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沼野尚美はんは薬剤師として出発したが、病棟で患者と接する中で患者の想いから学び、ホスピスに脱皮していった
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/757.html
投稿者 藪素人 日時 2019 年 5 月 12 日 10:27:53: BhHpEHNtX5sU2 5U2RZpBs
 

 沼野尚美はんはある病院で薬剤師として働いていたが、あるとき異様な光景を目にする。
 大部屋の病室にいたとき、その日は地域のお祭りの日で、青年団がおみこしを担いで病院の前を通って行く。そのとき、6人のおばあさんの患者がそれぞれ起き上がってベットの上に正座しておみこしの方向に手を合わせて深々とお辞儀をした。みな示し合わせたかのようなその姿は異様に映った。
 その一人に声をかけた。するとその人は淋しそうな表情で「早う死んで土にならんといかんと思い、早くお迎えが来るように拝んでいた。生きていてもなんの楽しみも希望もない。かえって周りに迷惑をかけるだけ」と、訴えるように言った。その言葉を聞いていた他の患者も「あんたの言う通りや」とそれぞれにやるせない思いをその日はじめて語り出した。

 6人がそろって語った心の苦しみにふれて彼女の心は痛んだが、ただ病室に立ちすくんでしまった。患者の言葉に大変なショックを受けた。この出来事があってから、彼女は、病める人々が生かされていることに喜びを感じられるようにお助けしたいという気持が日増しに強くなっていって、自らの「使命」になったホスピスの道へまっしぐらに進んで行った。

 その過程で、劇的な出会いもあり、それが彼女の背中を強く押した。あるホスピス病棟で、60歳の定年まで働いていた元看護婦・助産婦の老婦人が彼女を取り上げた人だった。婦人は彼女がホスピスの仕事についていることをとても喜んでくれた。
 末期癌患者であったその婦人は、亡くなる3週間前、彼女の手を取り「人生の初めと終わりー誕生と死ーには、特別な人の助けが必要…私が死んでいくのを助けてね」と言われ、彼女は自分の使命を明確に認識するきっかけになった。

【出所】沼野尚美「癒されて旅立ちたい」佼成出版‘02年

(ヤブ人)本書を読もうとするもんは、手元にタオルかハンカチを用意した方がええな。  

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コメント
1. 藪素人[45] 5U2RZpBs 2019年5月13日 18:03:36 : CIQ92Zc4Nn : S004SnJlUk9qNWs=[1] 報告
 存在感の温かさ

 十年前、彼女は日頃の仕事の疲れを癒すために友人を訪ねてベルギーに行った。
 毎晩パーティがあり、最初は物珍しくもあり楽しんでいた。が、現地の言葉もわからず会話を楽しむことができず日毎に元気がなくなってきた。四つ目のパーティのとき「淋しい!」と思った瞬間、涙が溢れてきた。多くの招かれた客と一緒にいながらも、自分は地球にたった一人でいるような淋しさを感じた。
 その楽しそうな輪の中に入っていく勇気もなく、大邸宅の庭を一人あてもなく歩き始め、涙に堪えながらふと見つけた白いブランコに乗った。一生懸命にこいだ。しばらくそうして自分の世界にこもっていると、誰かの視線を感じた。
 その視線の方を見やると、5歳ぐらいの金髪で青い目をした人形のように可愛い女の子が、隣のブランコに座り私を見つめていた。目が合うと、その子は優しい眼差しで彼女ににっこり微笑みかけてきた。彼女たちは黙ったまま互いにブランコをこぎ、時々目を合わせては、微笑みを交わした。
 女の子の温かい存在は、孤独な心を慰め癒してくれた。彼女たちは一言も言葉を交わさなかったが、女の子を通して「あなたは一人ではない」というメッセージを受け取ったのだった。女の子の温かさは、その微笑みから感じ取ることができた。

2. 藪素人[46] 5U2RZpBs 2019年5月17日 17:55:28 : t6Ye2M3MBU : ZzFjRnRBY3c2S00=[1] 報告
 ペットたちの活躍

 会いたい人を問うと、近年ペットの名前を告げる人が増えてきた。最近のペットは人間のような名前を付けるので勘違いしたことが何度かある。田中さんという猫もいた。ヨッちゃんという猫もペットケースに入れられて病院に来た。ヨッちゃんは身動き一つせず、患者の体に寄り添って静かにしている。時が過ぎご主人がヨッちゃんを連れて帰ろうと思い、抱こうとするのだが、ヨッちゃんがベットから離れようとしない。ヨッちゃんは患者の両足の間に挟まるようにして丸くなってしまった。ご主人が引き離そうとすると、ヨッちゃんは抵抗して固まってしまう。…その晩、ヨッちゃんは飲まず食わずで、患者の冷たい足を自分の体温で温め続けた。翌日の夕方、患者は旅立っていった。
 先生が死亡宣告した後、ご主人は布団をめくり、患者の両足の間にいたヨッちゃんを抱き上げ話しかけた。「ヨッちゃん、ありがとう。お母さんも喜んでいたよ」と。

 ホスピスでは、ペットたちは家族のようにではなく、立派な家族として、すてきな働きを見せてくれている。

【出所】沼野尚美「いのちと家族の絆」明石書店‘10年

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