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果糖の摂取量がこの100年で6倍に激増!肥満大流行を起こした物質の正体  コーヒー、ビタミンD、運動、ナッツ、瞑想
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/650.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 9 月 21 日 08:20:05: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

【第3回】 2018年9月21日 ロバート・H・ラスティグ , 中里京子

果糖の摂取量がこの100年で6倍に激増!


肥満大流行を起こした物質の正体


「低炭水化物ダイエットは正解か?」
「脳が砂糖をやたら欲しがるのはなぜか?」
「食べた分だけ動けば確実にやせるのか?」
「カロリーを減らせば体重は減るのか?」

これらの「食事の疑問」に答えつつ、「人が太るメカニズム」を医学的に徹底解明したNYタイムズベストセラー『果糖中毒』が9/13に発売された。

アメリカの一流メディカルスクール教授が229の医学論文から「食事の正解」を導き出し、「健康な脳と体」に戻るための処方せんをあざやかに提示したとして、原書はアメリカで12万部を超え、アマゾンレビュー987件、平均4.6と高評価をたたき出した。

最新のWHO統計によると、現在世界で約19億人が「体重過多」、約6億5000万人が「肥満」だという。これは世界中の人々が運動を怠けて、食べ過ぎた結果なのか? 『果糖中毒』では、「肥満は自己責任論」を全面否定し、現在の「肥満の世界的大流行」は糖分、特に「果糖」が主な原因だと結論づけている。

ここで『果糖中毒』の一部を特別に無料で公開する。

この30年で
脂質の量は増えていない!

 一見すると、私たちは今、あらゆるものを以前より多く食べるようになったように思える。だが本当は、「あらゆるもの」を多く食べているわけではない。

 実際には、以前より多く食べるようになった食品もあれば、食べるのが減った食品もある。そういった食品が何であるかを知れば、肥満の世界的大流行を阻止する鍵が見つかるはずだ。

 米国農務省は、消失する栄養素について記録をとっている。そうしたデータを見ると、肥満の世界的大流行が加速しても、タンパク質と脂質の合計摂取量は比較的一定のままに留まっていることがわかる。

 しかし、1980年代に米国医師会、米国心臓学会、米国農務省がこぞって「低脂肪」食習慣に切り替えるガイドラインを作成したため、総摂取カロリーの割合に脂質が占める割合は低下した(40%から30%に減少)。タンパク質の摂取量は、15%前後と、比較的一定の割合を保っていた。

 しかし、総摂取カロリーが増えたのに、脂質の総摂取量が変わらなかったとすれば、何かほかの栄養素の摂取が増えたはずである。その答えは、炭水化物のデータを調べればわかる。

糖分の主成分「果糖」摂取量が
この30年で6倍に
 実は、総摂取カロリーに占める炭水化物の割合は、40%から55%に増えていたのだ[1]。私たちが摂取する炭水化物は確かに両方のクラスとも(すなわちデンプンも糖分も)増えていたものの、総摂取カロリーにおけるデンプンの総摂取量は、49%から51%に微増しただけだった。

 ところが、果糖の摂取量は8%から12%に増加し、場合によっては(特に子どもたちのあいだでは)、総摂取カロリーの15%にまで達していたのである。

 というわけで、私たちが以前より多く口にしているものは糖分、しかも特に果糖であると考えるのが筋だろう。私たちが口にする果糖の量は、過去30年間に2倍になり、20世紀の100年間では6倍になった。世界的なジレンマを解く鍵は、人々の食生活におけるこの変化を理解することにある。

 燃やされるカロリーはすべて同じ働きをするが、口にするカロリーは同じ働きをするわけではない。そしてここにこそ、肥満の世界的大流行を理解する鍵がある。つまり、私たちが口にする食品の質は、食べる量に影響を与えるのだ。

[1] P. Chanmugam et al., (2003) “Did Fat Intake in the United States Really Decline between 1989-1991 and 1994-1996?” Journal of the American Dietetic Association, 103 (7): 867-72.
(本原稿は書籍『果糖中毒』からの抜粋です。訳者による要約はこちらからご覧になれます)

