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食べ物を流し込むと唾液量を減らしてしまう(C)日刊ゲンダイ
食事中の水分摂取は減らした方がいい? 腸内細菌に影響も
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/198516
2017年1月31日 日刊ゲンダイ
食事中に水やスープで食べ物を流し込んでいる人がいるが、改めた方がいい。虫歯や歯周病が増えるだけでなく、大腸や小腸の細菌叢のバランスを崩し、健康を損ないかねない。八重洲歯科クリニック(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。
「食事中に水を飲むことは噛まずに食べ物を胃に流し込むことです。それは単に胃や腸の負担を増やすだけではありません。口の中を保護する唾液の量が減るということであり、体にさまざまな支障を与えることになります」
唾液には主に7つの働きがある。(1)熱い物、冷たい物など刺激物を食べた時、傷つきやすい口腔内の粘膜を保護する(2)話したり、飲み込んだりする時の舌の動きをよくする(3)虫歯菌に溶かされた歯を再石灰化して元に戻す(4)虫歯菌が出す酸を中和する(5)風邪や食中毒の原因となる細菌が体の中に入らないようにする(6)味覚を感じさせるF体の水分が減ると唾液量が減ることで、口や喉が乾いて補給を促す――だ。
■口腔内細菌が増え、腸内細菌叢のバランスに異変も
「唾液は健康な人で1日500〜600ミリリットル程度を分泌しています。問題はその多く(約300ミリリットル)が食事中、食べ物を咀嚼する刺激によって分泌されることです。食べ物を水で流し込むというのは、食事中だけでなく、1日の唾液量を減らすことにつながっています。結果、口腔内に雑菌が繁殖し、虫歯や歯周病が増え、カンジダ菌と呼ばれるカビも繁殖します」
食事中に水分を取ることは胃液を薄めることでもある。その結果、こうした口腔内の雑菌を殺すことなく、小腸や大腸に送り届けてしまう。
「胃酸はpH1〜2の強酸で、食物に付着した菌は胃では生きてはいられません。しかし、食事中に水を飲むと酸が薄まり、菌が胃の中でも生き延びてしまうのです」
実際、薬が一切ない旧日本軍の部隊内でコレラの保菌者が出て、部隊全滅の危機に陥ったとき、「食事中に水を飲まない」という軍医の指示を守り、全員が無事だったという。それほど本来の胃酸は強力なのだ。
そもそも食材の衛生に厳しい今の日本では、コレラが起きることはない。しかし、食事中に水分を取ることで雑菌を体内に侵入させて、知らず知らずのうちに体を壊しているかもしれない。
「口腔内の雑菌が小腸や大腸に達し、その細菌叢のバランスを崩している可能性があるのです」
■いますぐできる健康法
人間の腸内には数百種類の細菌が生息している。その数は約100兆個、重さにして1〜1・5キロといわれている。
「最近の研究で、腸の細菌叢は人間が生きていくうえで必要な乳酸や酢酸などを産出。腸内を酸性にして悪玉菌の増殖を抑え、病原菌の感染や発がん物質の産出を抑える働きがあることが分かっているのです」
具体的にはがんや糖尿病、アレルギー、神経疾患、肥満などと関係し、脳への影響からうつ病との関係を指摘する声もある。
「食事中に水を飲むことは安定している体の細菌叢のバランスを崩し、思いもよらない体の不調を呼び込む可能性が高いのです」
食事中に水分を取ることを習慣にしている人がいきなり飲まなくするのは難しいかもしれない。ならば徐々に水分の量を減らし、できれば食事の後に飲むようにすることだ。
食材に菌が付着しているか否かに神経をとがらすよりも、この方法の方がより簡単に虫歯や歯周病を予防できるし、全身の健康を維持できる。あなたもやってみたら?
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