ったのか、変わるのか。悲観的な見方ばかりだ。天皇のようなタレントが君臨し、構造的なハラスメント体質、上から目線、人権軽視、電波利権に守られた驕り、政治への忖度など、他局も同類の腐敗がある。こんなTV局が必要なのかが今後、問われていくだろう。
◇ ◇ ◇
元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発する問題で、フジテレビと親会社が設置した第三者委員会は3月31日、ようやく調査報告書を公表した。
調査期間は約2カ月。フジの役員や退職者を含む社員、中居氏を含む「取引先」など関係者222人を対象にヒアリングを実施し、まとめた273ページに及ぶ内容は衝撃的だ。フジの企業風土のおぞましさを次々とあぶり出している。
第三者委は中居氏の性暴力を認定。被害当時、女性Aさんがフジのアナウンサーだったと明かし「『業務の延長線上』における性暴力が行われ、重大な人権侵害が発生した」と明記した。
報告書によると、女性は2023年5月、編成制作局幹部・B氏らと共に中居氏のマンションでのバーベキューに参加した。
2日後に中居氏は複数人での会食であるかのように装ってショートメール(SMS)で女性を誘い、「メンバーが見つからずです〜。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど」などと要望。「この間の(マンション)なら、安心かも」と提案した。
女性は「仕事上付き合いのある芸能界の大御所からそういわれたら、行かざるを得ない」「断ったら(B氏に)伝わって番組に呼ばれなくなる」と不安を抱き、マンションに向かったと証言。第三者委は、フジにとって有力な取引先である中居氏と女性との間に、圧倒的な権力格差が存在していたことを認めている。
その後、女性は食欲不振やうつ症状で入院。度重なるフラッシュバックにも襲われ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。さらに彼女を追い詰めたのは、B氏らの振る舞いだ。
「性接待費」38万円が経費で落ちる異常
B氏は中居氏の依頼を受け、女性に見舞金名目で現金100万円を届けたり(女性は受領拒否)、彼女の病状を社内で探る役まで引き受けた。第三者委は現金を渡そうとした行為を「口封じ」との認識を示した。
また、B氏はバラエティー部門のリーガルアドバイザーだった弁護士を中居氏に紹介し、同僚の編成幹部は弁護士事務所まで中居氏をアテンド。フジの番組キャスティングを決める立場のB氏は、時には中居氏に「かしこまりました! お役に立てるように尽くします」とSMSを送り、率先して“パシリ役”を買って出たのだ。
編成制作局が中居氏の味方だと表明するような行動で、第三者委は「2次加害行為にあたる」と指摘。女性が「大物タレントを守り、入社数年目の社員を切り捨てる」と受け止めるのも当然で「経営の体をなしていない。被害者救済の視点が乏しかった」と厳しく批判した。
なるほど、コトが明るみに出るまで中居氏は悪びれもせず、平然とフジの番組に出続け、売れっ子として天皇のように君臨していたわけだ。
さらに、報告書はいわゆる「上納文化」にも切り込んでいる。大物タレントや大手芸能事務所など有力取引先と良好な関係を築くため、「会食・会合などに女子アナ、社員を業務とは関係なく性別・年齢・容姿などに注目して誘って多数開催」と指摘。「性上納」ともいえるセクハラ案件2件を認定している。
うち1件は21年、高級ホテルのスイートルームでB氏は懇意な有力番組出演者の男性タレントに中居氏、女子アナ2人を残して退室。その後、女子アナがタレントと2人だけとなり、肩や膝などを触られたケースだ。
この「スイートルームの会」と呼ばれる会合は、東京・六本木の外資系ホテルで開かれ、B氏が支払った料金はナント38万1365円! 番組のロケなどの施設使用料の名目で経費として請求されていた。有力タレントへの「性接待費」が業務の一環とはモラルもヘチマもない。いかがわしい会合まで経費で落ちるなんて、TVマン特有の世間ズレした上から目線の特権意識も納得だ。