著者について
ロバート・H・ラスティグ(Robert H. Lustig)
1957年ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児科教授。マサチューセッツ工科大学卒業後、コーネル大学医学部で医学士号を取得。2013年にはカリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールで法律学修士号(MSL)も取得。小児内分泌学会肥満対策委員会議長や内分泌学会肥満対策委員会委員などを歴任。「果糖はアルコールに匹敵する毒性がある」と指摘した講義のYouTube動画「Sugar: The Bitter Truth(砂糖の苦い真実)」は777万回以上視聴されるほど大きな話題になった。
中里京子(なかざと・きょうこ、訳者)
翻訳家。訳書に『依存症ビジネス』(ダイヤモンド社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『ファルマゲドン』(みすず書房)、『チャップリン自伝』(新潮社)ほか。
https://diamond.jp/articles/-/180248


 

 コーヒー、ビタミンD、運動、ナッツ、瞑想のすばらしい健康効果

https://diamond.jp/category/s-Harvard_medicine_professor_Health
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https://diamond.jp/articles/-/180029
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コメント
1. 2018年9月24日 08:14:53 : kNeY0s9eJg : _DtOmeuKCLg[150] 報告
果糖を多くとるようになった理由というかメカニズムは何なのか。そこのところを知りたいものだ。
2. 2018年9月27日 20:01:38 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1564] 報告
米マクドナルド、ハンバーガーから人工成分を排除
一部のハンバーガーについてバンズ、チーズ、ソースへの人工成分の使用をやめる

By Julie Jargon
2018 年 9 月 27 日 06:44 JST

 米ファストフードチェーン大手マクドナルドは26日、さらに多くのメニューで人工成分の使用を打ち切ることを明らかにした。プロピオン酸カルシウムや安息香酸ナトリウムといった添加物を避けたい消費者の呼び込みを狙う。

 マクドナルドは一部のハンバーガーについてバンズ(パン)、チーズ、ソースへの人工成分の使用をやめる。「ハッピーミール」のハンバーガー、「ビッグマック」、「クォーターパウンダー・チーズ」などが人工保存料・香料・着色料無添加になる。

 より健康的なイメージを演出し、主力市場の米国で低迷している売り上げを盛り返そうとする取り組みだ。

 マクドナルドは今春、冷凍ものでないビーフを使ったクォーターパウンダーの販売を米国内で始めた。また、バンズに使用していたブドウ糖果糖液糖を砂糖と置き換え、「チキンマックナゲット」で人工保存料の使用をやめ、「エッグマックマフィン」に使っていた液体マーガリンをバターにかえた。

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[18初期非表示理由]:担当:要点がまとまってない長文orスレ違いの長文多数により全部処理

3. 2018年9月27日 20:06:36 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1565] 報告

>>01

経済の発展に伴い、贅沢品である肉類に加え果物の消費量の伸び自体も大きいが、

それ以上に果糖は、多くの菓子類、特にジュースに使用されていた

その伸びが圧倒的だったと言えるが

今後は制限されていくことになるだろう


https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK12023_S3A910C1000000
実は危険、肥満を招く「果糖」 ジュースに気をつけて


天然の甘味で食後血糖を上げない成分として注目されたのが果糖。果糖は果物などに豊富に含まれる。吸収されてすぐ血中に移行するブドウ糖に対し、果糖はほとんどが肝臓で代謝される。そのため甘いものが欲しいとき、果糖を中心にとれば血糖値は上がらず、肥満を防げるはずと考えられ、果糖を主成分にした健康食品も人気を集めた。

 実はこの果糖も、とりすぎはリスクがあると分かってきた。帝京大学医学部の山内俊一さんは「血液中の糖は、エネルギーとして使われる一方、体のたんぱく質と結びついてAGEs(終末糖化産物)を作り出し、毛細血管を傷つけるなど“毒性”を持つ。果糖は体内のたんぱく質と結びつく力が理論上、ブドウ糖の約100倍であることが分かってきた」と話す。

果糖が健康食品に多く使われてきた理由
・ 甘味料として味が優れている
・ 同じ甘さならブドウ糖より低カロリー
・ トウモロコシを原料に大量生産が可能
 →清涼飲料水、菓子などに大量に用いられるように
・ 健康によいイメージの果物に豊富に含まれている
・ 小腸で吸収後、肝臓で代謝されるのでブドウ糖のように血糖値を上昇させない
 →果糖を中心に含んだ健康食品も登場(高果糖コーンシロップ、アガベシロップなど)



