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※2025年3月29日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
新社長も新会長も内部昇格(フジテレビの清水社長とフジHDの金光社長=右)/(C)日刊ゲンダイ
週明けに開かれる第三者委員会の結論次第だが、もちろん、スポンサーは当面様子見だろう。ほぼ無収入が続き、番組はどんどん劣化するドツボ。ドンの退任は最低限の一歩に過ぎない。
◇ ◇ ◇
はたして、これでフジテレビは再生されるのだろうか。
フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)が、大規模な役員人事に踏み切った。41年間にわたって取締役を続け、「天皇」と称された日枝久取締役相談役(87)も退任することになった。
取締役数はフジHDが17人から11人へ、フジテレビも22人から10人へと大幅に縮小。女性比率は両社とも10%前後から30%台に、平均年齢もフジHDが71歳から61歳へ、フジテレビも67歳から59歳へと大きく若返る。
旧取締役で残るのは、フジテレビ社長に留任した清水賢治氏(64)と、フジHDの現社長で6月に会長に退く金光修氏(70)の2人だけだ。6月からは、清水氏がフジHDの社長も兼務する。「フジテレビ黄金時代」を引きずる役員は一掃された形である。
しかし、問題は、これでフジテレビが本当に生まれ変わるのか、スポンサーが戻るのか、ということだ。
元SMAPの中居正広氏と女性とのトラブルに端を発した問題が発覚した後、多くのスポンサー企業が、CM出稿を見合わせている。2024年1〜3月期691社あったスポンサー企業は、25年2月25日時点で72社まで激減。3月25日時点ではスポンサー数は約100社まで回復しているが、そのうち7割弱が4月以降の広告出稿について判断を保留しているという。
経済評論家の松崎隆司氏はこう言う。
「フジテレビにとって日枝相談役の退任は、一大事でしょうが、外部からみたら信頼回復の第一歩にすぎない。人事刷新だけでは、スポンサーは戻らないでしょう。やはり、3月31日に公表される『第三者委員会』の調査報告が、どんな内容になるかが大きいと思う。もし、新たな事案が公表されるようなことになったら、さらにスポンサー離れが進む可能性さえあります」
「経済界」編集局長の関慎夫氏はこう言う。
「今回の人事は、新生フジテレビを印象づける大きなチャンスだった。せめて会長くらいは外部から招聘すべきだったのではないか。外部からの起用の方が大ナタも振るいやすい。日枝相談役がいなくなっただけでは、生まれ変わった印象にはならないでしょう」
それでなくても、テレビCMの「効果」に疑問をもっているスポンサーも多いという。ドン日枝が辞めても、そう簡単にスポンサーは戻らないのではないか。
いずれリストラを迫られる
日枝カラーは簡単には消えない(C)日刊ゲンダイ
いったい、この先、フジテレビはどうなるのか。
広告収入が激減し、すでに経営は一気に悪化している。25年3月期決算は、1959年の開局以来、初めて赤字になる見通しだ。
このままスポンサーが戻らず広告収入が途絶えると、番組の制作が困難になり、ドラマの再放送ばかりという事態にさえなりかねない。
そもそも、ここ数年、フジテレビの視聴率が低迷しているのは、制作費が激減しているから、という声もある。06年度、制作費は1153億円だったが、22年度は721億円、23年度は682億円にまで減っている。
その結果、コンテンツ力が低下し、視聴率が低迷するという悪循環に陥っているという。視聴率が低ければ、当然、CMも集まらない。
ただ、親会社のフジHDの財務が盤石なため、さすがに、すぐに経営危機ということにはなりそうにないという。
フジHDの今期の中間決算は、売り上げこそ「放送事業」が2053億円と全体の74.5%を占めているが、コストを差し引いた営業利益は「不動産事業」が全体の65.6%を稼ぎだしている。いまや「不動産事業」が主力事業となっているのだ。所有する土地・建物などの固定資産の価値も、約1兆439億円(昨年度末)に達している。
しかし、スポンサーが戻らなければ、いずれ大リストラは避けられないとみられている。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「たしかに、親会社のフジHDは巨額の優良資産を抱え、不動産事業が収益をあげています。しかし、いつまでも傘下の赤字企業の面倒をみるのは難しいのではないか。上場企業だから、株主から批判される恐れがありますからね。赤字が続くようだと、いずれフジテレビはリストラを迫られると思う。ただ、早期退職などリストラをすると、優秀な人材から辞めてしまいかねない。優秀な人材がいなくなると、魅力的なコンテンツを作れなくなり、さらに視聴率が下がるというジレンマに陥りかねません」
フジテレビの混乱と、社員の地獄は避けられそうにない、ということだ。
再生のヒントは近くにある
フジテレビ再生のヒントになるとみられているのが、グループ会社の「ニッポン放送」だ。
檜原麻希社長が辣腕を発揮し、ニッポン放送は、6期連続の営業増益を記録している。収益の柱は「サブスク」「イベント」「広告」の3つ。
ラジオは、パーソナリティーとリスナーとの「距離」が近い。それを踏まえたうえでパーソナリティーを呼んでイベントを開き、物販をすることで収益をあげている。
「オードリーのオールナイトニッポン」の番組15周年を記念して開催した、東京ドームでのイベントには、リスナー5万3000人が詰めかけ、売り上げは動員だけで9億円、グッズ販売を含めると10億円を超えたという。
多くのタレントが番組出演しているフジテレビも、同じことをやれるはずという指摘である。
放送業界関係者がこう言う。
「フジテレビは発想を変えることです。CM広告も、ナショナルクライアントは出稿してくれなくても、知名度をあげたいマイナー企業なら喜んで出稿してくれるはず。番組づくりも、ガヤ芸人を集めたバラエティー番組ではなく、世界で通用するコンテンツに絞った方がいい。たとえば、テレビ東京が放送している『孤独のグルメ』は、韓国や台湾でも大人気です。海外もマーケットにすれば、収益もあがるはずです」
しかし、日枝相談役をあがめ、過去の「成功体験」から抜け出せないフジテレビに、発想の転換ができるのかどうか。
「孤独のグルメ」も、当初、フジテレビに企画が持ち込まれたが、幹部社員が「フジの番組はもっとキラキラしていないと」と却下してしまったという。前出の斎藤満氏はこう言う。
「日枝相談役が辞めたからといって、フジテレビの企業風土が一変するかどうかは疑問です。『日枝カラー』は、簡単に消えないでしょう。自分が長く働いた金融業界でも、天皇と称される人物がいた会社はトップが辞めても、なかなか企業風土は変わらなかった。しかも、フジHDの新しい社長と会長は2人とも内部昇格でしょう。どうして外部から優れた人物を呼んでこなかったのか。破綻したJALが再生できたのも、稲盛和夫というカリスマをトップに持ってきたからでしょう」
フジテレビは本当に再生されるのだろうか。
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