他局の人権感覚もフジと似たり寄ったり
“フジのドン”こと日枝久氏(C)日刊ゲンダイ
他にもBSフジ「プライムニュース」キャスターで先日フジの取締役を外れた反町理氏ら幹部の社内ハラスメント事案も認定。紙面で紹介し切れないほどハレンチ案件のオンパレードだ。構造的なハラスメント体質は、もはやコンプラうんぬんの域を超え、報告書は「ハラスメントに寛容なフジの企業体質」が背景にあると糾弾した。
興味深いのは、第三者委が「政治への忖度」にも踏み込んだこと。コーポレートガバナンスに関する調査の一環で、22年9月の安倍元首相の「国葬特番」を問題視。社内ヒアリングにおいて、フジの取締役を退任した日枝久氏らのトップダウンにより放送時間が急きょ前倒し。2時間を予定していた特番が4時間に拡大され、「編成権の侵害だ」との意見が聞かれたという。
国葬の司会を務めたのは、フジの島田彩夏アナ。当時から報道機関の公平中立性に疑義が持たれていた。第三者委は日枝氏の関与や過度な圧力は「認定できなかった」と結論付けたが、フジの“ドン”は政界との距離が近く、特に安倍とはゴルフコンペが恒例化するほど蜜月の仲。銃撃後に安倍の遺体が自宅に運ばれた際、いち早く駆けつけたのも日枝氏だった。
「報道機関でもあるTV局の実質トップが時の権力者と懇意な仲を見せつけること自体、他の先進国では考えられません。背景には新規参入が認められない放送事業の既得権益化、許認可権者である政府の顔色をうかがいながらも電波利権に守られているという驕りがある。政治との距離の近さは、フジが1馬身も2馬身も引き離しているとはいえ、大なり小なり他局も同類の腐敗があるに違いありません」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
借り物の価値観に依拠した変化は身に付かない
テレビ朝日は3月19日、同社幹部の降格処分を発表。名前は伏せたが、“ナスD”こと友寄隆英氏だと報じられた。処分理由は人格否定発言などのパワハラに、総額約517万円に上る経費の私的流用だ。日本テレビの「月曜から夜ふかし」では、中国人の多くがカラスを食用にすると中国出身の女性が発言したかのように放送。きのう福田博之社長は「とにかく面白いものにしたいという思いで意図的に編集したことが原因」と謝罪したが、面白さが人種差別に勝るとは、まさに各局の人権感覚はフジと似たり寄ったり。暇さえあれば不祥事ばかりだ。
第三者委の調査報告を受けた会見で、フジの清水賢治社長は「人権尊重の徹底」「ガバナンス強化」などと歯の浮くような言葉を並べたが、テラスハウス事件や旧ジャニーズ事務所の性加害問題を経ても何ら教訓を学び取れなかった企業体質は、一朝一夕では変わらない。これで膿を出し切ったとは到底、思えないのだ。フジを筆頭に、こんなTV各局が必要なのかが今後、問われていくだろう。19年までBPOの委員を務めたジャーナリストの斎藤貴男氏はこう言った。
「第三者委の報告書は、11年に国連人権理事会で承認された『ビジネスと人権に関する指導原則』に依拠しています。いわば“アメリカ様”のスタンダード。いくらフジに変化を促しても、その価値観はしょせん借り物に過ぎません。『時代の変化に即応して経営をアップデートしてこなかった』との指摘は鼻白むだけです。だから当事者のフジ側も反省が血肉とならず、きっと同じことを繰り返すのでしょう。フジを追及するジャーナリストの間でも、その価値観に基づく批判が目立つ。いかに日本社会が借り物の基準に毒されているかを痛感します」
いよいよ「終わりの始まり」のTV局は自業自得だが、蔓延する借り物の価値観に根差した社会の攻撃的な変貌にも注意を向ける必要がある。
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