[18初期非表示理由]:担当:要点がまとまってない長文orスレ違いの長文多数により全部処理

4. 2018年9月28日 14:38:44 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1579] 報告
【第4回】 2018年9月28日 ロバート・H・ラスティグ , 中里京子
痛風、糖尿病、心臓病、がん、認知症……
「果糖」が健康に最悪な11の医学的理由
「低炭水化物ダイエットは正解か?」
「脳が砂糖をやたら欲しがるのはなぜか?」
「食べた分だけ動けば確実にやせるのか?」
「カロリーを減らせば体重は減るのか?」
これらの「食事の疑問」に答えつつ、「人が太るメカニズム」を医学的に徹底解明したNYタイムズベストセラー『果糖中毒』が9/13に発売された。
アメリカの一流メディカルスクール教授が229の医学論文から「食事の正解」を導き出し、「健康な脳と体」に戻るための処方せんをあざやかに提示したとして、原書はアメリカで12万部を超え、アマゾンレビュー987件、平均4.6と高評価をたたき出した。
最新のWHO統計によると、現在世界で約19億人が「体重過多」、約6億5000万人が「肥満」だという。これは世界中の人々が運動を怠けて、食べ過ぎた結果なのか? 『果糖中毒』では、「肥満は自己責任論」を全面否定し、現在の「肥満の世界的大流行」は糖分、特に「果糖」が主な原因だと結論づけている。
ここで『果糖中毒』の一部を特別に無料で公開する。
果糖の代謝プロセスは
酒とそっくり

