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[青島健太]
運動中の水は身体能力を下げる?
私の「カラダ資本論」
「飲んではいけない」から「飲まなきゃいけない」時代に
2017年3月29日(水)
青島健太
仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今月は元プロ野球選手で、現在はスポーツライター、キャスターとして活躍する青島健太氏にご登場いただく。第1回はスポーツには欠かせない「水分補給」にまつわる思い出を語っていただきました。
現在はどんなスポーツでも、のどの渇きを覚える前に水分補給をすることが、もはや常識となっています。最高のパフォーマンスを発揮するためにはもちろんのこと、発汗による脱水症状など身体へのダメージを抑えるためです。
ところが、私の高校時代の野球部はもちろん昭和の頃は、「練習中は水を飲むな」が常識でした。高校は埼玉県立春日部高等学校という公立の進学校で、練習は放課後の2〜3時間程度。夏休みには1日中の練習がありましたが、いずれも練習中には、水を飲ませてもらえませんでした。それでも、隠れて水を飲んでは叱られたものです(笑)。当時は大真面目に「水を飲むとパフォーマンスが下がる」と思われていたんですね。
慶応大野球部では氷水と塩を用意
一方、慶応大の体育会野球部では、練習の合間に自由に水が飲めた。これには「大学はさすがに違うな」と驚きました。今から思い返しても、当時にしては先見性があったのではないでしょうか。
グラウンドのダッグアウトに、直径80cm程度の特大ポリバケツに入った氷水と柄杓(ひしゃく)が用意されていて、その脇には塩も置いてありました。その塩をなめて、柄杓ですくった氷水を飲んだりすると、生き返ったように力が湧きましたね。
練習中は水分補給も楽しみでしたが、そのための氷を買いに行く時間はさらに心待ちにしていました。グラウンドから歩いて10分ほどのお米屋さんに、リヤカーを引いて数貫の氷を買いにいくのは、1年生の役目。この当番が、10日に1度は回ってくるのです。
リヤカーを引いて氷を買いにいくなんて、面倒じゃないかと思われるかもしれませんが、お米屋さんのおばさんが、当時は米屋でしか買えなかった清涼飲料水「プラッシー」をくれたんですよ。それを飲みながら、「どこから来たの?」と聞かれて出身地の話をしたり、「最後まで頑張って続けなさいね」と励まされたりするのが、何よりの安らぎでした。というのも、志半ばで辞めてしまう新入部員が多いことを、おばさんは知っていたからでしょう。私の代でも、35人が入部して、10人が途中で去って行きました。
合宿所は夜10時門限、その後にも練習が
大学では野球漬けの毎日でした。厳しい練習でヘトヘトになったあとに、200メートルダッシュを20本。グラウンドにボールが落ちていようものなら、ペナルティとしてオートバイに乗った監督の先導のもと、朝から夕方まで50〜60km走ったこともありました。
東京六大学野球の試合で打席前に素振りをする青島さん
ただ、新入部員が辞めてしまうのは、そうした練習の厳しさが理由ではなかったと思います。大学の体育会で野球をやる連中は、それくらいのことは覚悟して入部しているはずですから。辞める理由は人それぞれですが、下級生(1〜2年)時代は「365日我慢の連続」という生活に耐えらないことが、大半を占めていたのではないかと思います。
例えば、合宿所暮らしで、外部との連絡手段は、据え置きの電話が1機あるだけ。大抵は上級生に占拠されているので、1年生は使えません。本拠地の日吉(横浜市港北区)以外の街に出るときは、学ラン着用が必須。たまに女子大生との食事会などに誘われて顔を出しても、夜10時が合宿所の門限で、それから1時間ほど練習がある。
都内の六本木などで盛り上がっていても、8時半には「先に帰ります!」と言って出ないといけない。そんな状態でしたから、集まった女の子たちよりも先に帰る(笑)。そうした憧れの大学生活とはかけ離れた現実に、ギャップを感じて呆然としてしまう。それが、当時の1年生が辞めてしまった大きな理由の一つでしょう。
水分補給には弱アルカリ性飲料を
東芝野球部、ヤクルトスワローズでプレーする頃にはもう、水分補給の仕方は一変。「飲んではいけない」という風潮はなく、むしろ「飲まなきゃいけない」が常識になりました。現在のスポーツ界では、水分やミネラル補給の重要性が浸透して、各種目ごとに適切な給水のタイミングが考えられています。
例えば、野球の場合は毎イニング、守りが終わってベンチに戻ると水分を補給します。サッカーではピッチ脇に飲料ボトルを並べておき、アウトオブプレーの際に飲むことができます。さらに、近年の気候変動を考慮して、一定条件を満たす猛暑下で行われる試合では、「給水タイム」も導入されています。2014年のFIFAワールドカップ ブラジル大会では、決勝トーナメントの1回戦、オランダ対メキシコ戦で給水タイムが実施されました。JFA(日本サッカー協会)でも2016年に「熱中症対策ガイドライン」を策定するなど、積極的な水分補給が奨励されています。
マラソンでも、後半の30〜35km以降を制するには、水分やエネルギー補給の仕方がカギを握るといわれます。ゴルフではラウンド中にこまめに水分を取るだけでなく、ティーショットを待つ間などに、バナナなどを口にする選手も多くいます。
水分補給には、体液に近い弱アルカリ性の飲料が、体への浸透力が高いという理由で適しています。私の場合は、運動で疲れると、糖分のある甘めのスポーツドリンクが飲みたくなります。弱アルカリ性のミネラルウォーターや、さっぱりした味のスポーツドリンクが好みという人もいますし、マラソンランナーでは蜂蜜入りの紅茶を、プロのアスリートでは炭酸の抜けたコーラを飲むという人もいます。運動をするときは、自分好みの飲みやすい飲料を、こまめに補給する習慣を持つといいですね。
(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/インタビュー写真:村田わかな)
青島健太(あおしま・けんた)さん
スポーツライター、キャスター
青島健太(あおしま・けんた)さん 1958年新潟市生まれ。77年埼玉県立春日部高等等校、81年慶応義塾大学法学部を卒業後、東芝を経て、85年ヤクルトスワローズに入団。5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を務める。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。著書に『メダリストの言葉はなぜ心に響くのか?』(フォレスト2545新書)、『“オヤジ目線”の社会学』(日経BP)など。
このコラムについて
私の「カラダ資本論」
仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日頃からの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術について、「食事」「運動」「スポーツ」「睡眠」「ストレスマネジメント」「やりがい」など様々な切り口で紹介する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/102500077/032800016
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