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医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」
【第2回】 2016年12月28日 阿保義久 [北青山Dクリニック院長]
男の更年期障害を克服する3つの生活習慣
加齢に伴い、心の不調を感じませんか?身体だけでなく心の健康にも影響があるのは男性の更年期障害の特徴です
多くは40代で発症
睡眠リズムの乱れから夜中に目が覚めて眠れない、朝の勃起が見られなくなった、日常生活でやる気が出ない、集中力・判断力・記憶力が低下している、怒りっぽくなってきた、皮膚がたるむ、シワが出てきた…。加齢によってこうした変化を感じている方も多いと思います。これらの症状の原因は一言に「加齢」で片づけられることが多いのですが、実は加齢によって引き起こされる「更年期障害」の症状かもしれません。
これまであまり指摘されませんでしたが、最近になり、女性だけでなく男性にも更年期障害があることが注目されるようになりました。女性の更年期障害は閉経時期の特有の障害であるのに対して、男性の場合はもう少し複雑です。
男性の場合は、女性の閉経のようなはっきりした体の変化が現れず、個人差があり、更年期症状もはっきりしません。さらに身体だけでなく心にも大きなトラブルが発生するという特徴があります。発症時期も、おおむね40歳以降ですが、60歳、70歳代で初めて発症する場合もあります。
そして女性の更年期障害は一般的には数年で終わるのに対して、男性は長期間にわたって続く可能性があります。体や心の様々な障害も長引くことがあり、働き盛りの世代にとってはその対策が重要な課題と言えます。
更年期障害が発症する原因は、急激なホルモンの枯渇です。中でも「性ホルモン」の分泌量の低下が主な原因で、男性ホルモン(アンドロゲンと呼ばれます)の分泌は20歳代をピークにしてそれ以降は右肩下がりとなり、50歳代を過ぎるとさらに激しく減少します。
男性ホルモンはさらに複数のホルモンに分類され、その中で大部分を占める「テストステロン」の分泌量が低下すると男性の更年期障害が引き起こされます。
そもそもホルモンとは、脳下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、精巣、卵巣など様々な器官で産生・分泌されて血液などの体液を通じて全身をめぐる生理活性物質のことですが、身体がうまく快適に機能するために必要不可欠な物質です。私たちの意志に関係なく多彩な役割を果たしている一方で、複雑なメカニズムで制御されています。ですので、ホルモンを産生・分泌するシステムが壊れたり、分泌量がわずかに変化しただけで、複数の悩ましい症状が発症してしまいます。更年期障害では、性ホルモンのほか、成長ホルモンやDHEAなど他のホルモンの分泌の低下も関連するため、症状がはっきりせず、対策が難しくなります。
男性には2種類の更年期障害がある
男性ホルモンの低下による更年期障害は、働き盛りの40〜50歳代で始まる初期の更年期障害と60歳代以降の熟年期障害に大別されます。
40〜50歳代では、仕事での強いストレスからに更年期障害を自覚する機会があります。やる気が出ない、不安で寂しいといった軽いうつ症状など、初めは精神神経症状が現れることが多くあります。
それに対して60歳代以上では、体調不良が主となって熟年期障害が現れます。運動不足や過食などの不摂生な生活習慣を続けていたところに、男性ホルモンの低下が重なると、糖代謝や脂質代謝が崩れて高血圧、糖尿病、脂質異常、動脈硬化を誘発するメタボリックシンドロームが引き起こされるなど、体調に異変をきたします。認知症やフレイルとよばれる高齢期特有の運動機能の極端な低下も、男性ホルモンの低下に大きく影響を受けると考えられています。
うつ、記憶力低下、勃起障害が発症することも
男性の2種類の更年期障害を紹介しましたが、男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、体に対して様々な影響を与えます。テストステロンの量は10歳頃から増え始め20歳前後でピークを迎え、その後加齢とともに緩やかに減少していきます。
テストステロンの主な働きとして、
・骨や筋肉の発達を促し、脂肪がつくのを抑え、がっしりとした男らしい体型を作ること
・精子を作って性欲を高める
・動脈硬化を防ぐ
・内臓の働きを助ける
・皮膚の潤いを保つ皮脂分泌や皮膚の弾力成分であるコラーゲンを維持する
といったことが挙げられます。心や体調だけでなく、見た目の老化にもテストステロンが大きく影響しているのです。
テストステロンが減少すると、免疫力が低下して「がん」の発症を招いたり、骨量が低下して骨粗しょう症につながるなど、体調の異変や健康が侵されてしまいます。他にも代表的な症状がありますので詳しくお伝えします。
●脳神経への影響
眠りの質が低下し、記憶力や判断力が衰えます。積極性が低下し、元気がなくなるため、前述のようにうつ症状を呈することにもつながります。また、性格を変えてしまうことがあります。従来は温厚だった人が、50歳を過ぎた頃から急に短気で怒りっぽくなったり、神経質になったり、自己中心的になったりすることがあります。
●記憶力への影響
記憶力に強く関係する脳の領域は海馬としてよく知られていますが、テストステロンが減少すると海馬の機能が低下することがわかっています。若いころに比べて記憶力が低下してしまうのもテストステロンの低下が主因かもしれません。東京大学大学院医学系研究科加齢医学部門の老人ホームでの調査で、同年齢で寝たきりになっている人はテストステロン値が低く、活動的な人は高いということが報告されています。テストステロンを補充することにより記憶力低下が改善する可能性があります。
●勃起障害
男性に現れる最たる症状として勃起障害(ED)が挙げられます。これは性欲低下や積極性の喪失など心理的な影響も受けていますが、主たる原因は、血管のしなやかさが失われて海綿体に血液が行き届かなくなることです。そして、テストステロンが減少すると、海綿体周囲の血行だけではなく全身の血流や血管のコンディションにも影響します。すなわち、EDを放っておいたら、知らぬ間に動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞が発症することにもなりかねません。実際に、EDの人はそうでない人に比べて脳血管障害の発症率が大きいという研究報告もあります。動脈硬化の主原因は糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病ですが、テストステロンの低下も血管の老化に繋がる可能性があります。
3つの生活習慣で男性ホルモンは増やせる
テストステロンの分泌量は、生まれつき決められているわけではありません。生活習慣や環境により大きく変わることがわかっています。日常生活の工夫により、テストステロンの分泌低下を防ぎ、むしろその分泌を増やすこともできるのです。
テストステロンの分泌量を増やすために重要なことは3つあります。
一つは、十分な睡眠を確保することです。睡眠をとることでストレス解消や疲労回復につながり、テストステロンの分泌を促します。
二つ目は適切な食事を摂ることです。ニンニク、玉ねぎ、牡蠣はテストステロンの産生を増やすと言われています。肉類、卵、乳製品などのタンパク質も効果的です。脂質の摂り過ぎは避けるべきですが、テストステロンを合成する際の原料となる脂質を過度に制限するのも良くありません。
三つ目に大切なのは、運動です。運動により脳も筋肉も刺激を受け、それがテストステロンの合成を促すだけでなく、血流増加や身体への刺激が生じることで分泌量が増えます。
以上の3点を心掛けてテストステロンの低下を防ぎ、むしろその分泌量を高めていきましょう。そうすることで、記憶力や判断力が向上するだけでなく、筋肉が増えて内臓脂肪が減少し、心も体も若返ることができます。積極性や競争力も高まり、仕事でも第一線で活躍するチャンスが広がります。テストステロンの分泌を促すことで全身のアンチエイジングを目指しましょう。
(北青山Dクリニック院長 阿保義久)
http://diamond.jp/articles/-/112617
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