 自然界では、果糖は決して単体では存在しない。無害な姉妹分子であるブドウ糖とつねに一緒だ。この2つの分子の化学組成は同じだが(C6H12O6)、同じものとはとても言えない。果糖はブドウ糖よりずっと多くの悪さをする。
 まず、メイラード(褐色)反応について考えてみよう。これは赤血球のヘモグロビンをヘモグロビンA1c(エーワンシー)に変えるのと同じ反応だ。医師たちはこの反応を利用した検査によって、特定の時間内に糖尿病患者の血糖値がどこまで上がるかを知る。
 反応生成物の色は褐色だ。だから、時間が経つとバナナは茶色くなり、熱を加えるとバーベキューソースにおおわれた肉がカラメル化される。あなたは自分の体の肉を摂氏190度で1時間焼くことによってメイラード反応を起こすこともできるし、摂氏37度で75年間焼くことによってメイラード反応を起こすこともできる。結果は同じだ。
 そして果糖はメイラード反応をブドウ糖より7倍速く発生させることがわかっている[1]。この差異は一見すると微々たるものだが、体中の細胞をより速く老いらせ、老化現象、がん、認知機能の低下など、さまざまな退行変性プロセスを引き起こしかねない。今では、果糖がメタボ症候群の主要原因になっていることを示唆する研究がたくさんある。
 実のところ、果糖の代謝はエタノール[酒の主成分]の代謝によく似ている。それを見ていくために、ここで120キロカロリー分のショ糖(ブドウ糖60キロカロリーと果糖60キロカロリー)を摂取した場合について考えてみよう。
 たとえば、237ccのグラス1杯分のオレンジジュースがそれにあたる(ジュースは清涼飲料水より悪いとは言わないまでも、それが与えるダメージは同じぐらい悪い)。
 60キロカロリー分のブドウ糖は、20%対80%に分かれ、12キロカロリー分のブドウ糖が肝臓に行く〔48キロカロリー分はほかの臓器で代謝される〕。しかし、あらゆる臓器で代謝されるブドウ糖とは違い、果糖はほぼ肝臓でしか代謝されない(ごく稀なケースでは腎臓も少量の果糖を代謝する能力を持つことがある)。
 こうして、そのほとんどすべてが肝臓に行きつく60キロカロリーの果糖に、この12キロカロリー分のブドウ糖が加わり、肝臓には合計72キロカロリーが押し寄せることになる。
 これは、ブドウ糖だけの場合に比べると3倍の量だ。この果糖独特の代謝方法は、メタボ症候群に関連付けられている現象を引き起こす可能性がある。
果糖はどのように
体に入っていくか
果糖の代謝プロセス1  尿酸が生まれ、痛風をもたらし、血圧が上がる
 処理量が3倍になるということは、ブドウ糖だけだったときに比べて、肝臓が代謝のために必要とするエネルギーも3倍になるということだ。こうして、肝臓細胞からアデノシン3リン酸(ATP、細胞内でエネルギーを運ぶ重要な化学物質)が奪われる。ATPが欠乏すると、老廃物である尿酸が生成され、痛風をもたらすとともに、血圧を上昇させる。
果糖の代謝プロセス2 直接ミトコンドリアに入り、パンクさせる
 果糖はグリコーゲンの生成過程には入らずに、直接ミトコンドリアに入る。するとアセチルCoA(コエー)が過剰に生成され、それを代謝するミトコンドリアの能力を超えてしまう。
果糖の代謝プロセス3 脂肪になり、心臓病を押し進める
 余ったアセチルCoAはミトコンドリアを離れ、代謝されて脂肪になり[2]、心臓病を押し進める原因になる。
果糖の代謝プロセス4 肝臓がインスリン抵抗性になる
 果糖は、肝臓内で炎症を引き起こす肝酵素を活性化する。これによりインスリン作用の主要メッセンジャーが不活性化され、肝臓はインスリン抵抗性になる。
果糖の代謝プロセス5 血糖値が上がり、糖尿病につながる
 肝臓でインスリンの作用が欠乏するということは、ブドウ糖を低く抑える手段がまったくなくなるということだ。そのため、血糖値が上がり、究極的に糖尿病が引き起こされる。
果糖の代謝プロセス6 内臓脂肪が増える
 肝臓にインスリン抵抗性があると、膵臓が余分なインスリンを分泌しなければならなくなり、余分なエネルギーを脂肪細胞に送ることになって、最終的に肥満になる。エネルギーが最も多く詰めこまれる先は、代謝性疾患に関連付けられている内臓脂肪細胞だ。
果糖の代謝プロセス7 がん発症の可能性が高まる
 インスリンの血中濃度が高いと、さまざまながんが発症する危険性がある[3]。
果糖の代謝プロセス8 空腹感が高まる
 インスリンの血中濃度が高いと、レプチンシグナルがブロックされて、脳の視床下部に「飢えている」という誤った考えを抱かせ、空腹感が高まる。
果糖の代謝プロセス9 腸壁のバリア機能を奪い、インスリンレベルを上げる
 果糖はまた、腸壁のバリア機能を損なっている可能性がある。正常な場合、腸は血流にバクテリアが侵入するのを防いでいる。だがこのバリア機能が損なわれると、腸壁に穴があく。その結果は「リーキーガット」〔腸管壁浸漏症候群〕[4]で、体は炎症や、より多くの活性酸素にさらされるようになる。この状況はインスリン抵抗性を悪化させて、インスリンレベルをさらに押し上げることになる[5]。
果糖の代謝プロセス10 メイラード反応が生じ、がんの発症を加速させる
 果糖は、細胞に直接ダメージを与えかねないメイラード反応をブドウ糖より7倍速く引き起こす。研究はまだ初期の段階にあるものの、予備実験の結果、影響を受けやすい環境下では、果糖は老化とがんの発症を加速させると示唆されている。
果糖の代謝プロセス11 認知症が起こる
ヒトにおける果糖と認知症の結びつきに関するデータは現在のところ相関してはいるが、直接的なものではない。とはいえ、インスリン抵抗性と認知症に関するデータには、はっきりした因果関係がある。アフリカ系とラテン系のアメリカ人は、アメリカ最大の果糖消費グループで、胴回りも最大だ(インスリン抵抗性を示す)。それと同時に、この2つのグループは、認知症のリスクも最も高いグループになっている。
[1] W. L. Dills, Jr. (1993) “Protein Fructosylation: Fructose and the Maillard Reaction,” The American Journal of Clinical Nutrition, 58 (5 Suppl): 779S-87S.
[2] V. T. Samuel (2011) “Fructose Induced Lipogenesis: From Sugar to Fat to Insulin Resistance,” Trends in Endocrinology and Metabolism, 22 (2): 60-5.
[3] R. J. Shaw et al. (2012) “Decoding Key Nodes in the Metabolism of Cancer Cells: Sugar & Spice and All Things Nice,” F1000 Biology Reports, 4: 2.
[4] S. Thuy et al. (2008) “Nonalcoholic Fatty Liver Disease in Humans Is Associated with Increased Plasma Endotoxin and Plasminogen Activator Inhibitor 1 Concentrations and with Fructose Intake,” The Journal of Nutrition, 138 (8): 1452-5.
[5] M. Maersk et al. (2012) “Sucrose-Sweetened Beverages Increase Fat Storage in the Liver, Muscle, and Visceral Fat Depot: A 6-Mo Randomized Intervention Study,” The American Journal of Clinical Nutrition, 95 (2): 283-9; N. K. Pollock et al. (2012) “Greater Fructose Consumption Is Associated with Cardiometabolic Risk Markers and Visceral Adiposity in Adolescents,” The Journal of Nutrition, 142 (2): 251-7.
(本原稿は書籍『果糖中毒』からの抜粋です。訳者による要約はこちらからご覧になれます)
著者について
ロバート・H・ラスティグ(Robert H. Lustig)
1957年ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児科教授。マサチューセッツ工科大学卒業後、コーネル大学医学部で医学士号を取得。2013年にはカリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールで法律学修士号(MSL)も取得。小児内分泌学会肥満対策委員会議長や内分泌学会肥満対策委員会委員などを歴任。「果糖はアルコールに匹敵する毒性がある」と指摘した講義のYouTube動画「Sugar: The Bitter Truth(砂糖の苦い真実)」は777万回以上視聴されるほど大きな話題になった。
中里京子(なかざと・きょうこ、訳者)
翻訳家。訳書に『依存症ビジネス』(ダイヤモンド社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『ファルマゲドン』(みすず書房)、『チャップリン自伝』(新潮社)ほか。
https://diamond.jp/articles/print/180755
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54198
タンパク質も脂肪も一網打尽、小腸の巧みな栄養吸収考究:食と身体(6)狩猟の神ディアナ篇
2018.9.28(金) 大平 万里
下腹部のあたりには、栄養分などを吸収する消化管「小腸」がある。
 私たちは「食」の行為を当然のようにしている。では、私たちの身体にとって「食」とは何を意味するのだろうか。本連載では、各回で「オリンポス12神」を登場させながら、食と身体の関わり合いを深く考え、探っていく。

