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カロリーは肥満と無関係 専門家が警告する「間違った健康法」/AERA dot・msニュース
2019/10/07 08:00.
https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2019100300090.html
カロリーは肥満と無関係 専門家が警告する「間違った健康法」
よかれと思って、疑うことなくやっていた健康法。多くの人が一度は手を伸ばしたであろうものを集め、各専門家にその真実を聞いてみました。効果がないならまだまし。健康を害することも……。人生100年時代を生き抜くためにも、間違った健康法は今すぐにやめましょう。
まず食事について。食べ物が消化・吸収される過程で人体にどう反応するかを究明する「生化学」に携わってきた医学博士でAGE牧田クリニック院長の牧田善二氏が、肥満とカロリーの関係をこう指摘する。
「カロリーが高いものを食べると太ると思い込んでいる人がいますが、2008年の研究において、肥満とカロリーの関係性は否定されています。糖質(≒炭水化物)の取りすぎによる血糖値上昇が肥満を起こすと証明されています」
つまり、脂身の多い肉をダイエットのために避ける必要はない。ぜい肉の原因は糖質のほうだ。摂取したら100%吸収され、エネルギーとして消費されなかった余剰分が中性脂肪として蓄えられる。
果物なら太らないと考える人もいるかもしれないが、
「果物の果糖は太りやすいのです。糖にはエネルギーとして使用される順番があり、一番初めに使われるのがブドウ糖で、次に果糖。ブドウ糖と果糖を一緒に摂取すると、先にブドウ糖が使われ、余った果糖は速やかに中性脂肪になります」
果物を食べるなら、朝食の最後に少量にとどめておくほうがいい。果汁を搾ってジュースにすると、多量の果糖を摂取することになる。そのまま食べたい。
次は習慣についてだ。
早起きは三文の徳と言われる。だが、睡眠評価研究機構代表で医学博士の白川修一郎氏はこう危惧する。
「高齢になると自然と朝型になります。極端な場合、夜7時に寝て深夜1時に起きてしまうことも。そこから眠ろうとしても寝付けず、不眠を訴えるようになる人が少なくありません。認知症やパーキンソン病の原因物質は睡眠中に効率的に排出されることがわかっていますから、(体内に蓄積させないためには)十分な睡眠が必要です。アルツハイマー病の15%は睡眠が原因であるという研究もあります」
高齢者は睡眠時間が5時間を切ると、免疫機能の低下に加え、様々な健康被害や交通事故の発生リスクが高くなるという報告もある。
「高齢者でも夜11時に寝て、朝6時に起床する7時間睡眠を目指してください。夕方に散歩をすると夜間のうたた寝を防ぎ、睡眠の状態をよくすることもわかっています」
これからの季節は、お風呂の入り方にも気をつけたい。
東京都健康長寿医療センター循環器内科の医師・鳥羽梓弓氏はこう語る。
「入浴に関連する死者は年間約1万9千人と言われ、交通事故の5倍です。9割は65歳以上の高齢者。冷えた体を温めようとして、熱いお湯に長時間入浴する冬場に急増します。ヒートショックという、急な温度変化と血圧変動を引き起こし、気を失ったり脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を起こしたりしてしまうのです」
温度感が鈍ってくる高齢者は熱いお湯を好みがちになるが、40度以下のお湯に5分ほどつかる程度が安全だという。さらに注意したいのは、こんな時だ。
「アルコールを飲むと、血圧が下がります。お風呂に入ると急に血圧が上がってしまうので、飲酒後の入浴は避けてください。日頃から血圧の上下変化が大きい人も注意してください」
こうした危険は、一人で入浴できる元気な高齢者こそ心配だという。入浴介助が必要な人には、気がついてくれる人がいるからだ。
冬場の入浴リスクを下げるためには、(1)家族が10分おきに声をかけて様子を確かめる(2)脱衣所を暖めて浴室との温度差をなくす(3)浴室が暖まっていない一番風呂を避ける──の3点に気をつけたい。
健康のための運動にも注意したい。早朝にジョギングや体操をしている人は少なくないだろう。しかし、スポーツトレーナーの坂詰真二氏は、朝起きてすぐは運動に適さないと指摘する。
「体が温まった状態になると筋肉は動きやすくなり、トレーニングの効果を得やすいのですが、起床してすぐはまだ体温が低め。運動には適していません」
夕方4時前後が、最も体温が高く運動に適している。前出の白川氏も指摘したように、夕方に体を動かすことで夜の睡眠状態もよくなるから一石二鳥と言える。
坂詰氏が高齢者にすすめる運動は、寝たきりや介護を防ぐためのスクワットだ。
「全身の筋肉量の6〜7割は下半身に集中しています。筋肉量の少ない腹筋よりも、下半身を優先的に鍛えるのが効率的です。1セット10回を3セット、週1、2回するだけでいいんです。しっかりしゃがめなければ浅くしゃがみ、10回やって少しつらいと感じる、8割くらいの負荷をかけるように調節しましょう。伸ばす時よりもしゃがむ動作のほうが重要なので、ゆっくり息を吐きながら2〜5秒かけてぎゅ〜っと下ろしていってください」
毎日やらないことも肝心。
「筋肉が十分に回復するのに48〜72時間かかるとされています。回復していない状態で負荷をかけると、効果を得られないだけでなく、筋肉や腱(けん)の炎症などケガをする可能性もあります。最低でも2〜3日は空けてください」
世間にあふれる健康グッズも慎重に選びたい。はいて寝ると足のむくみがとれるという市販の着圧ソックスはその一つだ。日本静脈学会理事長で慶友会つくば血管センター長の岩井武尚氏は、効果を疑問視する。
「2本足で立っている日中は、足に行った血液は重力に逆らって心臓まで上がってこなければならないので、血流が滞ってしまうことはありますし、足がむくむこともあるでしょう。しかし、寝ている間、体は水平状態で血流も良くなりますから、必要ないのです」
締め付けが強すぎるものもあるので、気をつけたほうがいい。
「過去に、スポーツ用のハイソックスをはいて足が壊死(えし)してしまった症例があります。締め付けすぎて、足の動脈と静脈の流れが止まってしまったのです」
(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日 2019年10月11日号
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