(1)主神ジュピター篇「なぜ食べるのか? 生命の根源に迫る深淵なる疑問」
(2)知恵の神ミネルヴァ・伝令の神マーキュリー篇「食欲とは何か? 脳との情報伝達が織りなす情動」
(3)美と愛の神ヴィーナス篇「匂いと味の経験に上書きされていく『おいしい』記憶」
(4)炉の神ヴェスタ篇「想像以上の働き者、胃の正しいメンテナンス方法」
(5)婚姻の神ジュノー篇「消化のプレイングマネジャー、膵臓・肝臓・十二指腸」
 ミステリーの醍醐味の1つは、やはり密室トリックであろう。密室トリックでは「犯行時刻に被害者以外の出入りが困難」であることが前提にある。犯人はどうやって忍び込んだのか、あるいはどんな方法を使って犯行を可能にしたのか、そこに謎解きの面白さがある。
 細胞にも似たようなところがある。細胞膜は基本的に脂質(油)でできており、水に溶ける物質は通しにくい。一方で、消化で生じた糖やアミノ酸には水に溶けるものが多く、細胞膜をそのまま通過することはできない。にもかかわらず、現実には糖やアミノ酸は小腸から体内へ吸収されている。
 まさに密室トリックのように思えるのだが、糖やアミノ酸が供給されている限り、小腸での吸収は途切れることなく続いていく。
 となると、小腸は「特定の犯行時刻の密室トリック現場」というよりも「必要な獲物(栄養素)を常に狙っている狩人」のような存在と見た方が適切であろう。
デンプンやタンパク質を分解して、小腸に通し吸収
 ギリシャ・ローマ神話で狩猟の神といえば「ディアナ」である。ディアナは処女神で純潔の象徴でもあり、純潔を犯すものは誰であっても容赦しない。つまり、狩りの獲物以外の汚らわしいもの(消化されてない異物)はいっさい受け付けないのである。同時に、狙った獲物は銀の弓矢で確実に仕留め、自分のものにする。
 さて、狙った獲物(栄養素)を仕留め、自分のものにする(吸収する)ために、小腸の上皮細胞はどんな戦略をとっているのだろうか。
 まず、アミノ酸や糖に細胞膜をそのまま通過させることはできないわけだから、特別な仕組みが必要となる。具体的には、特定の糖やアミノ酸だけを通す「トランスポーター」と呼ばれるタンパク質が、小腸上皮の細胞膜上には何種類も埋め込まれている。
小腸とその仕組み。小腸は、空腸そして回腸からなり、その後は大腸となる。小腸の上皮細胞は、微絨毛と呼ばれる突起の表面にある。上皮細胞を越えたところに動脈・静脈(毛細血管)や毛細リンパ管などがある。
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 ただ、このトランスポーターを介して物質が体内へ入っていくには、タンパク質ならアミノ酸、デンプン(多糖)ならブドウ糖(単糖)などにまで小さくなっている必要がある。
 1匹なら仕留めることができても、群れを一気に狩るのは難しいのだ。やはり、大きな分子は身体にとってはまだ異物なのであり、体内に入ってきては困るのである。そのために膵液に含まれる消化酵素によって、タンパク質やデンプン(多糖)はかなりバラバラにしてきたわけだが、まだ完全ではない。
 そこで、それらをさらに細かくする消化酵素(銀の矢)が小腸の上皮細胞には存在する。その消化酵素は、上皮細胞から分泌されたり、上皮細胞の細胞膜上に配置されたりして、麦芽糖などの二糖類や、アミノ酸が3つ連なったトリペプチドなどを分解して、必要なアミノ酸や糖を無駄なく細胞内へ取り込むのである。
 以上が、デンプン(多糖)やタンパク質の吸収過程である。
 健康食品などでよく見かけるコラーゲンやナットウキナーゼは、さまざまな効果が喧伝されているが、どちらもタンパク質であるから、アミノ酸に近い段階まで分解されない限り小腸から吸収されることはない。そして、期待されるタンパク質の機能は、小腸に吸収される時点で完全に失われてしまっている。よって、当然のことながら、口から摂取したそれらのタンパク質の体内での効果は期待できない。
アミノ酸や糖は門脈を直行し肝臓へ
 吸収されたアミノ酸と糖のその後についても簡単に記しておこう。
 トランスポーターを介して上皮細胞を通過した糖やアミノ酸は毛細血管に入る。通常、動脈から枝分かれした毛細血管は、再集合して静脈となり心臓へ戻っていくのだが、小腸の毛細血管が再集合すると「門脈」という特別な血管となり、肝臓へ向かう。そして、門脈は肝臓内で再び枝分かれして、糖やアミノ酸のそれぞれの活用法が決まる。
 すなわち、狩りで得た獲物(アミノ酸や糖)は、門脈というバイパスを通って、食肉加工場(肝臓)へ直行するというわけである。
肝臓における門脈域。中央の円形になっている箇所が門脈の一部。門脈はさらに放射状に枝分かれして糖やアミノ酸を肝細胞へ供給する。(写真作者:Kateryna Kon)

脂肪は遠回りに運ばれて肝臓へ
 ここで「脂肪はどうなっているのか」と気になっている方も多いだろう。脂肪は、胆汁に含まれる胆汁酸によって微小な小胞として小分けにされた後、膵液の消化酵素で分解されて小腸へやってくる。脂肪はもともと水に溶けないので、その分解産物も細胞膜とは相性がよく、吸収も容易であろうことは想像に難くない。
 実際、小胞に含まれる脂肪分解物の多くは、糖やアミノ酸で必要だったトランスポーターなしに、ほぼ上皮細胞内へ取り込まれる。まるで細胞膜という投網で群れ(脂肪の分解物)を一網打尽にするような感じである。
 上皮細胞に入った脂肪の分解産物は、再び脂肪へと合成される。しかし、全身に脂肪を供給するためには、再び「水の世界」へ戻らなければならない。そこで「水の世界」での脂肪の運搬を実現させるため、「カイロミクロン」という脂肪を含んだ巨大な輸送体が小腸の上皮細胞内で作られる。
電子顕微鏡で観察した小腸の上皮細胞におけるカイロミクロン(赤い部分)。分かりやすくするため画像に彩色している。(写真作者:Jose Luis Calvo)
 このカイロミクロンの表面は細胞膜と同じ成分、つまりリン脂質でコーティングされており、体液中を移動できる仕様になっているのだ。そして、カイロミクロンは毛細血管ではなく乳糜管(にゅうびかん)と呼ばれる毛細リンパ管へ送り出される。
 乳糜管に入ったカイロミクロンはその後、リンパ管 → 鎖骨下静脈 → 心臓 → 動脈、というルートを経由して、ようやく肝臓に到着する。
 つまり、糖やアミノ酸と異なり、脂肪は門脈経由の肝臓直行ルートではないのである(ただし、吸収の際に、脂肪の分解産物を取り囲んでいた胆汁酸は、門脈へ進む)。
小腸の技は巧みだが危険も
 脂肪の吸収において糖やアミノ酸と異なる点がもう1つある。肝臓に至る途中で、カイロミクロンが筋肉や心臓、脂肪組織へ脂肪を供給してしまうのである。つまりは、狩った獲物を、食肉加工場(肝臓)を通さずに、消費者(筋肉、心臓)や問屋(脂肪組織)に直接売りさばいているわけだ。そして、肝臓にたどり着いた売れ残り(カイロミクロン・レムナント)は、脂肪の新たな輸送小胞である超低密度リポタンパク質(VLDL)の材料として使われる。
 こうしてみると、獲物(栄養素)の特性に合わせて効率的に狩り(吸収)をするディアナの技法は、実に巧みというほかない。しかし、消化管は外部と内部の境界線にある。吸収器官である小腸においては、特に異物が侵入してくる危険性と常に隣り合わせである。密室トリックに不向きといっても、決して安全な場所ではないのだ。
 例えば、胃の強酸環境をくぐり抜けたバクテリアが、小腸内で大増殖したらどうするか。最悪、押し込み強盗事件(感染)に発展しないとも限らない。やはり、特別な警備組織、それも多様な侵入者にも柔軟に対応できる強力な部隊が必要である。
 次回は、そんな小腸の防御システムを紹介しよう。



[18初期非表示理由]:担当:要点がまとまってない長文orスレ違いの長文多数により全部処理

5. 2018年10月02日 09:39:19 : kNeY0s9eJg : _DtOmeuKCLg[158] 報告
1です。3,4に感謝。
とりわけ、4の"健康食品などでよく見かけるコラーゲンやナットウキナーゼは、さまざまな効果が喧伝されているが、どちらもタンパク質であるから、アミノ酸に近い段階まで分解されない限り小腸から吸収されることはない。そして、期待されるタンパク質の機能は、小腸に吸収される時点で完全に失われてしまっている。よって、当然のことながら、口から摂取したそれらのタンパク質の体内での効果は期待できない。"は、同感です。
6. 2018年10月05日 13:40:14 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1599] 報告

【第5回】 2018年10月5日 ロバート・H・ラスティグ , 中里京子
アルコール依存症の人とそっくり!「果糖」をとりすぎた人はどうなるか
「低炭水化物ダイエットは正解か?」
「脳が砂糖をやたら欲しがるのはなぜか?」
「食べた分だけ動けば確実にやせるのか?」
「カロリーを減らせば体重は減るのか?」

これらの「食事の疑問」に答えつつ、「人が太るメカニズム」を医学的に徹底解明したNYタイムズベストセラー『果糖中毒』が9/13に発売された。

アメリカの一流メディカルスクール教授が229の医学論文から「食事の正解」を導き出し、「健康な脳と体」に戻るための処方せんをあざやかに提示したとして、原書はアメリカで12万部を超え、アマゾンレビュー987件、平均4.6と高評価をたたき出した。

最新のWHO統計によると、現在世界で約19億人が「体重過多」、約6億5000万人が「肥満」だという。これは世界中の人々が運動を怠けて、食べ過ぎた結果なのか? 『果糖中毒』では、「肥満は自己責任論」を全面否定し、現在の「肥満の世界的大流行」は糖分、特に「果糖」が主な原因だと結論づけている。

ここで『果糖中毒』の一部を特別に無料で公開する。

成人の半分が
制限値を超えて「果糖」をとっている

 少量のアルコール摂取は体にいいことが、アルコールを調べた研究でわかっている。アルコールはHDL(善玉コレステロール)を増やすだけでなく、赤ワインには、インスリン反応性を向上させて、長寿をもたらすと考えられているレスベラトロールというおまけもついてくる。

 アルコールと同様に、少量の果糖もインスリンの分泌によい影響を与えるとする研究がある。つまり、アルコールと同じように、果糖の有毒性は摂取量によるのだ。

 アルコールについては、大部分の人で、1日最大50グラムという摂取量(ワイングラス約3杯分)を超えると毒になることが経験的証拠として判明している[1]。果糖についてもおそらく同じくらいの量であると考えられる(オレンジジュースで言うと約237cc)。

 問題は、現在の成人の平均果糖摂取量が1日51グラムであることだ。つまり、人口の半分以上が制限値を超えているわけである。

 慢性的なアルコール依存症者と大量の糖分を摂取している人を比べたとき、彼らはとても違って見えることが多い。とりわけ外見はまったく違う。

 アルコール依存症者は、たとえむくんでいても、大量の糖分をとっている人たちよりやせて見えることがほとんどだ。

 しかし、皮下脂肪は問題ではないことを思い出してほしい。あなたを殺すことになるのは内臓脂肪、つまり臓器の周囲につく脂肪で、肉眼で見ただけではほとんどわからない脂肪だ。

 アルコールも糖分も、内臓脂肪とそれにまつわる病気にかかるリスクを大幅に押し上げる。アルコール性脂肪性肝疾患と非アルコール性脂肪性肝疾患の違いは、名前だけなのだ。体への影響は同じなのである。

酒を飲まないサウジとマレーシアで
糖尿病が多い理由
 もちろん、アルコールと糖分の主な違いは、アルコールを飲むと酔うことにある。脳は果糖を代謝しない。糖分の影響下で車を運転しても、逮捕されることはない。

 しかし肝臓が果糖を代謝する方法は、エタノールを代謝する方法に酷似している。果糖は肥満の唯一の原因ではないが、慢性代謝性疾患においては主要原因だ。慢性代謝疾患は、あなたをゆっくりと殺す。果糖はあなたの肝臓をフライにして、アルコールがもたらすすべての病気をもたらすのだ。

 酒類の消費量を減らさなければ墓穴を掘ってしまうことは、どんな人でも知っている。だが糖分はレーダーにひっかからない。地球上最大の2型糖尿病発生率にみまわれているのがサウジアラビアとマレーシアであるのもうなずける。イスラム圏の国だから酒は飲まないのだが、その代わりに、清涼飲料水を浴びるように飲んでいるのだ。

[1] R. S. O'Shea et al. (2010) "Alcoholic Liver Disease," The American Journal of Gastroenterology, 105 (1): 14-32.
(本原稿は書籍『果糖中毒』からの抜粋です。訳者による要約はこちらからご覧になれます)

著者について
ロバート・H・ラスティグ(Robert H. Lustig)
1957年ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児科教授。マサチューセッツ工科大学卒業後、コーネル大学医学部で医学士号を取得。2013年にはカリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールで法律学修士号(MSL)も取得。小児内分泌学会肥満対策委員会議長や内分泌学会肥満対策委員会委員などを歴任。「果糖はアルコールに匹敵する毒性がある」と指摘した講義のYouTube動画「Sugar: The Bitter Truth(砂糖の苦い真実)」は777万回以上視聴されるほど大きな話題になった。
中里京子(なかざと・きょうこ、訳者)
翻訳家。訳書に『依存症ビジネス』(ダイヤモンド社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『ファルマゲドン』(みすず書房)、『チャップリン自伝』(新潮社)ほか。
https://diamond.jp/articles/-/181426

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